2章 7話 面談 ニルダ
昨日は脳筋なノエリアのせいで丸一日費やしてしまった。
しかし、ニルダはノエリアと違って素直だし俺の意見もしっかり聞く。
ニルダなら大丈夫だ、そう思って面談を始めたのだけど……こいつもダメだった。
「ウィリアム助祭の考えるように致します。
何なりと御命じください」
面談が始まってすぐ、黙って俺をずっと見てくる。
違うし……教える内容は教師自身が考えるものだし! 俺はそのサポートをするんだし!
その日の俺のニルダへの発言は説教で始まった。
説教を始めると、え? なんで? 私ダメだった? みたいな顔をしていたニルダだったが、俺が本気で説教をしているのに気づくと、申し訳なく感じたようでしっかり反省しているようだった。
生徒は確実に複数人……下手すると10人を超える数がいるわけで、仮に10人いるとして10人全員に同じ教え方をしてはダメだと言うことを伝える。
それぞれの生徒に合った訓練方法,教え方,そして武器があるはずなのだ。剣1つ取っても片刃の物もあれば、両手持ち片手持ちを自由に切り替えられるバスタードソード、ロングソード、ショートソードと数を上げればキリがない。俺の考える剣技の教師は、生徒一人一人をしっかり見て、それぞれに合った武器を教えてあげることができる者なのだ。
それをすることがニルダの役目なんだと伝えると、俺の思いを感じ取ってくれたのかわかりました。と言ってくれた。
ここからノエリアが熱心に面談に応じてくれた。
生徒になるべく適した武器で訓練してもらうために、木剣も数種類作ることにした。適した武器を選んであげる時は、好む戦法や筋肉の付き方を参照すること。また相手の攻撃を受ける際に、受けるか,受け流すか,躱すか、斬撃と刺突のどちらが得意か、を判断材料にすることを話し合った。
その他にも体力作りのためのランニングや、筋肉をつけるためのトレーニング、そして筋肉をつけ易い食事についても話した。あまりにもニルダが熱心に聞き、質問をしてくれるものだから、ノエリアとは違う意味で1日かけてしまったのだった。
1日目,2日目と複数人の面談をする予定だったのに一人で1日かけてしまい、面談が終わるのを待っていたリネット,修道士長から怒られた。
「助祭様……私、初日ずっと待ってたのですが」
「私もです。2日目、午後から面談すると言うので、
昼食の後ずっと椅子に座って待っていたせいで、
腰が……」
ほんと、申し訳ない。それしか言えない。ニルダとノエリアも二人からの言葉に申し訳なさそうにしていた。元はと言えばこいつらが原因だったことを忘れていたよ。
三日目の朝、朝食をとりながらそんな話をしていると手紙が届いた。
待っていたリネットの母親からの手紙だった。こちらからの頼みに対する返答は……条件付きで可と書かれていた。
リネットの母親が出した条件とは家事に参加させて欲しいと言うことだった。
もっと厳しい条件だと思っていたので肩透かしを受けてしまった。
現状、シールズ家の家事担当はリネットの母親なのであるが、本人は今まで家事などしたことがないので、結局村人が2・3日に一度屋敷を訪れてくれて家事を代わりにやってくれているのだと言う。
しかし、村人には迷惑をかけている上に家事を教えて欲しいなどと言うことはおこがましいと思い、今までずっと言えずにいて心苦しい毎日を送っていたらしい。
で、せっかく仕事をもらって教会に来るのだから、ついでに家事を教えて欲しいと言うことだったのだ。
元貴族なのに、誰かの役に立ちたい一心で苦労を負うことを苦とも思っていないの誰にでもできることではないと思う。
それとも、他家で下働きをしている夫のことを考えればこれくらいの苦労は容易いと思っているのか。
どちらにしろ、2・3人のシスターが代わりにシールズ家に行くので、人数が不足になることから家事を覚えてくれることはありがたい。
しかし、今度は教会側の問題が残っていた。シールズ家に行きたいものがいないのだ。
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