↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/41

第三十七話 大怪獣さん

 あやめの神域によって、異相から引き摺り出された蟒蛇甲は、ゆっくりとした動作で周囲を見渡しだした。


 ワニガメの甲羅と四肢に、大蜥蜴(オオトカゲ)の頑強な肉体、そしてウツボの蛇骨のような長い首と凶悪な顎(あご)を併せ持つ、怪獣のような姿だ。


「あれが、蟒蛇甲……」


「そうよ」


「ああ、俺が知っているものより数倍大きいし、見た目も禍々しく変わっている」


「思っていた以上に大怪獣ですね」


 蟒蛇甲は周囲を警戒し、まだこちらには気が付いていない。


 ◇


「ねえ、黒兎……」


「なんだ、あかね?」


「あなたの体から……黒いモヤが出てるわよ」


「……はっ?」


「たぶん、呪いが解けそうになってるわ」


「こんなタイミングでか……」


「ここに着替えを置いておくから、解けたら着てちょうだい」


「ああ、わかった……」


「黒兎、戦闘が始まったら援護をよろしくね。あかねさんは黒兎の支援をお願い!」


「わたしは、とりあえず、大きく当たってから後は流れで!」


「おう!」


「わかったわ」


「黒兎、このままだとたぶん戦闘途中で呪いが解けるから、最初に解くわね」


 あかねは浄化の舞を舞う。


 すると、黒兎の体から黒いモヤがさらに吹き出し、体を覆う。


 やがて、その中から裸の黒兎が現れた。


「はい、さっさと着替えて戦闘準備を取る」


 あかねは黒兎を捲し立て、早く着替えるように促す。


 だが、しっかりと大事な部分を凝視していることを、あやめは見逃さなかった。


「早く着替えてくださいね」


「着替えたら飛びかかります」


 黒兎が着替え終わったころ、蟒蛇甲はこちらを視認した。


 ◇


 蟒蛇甲に気づかれた。


 だが、まだ様子を窺っているようだ。


 とにかく、大きい。


 トカゲもどきの何倍あるだろうか。


 でも、まあ、やることは決まっている。


「変身!」


 わたしはいつものジャージではなく、妖精女王の衣装に変身する。


 光が身を包み、衣装が変化していく。


 やがて、わたしの姿はミニドレス風のコスチュームへと変わった。


 そして、駆け出す。


「魔力刀!」


 手に魔力刀を呼び出し、魔力を込める。


 速度を上げながら、さらに近づく。


 そして――


「先手必勝! 風のヤイバーー!!」


 大きく斬りかかる。


 蟒蛇甲は速度に対応できず、とっさに腕で受けた。


 ザシュッ!


 グオオオオォー!


 吠える蟒蛇甲。


 初手で斬りかかることに成功したが、手応えは浅い。


 わたしはすかさず距離を取る。


 戦いの火蓋は切られた。


「大きすぎて手応えが無い」


 わたしはひとりごちる。


 脇目で黒兎の方を見る。


 あかねさんは舞で黒兎を強化中だ。


 再度、斬りかかるタイミングを計っていると、蟒蛇甲に動きがあった。


 ヴゥゥォォォン……


 低く唸ったかと思うと、蟒蛇甲の周囲に二体の和鰐が出現した。


 キシャァァァ!


 さらに吠えると、何か指示をしたのか、一体はこちらに、そしてもう一体は黒兎の方へ向かって動き出した。


 速度を上げて突っ込んでくる。


「速い」


 わたしはとっさにかわす。


「黒兎、気を付けて。前より速い!」


「わかった、あやめも気を付けろ!」


 黒兎も和鰐に対応している。


 わたしはコスチュームに魔力を込める。


 この衣装は妖精女王の加護のせいか、魔力を込めると防御力と素早さが上がる。


 なので、あかねさんの支援が無くても十分に戦える。


 和鰐の攻撃を避けながら黒兎を見ると、苦戦しているようでも、どこか余裕のようなものが見える。


 あかねさんが舞で何かしているんだろうなーと思いながら、和鰐の攻撃を捌いていく。


 そして、動きに慣れてきたので魔力刀に力を込め――


「ここっ! 風のヤイバー!」


 ザシュッ!


 グオオォー……


 和鰐を一閃。


 和鰐はうめき声のような声を上げ、黒いモヤとなって消えていった。


 黒兎はまだ戦っているが、手助けは必要なさそうだ。


 そして、わたしは蟒蛇甲を睨む。


「さぁ、勝負よ。大怪獣さん」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。