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1話の続きです。
宜しくお願いします!
「き、きゃぁぁぁあ!?」
「……え?」
目の前のヒロインから甲高い悲鳴。
王太子からは、間抜けな声。
周りからの阿鼻叫喚。
まぁ、そりゃそうだよな。
だって俺、髪の毛投げたんだもんな。
王太子に。
何で投げたのかって?
なんかムカつくじゃん。
よくわかんない理由で婚約破棄されて。
俺の中のジュリアが汚された気分。
やっとこさ婚約破棄出来たのは嬉しいんだけどね。ムカついたからウィッグ外すついでに投げちゃった♡…なーんてな。
勿論ウィッグは特別製。なんてったって材料の髪の毛は地毛だからね。
つい最近やっとバッサリ切れた。
長い髪の毛ともおさらば。
久しぶり 短い髪の毛。
そしてさよなら。俺の悪役令嬢。
はじめまして。これからの俺。
「ふふっ。ごめんあそばせ?手が、滑ってしまいましたの」
滑ったレベルじゃ無いフルスイングしたけどな。
「な、なっ……じ、ジュリア……その髪……」
王太子は俺のウィッグを握りしめて俺の髪を指差した。
そんなに短い髪の毛はダメかね?
ダメですよね。女性が短髪なんて。
まぁ男がする髪型ですらかね。
「レーガン様。私、言ってなかった事があるのです」
俺は満面の笑みを浮かべる。
「私………こう見えて、男ですの」
気づいていました?とクスクス笑う。
「……は?……あぁ。愛する俺から婚約破棄された事で頭がおかしくなったか」
ぶふっ"愛する俺"だって。
お前のことなんざ愛した事ねーよってな。
ゲーム内のジュリアは愛してたのかもしれないけど。
まぁ、仕方ないか。
いくら髪が短髪だといえど綺麗な顔してドレスを着て、声も高いんだもんな。そりゃ女にしか見えないわな。
あぁ。声は魔法で声変わりを無理矢理抑えていた。多分すぐ低くなる。
魔法万能。なんでも出来る。
顔は母上だけどね。魔法じゃ無理だった。魔法万能じゃ無かったわ。メイク凄い。でもメイクって怖いね。女の子の顔って信用できないレベル。前もそうだった。……あれ。メイクって侍女さんの仕事じゃね?なんで母上……まぁいいか。
「愛する俺、とか。ちょっと自意識過剰なんじゃ無い?私、いつそんな素振りしましたっけ」
俺は敬語を辞めて軽く王太子を煽ってみた。
そうしたら王太子は軽く釣れた。
おい王太子。そんな簡単に煽られちゃったらこれから先の王様生活どうするのさ。
「は?自意識過剰?何言ってんだお前。お前はずっっと俺を見ていたでは無いか!!」
"ずっっと見ていた"だって!!
そりゃ見てるわ。なんか王太子がヘマして婚約破棄にならないかなぁ。早く剣振りたいなぁって思ってたんだから。言わないけど。
「そりゃ見ていますよ。だって今後国を背負っていく代表になる方ですよ?」
まぁ、こんなにアホだとは思いませんでしたけどね。
俺は座学も魔法も成績は学年主席。
王太子は剣術は学年主席だが、座学も魔法も上の下。出来るけど特別優秀でも無い。頭も考え方も硬い。
それに婚約者がいるのに他の女にうつつを抜かしてその女に惚れて婚約破棄。そんな簡単に婚約破棄なんてしちゃいけないと思うけどね。俺は感謝しかないけど。
「まぁ、そういう訳なので私は失礼させて頂きますね。えーと…ケイティ様とお幸せに」
俺は最後に淑女の礼をして踵を返した。
ごめんよヒロイン。名前うろ覚えで。合ってるよね?合ってなくてもいいか。
学園も終わったし、もう悪役令嬢の格好をして外に出ることもないだろう。
これからは平和に過ごせるはずだ。母上が怖いけど。
俺はまだ見ぬ公爵子息の生活に想いを馳せていた。
後ろで俺を見つめる王太子とケイティがいるなんて知らずに。
最後まで一応令嬢像をギリギリ?崩さずに……退場したジュリアさん。
1話で声が震えていたのは悲しかったからではなく笑うのを堪えていたからですね。




