表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

第五話 受け継がれた舞

「あんたも色々苦労したんだね」


 黒兎の話を聞いた後にあやめは一言言った。


「……感想、もっと、なんか無いのか?」


「いや、別に?」


「あんたが、まあ無害そうだなってことだけはわかった」


「……」


「それで、封印のことは?」


「さあな。なんか急に抑えられてる力が緩んだというか、一時的に力が強まったというか……よくわからないが、封印が解けた」


「その後は壺の外へ出て、辺りを見回したところで腹が減りすぎて倒れた」


「壺の中にいた理由は知らん」


「ふーん」


「……」


「淡白だな」


「よく言われる」


 そこで、沈黙を守ってたしずくが口を開いた。


「あなたの過去と、封印が解けたこと」


「総合して推理すると、恐らくあなたに呪いを与えた存在に力が戻った可能性があるわね」


「なっ!」


「……あいつはまだ生きているのか」


「あなたがこの地で封印されていた事にも何か関わるかもしれない」


「……」


「まあ、今、考えても結論でないし」


「この後はどうするの?」


 あやめは黒兎に聞く。


「行く当ても無いし、ここに……」


 被せるように言い放つ。


「却下」


「えっ」


「今聞いた話だと」


「黒兎は人間の男の子」


「私、女の子」


「同じ部屋なんてありえない」


「あと……」


「私は貧乏なのであなたを養うゆとりは無い」


「あとで河原の方向を教えるから、そこで好きなだけ草食べてね」


 それから、と続ける。


「このアパートにいるなら、庭に段ボールでうさぎ小屋作るから、そこで寝て」


「……あやめちゃん」


 ◇


「そういえば、さっきの話に出てきた神楽って何?」


「神様に奉納するための舞かな。祈りや感謝の気持ちを舞に込めて踊るの」


「ふーん」


「たとえば、こんな感じ?」


 あやめはすっと立ち上がり、呼吸を整えると、一つ一つの所作を丁寧に重ねて舞った。


 背筋を伸ばし、ゆったりとした足運び、静かな所作、指先まで意識した動き、音の無い空間で静かに舞い始めた。


 そして、一礼して終わる。


 室内は神聖な空気に包まれた。


「あ、あかね?」


「ん?あかね?あやめだよ?」


 黒兎はぼう然としている。


「あやめちゃん!何したの!」


「何って、昔、教わった舞?」


「この部屋が神域化したわよ!」


「神域化?」


「ある種の結界よ」


「簡単に言えば、この部屋を妖精界みたいな空間にしちゃったの!」


「へ?」


 ◇


「あやめちゃん、あなた、何者?」


 しずくは呆れながら聞く。


「何者って」


 あやめは苦笑い。


「途方にくれてた小学六年生からこちらにお世話になってる、現在15歳のピチピチJK、あやめちゃんですけど?」


 嘘は言ってない。


「さっきの舞は小さい頃にお母さんから教わったものだけど」


「これって神楽なの?」


「たぶん、そうだと思うけど、ちょっと効果が強力過ぎる……かな」


「な、なるほど?」


 あやめはわかってないけど、とりあえず返事をした。


 ◇ 


「あやめ、お前はなんだ?」


 復活した黒兎が問いただす。


「さっき、しずくさんに答えたけど、またー?」


「聞きたいのは、さっきの答えじゃないんだね」


「んー」


「この舞のことを、お母さんと最後に話した時だったかな」


「この舞は子供が出来たら教えなさい」


「私たちは守り人の一族だけど、もう私たちしか残っていない。守り人は私で最後。」


「だから、あなたは好きに生きなさい」


「だったかな」


「そういえば、あかねさんだっけ?」


「名字のしらと?って、どんな字?」


「白いうさぎで白兎」


「へー」


「お母さんの旧姓って、しらとなんだよね」


「「えっ!」」


「白いにますとかひしゃくの斗」


「字はちょっと違うけど、何か、関係あるのかな?」


「そういえば、どこかのお社を守ってるとか言ってたけど、どこのお社かは聞いたことないな」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ