2章 6話 面談 ノエリア
各教師役との面談を実施していきます。
どうしてこうなったのかさっぱりわからないが、全員一致で俺は保健医になった。
だって俺の知識すごいんだよ? 植物学に鉱石学だよ? 建築だって読み書きだって計算だってなんでもできるんだよ? なのにどうして……。
そう思っていると、
「剣技と弓術の授業があるのだから、
怪我する者が出たら困るだろう。
それともあれか? 生徒が怪我をしても良いと?
訴えようとする親まで出るかもしれんぞ」
手当をするだけなら確かに誰でもできる。しかし、ヒールとクリーンが使えるのは俺だけだ。
怪我の手当を教会の助祭がするのであれば、怪我の心配をせずに武芸に専念できる。
ぐっ……我慢するしかないのか……。
下を向いて歯を食いしばって我慢していたらノエリアの反対側からニルダが、
「皆さん、子供のウィリアム助祭に気を使ってるんですよ。
だって大人の自分たちより子供に仕事をさせるわけには
行かないでしょう?」
と、フォローしてくれた。ニルダはいいやつだ。ほんといいやつだ。
結果、
リネット:読み書き、計算担当
修道士長:事務系業務,書類の書き方
ニルダ:剣技
ノエリア:弓術
(仮)リネットの母親:マナー・礼節担当
俺:怪我の手当
と言う分担になった。
リネットの母親にはまだ手紙を出したばかりで、届いてもいないから仮としておく。
泊りがけで通う生徒もゼロではないと考え、寝泊まりするための部屋を準備しなければならない。教室や各授業の教材の準備,広告のため、開始は一ヶ月後とした。
準備と色々と言ったが、俺が一番重要だと思っていることは授業の練習である。
誰も教師などしたことがないのだ。教師として教えることができる知識があったとしても、いきなり本番ではどうすればいいかわからないはず。
よって、俺はまず各教師担当と一対一で面談を行った。
「生徒全員に木と短剣,そして弦を渡してだな、
自分専用の弓を作らせるところから始めようと
思っている」
最初の面談はノエリア。そして、真顔で告げてきたノエリア。
はい、こいつ脳筋。ほんと脳筋。
俺は呆れてしまい、目を細めてノエリアを見つめ続けた。
「な……なんなのだっ。ダメだと言うのか?
私はこの方法で弓を覚えたのだぞっ。
私にできたのだ。他の者にだってできるだろっ」
「脳筋」
「じゃあ聞こう!聞いてやろう!
お前ならどうするつもりなんだ?
言ってみろっ」
俺の脳筋の一言でノエリアが怒った。ノエリアの言うことを簡単に訳すと、俺の意見を聞きたいとのことだったので、ノエリアの頭でも理解できるほどわかりやすく教えてやる。
授業を受けに来る生徒は、親が金を払っていると言うこと。なので、金を払う価値のある授業をしないといけない義務が俺たちには発生する。
弓の作り方さえ知らない生徒たちにいきなり弓を作らせようとして、まともな物を作るのにどれくらいかかることか。試しに、ノエリアがまともに射ることのできる弓を作れるようになるのにどれくらいかかったか聞いてみた。なんと一年かかったと言う。では、お前は金を払った結果、一年かけての成果がなんとか射ることができる程度の弓で納得ができるのか? と問うたら、反論することができなかったようでグヌヌとなっていた。
改めて、俺が最初に生徒に教えるべきことをノエリアに教えてやる。
それは弓の基本構造の勉強だ。弓がどういう原理で矢を飛ばせるようになっているか。弓,弦,矢にふさわしいのはどのような材質か。これを教えてやることで、個々の弓を得た生徒たちが、自身に適している弓がどのようなものかを知ることができるようになる。
例えば、力の弱い女性の場合。弦の張が強すぎると射ることが難しくなる。また男性の中でも力強い者の場合、弾力性の強い木に弦を張ることで力強く矢を射ることができるようになる。
最初は全員に等しく同じような弓を与えることになるが、そのまま全員卒業とは行かないのだ。最終的に、個々が持っている弓は全員異なるものであることが俺の中のベストだ。
それを告げると、ノエリアは目から鱗でも落ちたのか下を向いていた。
俺はフフンとドヤ顔でノエリアをずっと見ていると、途中で気づいたのかとても悔しそうにもっと教えろ!と俺の教えを請うてきた。
当初一人1時間くらいで終わりにする予定だった面談は、あまりにもノエリアがダメダメだったのでノエリア一人に丸一日かかってしまい、今日はこれだけで終わってしまった。
私が書いてる別作品、「1から始めるダンジョンマスター」の方もよろしくお願いいたします。




