第20話 濡れたビニールの匂い
マットが手に入れば、実習です。
実際には嬢によってテクニックに差がつくプレーですけどね。
エルミラはわたしの指示で身体を綺麗に清めて髪をアップにさせてある、そんな彼女は部屋を占領するグレーのマットに興味津々。
「エルミラ、これの中身は空気なの、フワフワするわよ」
そう言って軽く足で踏んで弾力がある事を示すけど。
娘はキョトンしている。
「はぁ、はい」
「じゃあ、エルミラはうつ伏せに寝てみてね、あっそっちが頭よ」
「準備できました」
「それじゃあ、マッサージを教えてあげるわね……」
さぁー、久しぶりのマット洗いね、ローションは人肌に温めてあるし。
なんと言っても、相手がプリプリした女の子なのよ、イッパイご奉仕してあげるけど、鳴いちゃだめよ~
繰り返して言うけど、ソープランドは売春をする場所ではないの、個室の浴場でお姉さんが背中を流してくれる場所よ。
身体を洗うだけではなく、マッサージもサービスの中に入っているわよ、フカフカのエアーマットの上で殿方の身体を揉みほぐすのもサービスのうちよ。
マッサージは相手の全身を刺激するの、足の裏も含めてよ、足の裏の感覚なんてたいして無いと思うじゃない。
そうでもないのよ、敏感な場所は結構あるからね。
ソープの代名詞とも言うマットプレー、される側はエアーマットの枕の部分を常に持っている必要があるのだけど。
これが問題なの、両手を使えない殿方はされるがまま、究極のお任せと言う人もいれば、男が主導権を握らないと嫌だと言うお客さんもいるわ。
こちらの世界では受け入れてもらえるか、少し心配でもあるわね。
お店の時間は様々よ、45分程度の格安店もあれば3時間の高級店も。
時間に追われる安いお店なら流れ作業みたいに進んで行くけど、ゆったりとした時間を過ごす高級店では気の効いた会話で相手をもてなして間を持たせなければならないの。
体力は当然使うし、トークの力や細かい気配り、恋人になり切っても冷静に時間の管理もしなければいけない、究極の風俗嬢と呼ばれている理由はそんな所から来ているのよ。
わたしは、久しぶりのマットプレー、クチュクチュとローションの音が部屋に響いている。
女性が相手だと、柔らかくて気持ちいいわよ。
「どうかしら、エルミラ」
「 …… 」
「ねぇ、お返事してよぉ~」
柔らかなS字カーブに連続キッス、わたしの得意技よ。
“ハゥ!”と変な声を上げて、足の指をピンッと伸ばして答えたエルミラ。
女の子にご奉仕するソープって、楽しいわよ。
◇数日後 ◇
「 …… ミヤビ様、お尻の上、失礼致しますね」
マットの上でうつ伏せになっているわたし、お尻の上にエルミラが座ると、足裏マッサージ。
わたしの足裏をエルミラの豊満な持ち物がくすぐるのよ。
「 …… 」
「あらあら、ミヤビ様、声を出しても平気ですのよ」
最初はわたしの技の前に、良い声で鳴いていた彼女だけど、最近ではわたしが鳴かされるのよ。
黄色の球が大きいだけあるわね。
こちらに来たばかりは、わたしが異世界初のソープ嬢になって頑張ろうと思っていたけど、わたし一人では出来る事はしれているわ。
それよりも大勢の娘におもてなしを仕込んでこちらの売春事情を改善させたい。
けど、真似する人達も出て来るわよね。
よし!決めた。
◇
部屋の内装がほとんどビロード、娼館主エステファニア様のお部屋。
退廃的な雰囲気で、好きな場所よ、わたしは、嬢こそ天職だと思い込んでいたくらいだからね。
「ミヤビどうした、何かあったのか?」
「いえ、エステファニア様の紅茶が飲みたくなったので、お訪ねしたのですけどね」
「お前みたいな抜け目の無い女がそんな事をする訳ないだろう、良いから言ってみろ、たいていの我儘なら聞いてやるぞ」
「エステファニアさんには全てお見通しでしたか、バレーナの皮って知っていますか?」
「大きな魚だな、どうした?漁港に店でも出したいのか」
「いえね、そのバレーナの皮をうちの商会でも取り扱ってみたくて、相談にあがったのですよ」
「ふ~ん、何を考えているかは分からんが、難しいのではないか、レオポルト商会は奴隷ギルド所属だ。
物を売るなら商業ギルドに登録しないとな」
「チィース、ちょっと良いすっか?」
「なんだショーティー?」
突然現れたショーティー、相変わらず軽く中身の無い口調だけど騙されてはいけない、彼は有能な秘書よ。
「それならミヤビさんが商会作ったら良いじゃないですかぁ~」
「わたしは奴隷ですよ、商会なんて持ったらおかしいでしょ」
「普通はな、だけど裏道はいくらでもあるし、任せておけばなんとかしてやるぞ。
今日はオスヴァルトも連れて来ていないし、秘密にしておいてやるから安心しろ」
エステファニア様は娼館主、ギルドや街の代表にも顔が効くのだろう、ここは任せてみるか。
「それではお任せしてよろしいでしょうか? わたしの商会だけでバレーナの皮を取り扱えるようにしたいのですけど、出来ますか?」
さっきまで余裕の有る表情だった娼館主の顔つきが変わった、そりゃそうだ、バレーナの皮を独占販売出来るようにしたいと言う意味だからね。
「ミヤビ、お主何を考えているのだ?」
「いやね、バレーナの皮は多い時はすごく多くて、無い時はまったく無い状態なので、一つの商会で管理していつでも買えるように出来ればいいかな?
なんて思ったのですよ、あっ、もちろん値段は据え置きですよ」
ウソは言っていないから大丈夫だろう。
「ふむ、ショーティー出来るか?」
「あっ、多分出来るんじゃないですかねぇ~、一応商会の名前だけ決めてくださいっす」
「それじゃ、スリーローズ商会でお願いします」
勤めていたお店の名前よ、店長名前借りるね。
バレーナはクジラをイメージしてください。




