第二十二話 守り人の末裔
「あやめさんがお社へ入れたのは……」
「きっと、白兎の守り人の末裔だからなのでしょう」
「……」
「あの、改めまして、私の名前は風見あやめ」
「父親は風見颯真」
「母親は白斗あやなんだけど」
「白兎って、白いうさぎなんだよね」
「字が違うんだけど、何で?」
「そうね」
「名字が変わったのは明治?になってからかな」
「元々、私たちの一族は妖を倒す一族として神様からの啓示を貰い、その神様から取った名が里について白兎となっていたから白兎と名乗ってたんだけど、明治の時に名前をつけないといけないようになって、ひしゃくの白斗ってなったみたい」
「というか、あや?」
「お母さんの名前?」
「うん、そうだけど……」
「あなた、あやちゃんの娘なんだ!」
「??」
「最近、見ないなと思ってたけど、元気にしてる?」
「えっと、お知り合い?」
「ええ、お社で何回か会ったわよ」
「そうなんですか」
「母は3年ほど前に亡くなりました。その時に父も一緒に」
「……そっかー、あやちゃん亡くなったのか」
「結構、仲良しだったのよ」
「明るくて美人で可愛い娘だったのにね……」
「それ、自分で自分を褒めてます?」
あやめはジト目であかねを見た。
あかねは慌てたように話題を変える。
「まさかとは思うけど、風見って聞き覚えがあるわね」
「話でしか聞いてないから同じ一族か知らないけど」
「私がいた時代にね、東西南北の四方を司る一族と方角を示すという一族がいて併せて陰陽師五家と呼ばれた陰陽師がいたの」
「確か、方角を示すという一族の名前が風見家だったかな」
◇
「そう言えば」
「神域?」
「今気がついたんだけど」
「何で神域内にいるの?」
「あー」
「また、あかねさんが暴れて、部屋をめちゃくちゃにされるのが嫌だったので、あらかじめ張っておきました」
「……」
「その節は大変申し訳ございませんでした!」
「それはもう、暴れないならそれでいいです」
「……はい」
あかねは反省した。
「それで、これどうやって張ったの?」
「結界の舞?っていうのかな」
「それをわたしがすると神域になるみたいです」
「ほえー」
「私もよくわかってません」
「浄化の舞?もなんか効果が強いみたい」
「黒兎の呪いも一瞬ですけど解けたし」
「へー」
「そういう、同じ舞で効果が変わることは聞いたことがないから」
「あやめちゃんの性質かな」
「あやめちゃんは神楽はどれくらい舞えるの?」
「わたしは5個ですね」
「そうなんだ」
「確かあやちゃんは10個だったかな」
「よく知ってるね」
「だって何個かは私が教えたし?」
「えっ」
「何個か覚える?」
「是非!」
◇
「ところで、あかねさんはこの後、どうするの?」
「積もる話もあるし、黒兎と一緒にいようかな」
「そっかー」
「じゃー、もう一個、ダンボールハウスを設置しますね」
「ダンボール?」
「?」
「あかねさんもうさぎだし、同じ扱いでいいのかな……とか?」
「??」
「ちなみに、黒兎は今、外のダンボール箱で寝泊まりしてるけど?」
「は?」
「だって、中身は男の子だし、うさぎだし、女の子の私と同居とかありえませんよ?」
「まあ、そ、そうだよね」
「そもそも、黒兎ってうさぎだからそこらで草食べたらいいし、収入無いからダンボールで暮らすのが丁度良いかも?」
「黒兎……」
「あかねさんもご飯は草なの?」
「私は神域のお社で普通にご飯を食べてるかな……」
「そうなんだ」
「今晩は戻るの?」
「どうしようかな、今から戻ると深夜になるし……」
「あかねさんなら、泊まってもいいよ?」
「朝は新聞配達があるから、早起きで起こしてしまうかもだけど」
「そうね、じゃー、今日はお泊まりします」
「よろしくお願いしますね」
「はーい」




