第21話 中には入って来ないでね
マット洗いを言葉だけで説明するのは難易度が高いので、コッソリと覗き見です。
最初はマジックミラーにしようかと思ったけど、風流がないので、覗きの形で。
今日は実演販売、娼館主のエステファニア様を招待。
わたしとレオポルト様の三人がスリットの隙間から浴場を覗いているのだけど、ちょっとした背徳感が味わえて癖になりそうね。
戦闘奴隷のロドリゲスが実演台、商会の数少ない男性よ。
30代半ばの彼は、両親ともに奴隷と言ういわば生粋の奴隷。
そうそう奴隷同士でも結婚は出来るのよ、もちろん主人の許可は必要なんだけど、考えていた以上に自由な身分でビックリしたわ。
薄い湯帷子一枚のエルミラは優しく服を脱がすと、丁寧に戦闘奴隷の身体を拭いている。
「ロドリゲスさんごめなさいね、疲れているのにわたしの実習に付き合って頂いて」
背中越しに甘い息を吹きかけるようにが訊いている。
「そんな事無いです」
人に何かをしてもらう、それだけでも気持ちが良いのに、相手が甘いシロップみたいな若い女なんだから文句なんて出る訳ない。
「前も洗うね~」
ちょっといたずらっぽく言う、気まずくならない為の配慮は出来ているわね。
「スゴーイ、ロドリゲスさん立派! 男の人ってこんなに元気なんだね」
「はぁ、まぁ」
男性を褒める、風俗の定番なんだけど“大きい”とか“太い”とか具体的なサイズを言うのは禁句、意外にもコンプレックスな人が多いし。
“誰と比べて?”なんて返しをされる事もあるしね。
身体を清めた後、エルミラは大きな物を抱えてきた。
「手伝います」
「大丈夫よ、これ中身は空気で軽いの」
バレーナと言う海に住んでいる物凄く大きな魚、その皮は防水性があるので漁師たちが船の材料に使ったりする事があるけど、それほど一般的ではない。
少なくともロドリゲスは初めて見た。
「さぁ、ロドリゲスさん準備できましたよ、滑らない様にね。
あっ、そうそうそうやって」
「これで良いですか?」
「はい、良いですよ、それじゃ、マッサージしますね……」
◇◇
実演販売が終わるとレオポルト様はすぐに部屋に戻ってしまった、童貞君には刺激が強すぎたかな、けどこれが娼館の新しい形になるのよ。
わたしはエステファニア様にエルミラの売り込み。
「……彼女の接客はご覧のとおりです」
「うむ、見事なものだ、そのまま高級店に連れて行けそうだな、いくら払えば良い?」
“ちょっと、こちらの言い値で買ってくれるの?”
「エルミラは金貨20枚、エアーマットが金貨5枚でいかがでしょうか?」
“さぁ、どこまで値引くかな?”
「よし、良い買い物だ」
“えっ、それでいいの?”
ソープランドで使っているエアーマットは通販で買えるわ、けど大き過ぎて普通の家には置けないから買わないでね。
ソープのお部屋は想像以上に広いから錯覚しちゃうのよね、家で楽しみたいのなら普通のビーチマットで我慢してね。
ただし業務用は市販品に比べるとビニール生地も厚くて丈夫に出来ているから感触の違いが出て来るわね。
日本なら数万で買えるソープマットを金貨5枚、つまり500万円で売った、わたしはエステファニア様をお見送り。
「ミヤビよ、スリーローズ商会はこれから発展しそうだな」
「単なる仲介会社ですよ、エアーマットは滑って危ないから勝手に作って欲しくないだけですよ」
これは本音、簡単に気持ち良くなれるエアーマットはあっという間に広がりそうだし、そんな時に安全管理の出来ていない女性に任せて欲しくないの。
「ものは言い様だな、まぁ良い高級娼館に専用の部屋を造るからもっとマット娘を寄こせ、言い値で買い取るぞ」
「なかなか、適性のある娘は少ないので困っているのです」
「それなら奴隷オークションはどうだ、意外に掘り出し物が有ったりするぞ」
異世界風俗に革命の第一歩です。




