第二十七話 午後のスポーツチャンバラ
午前中はあかねさんと神楽の練習をした。
習い事なんて、お母さんに神楽を教えて貰ったきり、してなかったから新鮮だった。
あかねさんは、やっぱり、お母さんに似ている。
見た目はそうだけど、ふと見せる笑い方とか、でも、全然似てないところがやっぱりある。
見た目によらず、ドジ
見た目によらず、大雑把
見た目によらず、大食い
そう、あかねさんは『見た目によらず』 なのだ。
黙っていたら、清楚で可憐で美人なのに。
とか、考えてたら、めっちゃジト目で睨まれてた。
あかねさん、エスパー!?
「何を考えてたのかな?」
「……いえ、別に」
「そう……」
まだ何か疑われている。
「まあ、いいわ」
「午後からどうする?」
「暑いけど、少し体を動かそうかな」
「神域を張れば、適温だし」
「あかねさんは、スポーツチャンバラってやったことありませんよね?」
「少しやってみませんか?」
「そうですね……」
と、言う話をしているとゆいちゃんがやってきた。
ピンポーン
ガチャ
ノータイムで扉が開く。
「こんにちは!」
「あやめちゃん、遊ぼう!」
「ゆいちゃん、おかえりー」
「ご飯食べた?」
「帰りに食べてきた」
「今日は午後、暇だから、あやめちゃんと遊ぼうかなって」
「そうなんだ」
「今、あかねさんをスポーツチャンバラに誘うところだったんだけど、ゆいちゃんもする?」
「やるやる!」
「あかねさん、よろしくね!」
「わたしは、木村ゆい、ゆいって気軽に呼んでね」
「ゆいさん、よろしくお願いします」
挨拶を交わした後、じっと、あかねを見るゆい。
「ところで、あかねさんはあやめちゃんの親戚とかです?」
「そんな感じですね」
「どうしてです?」
「雰囲気を抜きにしたら、二人がそっくりすぎるから?」
「あー、大きな意味で、もの凄く遠い親戚になるかも?」
「そうなんだー、それなら納得」
◇
「じゃあ、神域張ります」
あやめは神楽を舞い神域を張った。
「おー」
「便利ですね」
「夏の暑さが常春のようです」
「ふふふ……」
「ようやく、あやめちゃんの偉大さがわかったようですね!」
「あー、そういうのいいから」
「さっそくやろう!」
「そうだね」
「あかねさん、まずはゆいさんとわたしが対戦するから、そこで見ててもらえます?」
「わかったわ」
あやめとゆいは動きやすい服に着替えて向き合っていた。
「フハハハ!」
そして、ゆいちゃんが突然の魔王ムーブ。
「あやめちゃん」
「ん?」
「神域を張ったことを後悔するがいい!」
「なぜなら、私たち、妖精はこの空間なら、力を存分に発揮出来るのだ!」
「これまでの負け分をそっくりひっくり返してあげる!」
「あかねさん、開始の合図をお願い!」
「え、あ、わかったわ」
「では、始め!」
合図と共にゆいちゃんは飛び込んで来た。
「それっ」
と掛け声を掛けて一瞬踏み込んで来るけど、それはフェイントで、次の動きに対応しようと、半歩下がろうとすると、ゆいさんがぶれて消えた。
「えっ」
完全に見失って、急いで周囲を見回すと、突然、後ろに現れた。
「ヤバッ」
ヤバいと思って前に飛び込んで前転して躱す。
「あやめちゃん!なんで、これ躱せるの!!」
慌てるゆい。
「なんとなく?」
「なんとなくじゃないわよ!」
「大人げないと思いながら全力で魔法まで使って奇襲してるのに!」
「どういう、反射神経してるのよ!」
「まあまあまあ」
「では、次はこっちから!」
ゆったりとした動きで距離を詰める。
間合いに入ると思ったところで体がゆらゆらとしたように見える。
ゆいは間合いを外そうと左に動く。
動きは見えている。反応もしている。なのに、あやめがついてくる。
振り切れない。
そして、振り出されるソフト剣が避けきれない。
肩口に吸い込まれていく。
「よっとっ」
ペチン
「あーーーっ」
「やーらーれーたー」
「今の何?あやめちゃん」
「ちゃんと間合いを外したのに!」
「体の動きに合わせてついていっただけですよ?」
あやめはなんてことない風に答えた。




