第十四話 あやめの神域
「ところで、魔法少女って何だ?」
「あー」
「この間、黒兎はいなかったもんね」
では、と立ち上がるあやめ。
「ちょっと、そこで見ててね」
「変身!」
あやめの身体が光り、衣装が変わる。
白いフリルのミニドレス。
くるりと回って、ポーズを決める。
「魔法少女あやめちゃん!参上!」
「おまっ」
驚く黒兎。
「まあ、こんな感じで変身出来ます」
「あと、これかな」
「魔力刀!」
手元に刀を出す。
「こんなのも出せるようになったよ」
と武器も見せる。
「こんな感じで衣装に着替えると身体能力が上がって私も戦えるようになる感じ?」
「ほー、それが魔法少女ってやつなのか」
感心する黒兎。
「実のところ、私もあんまりわかってない」
黒兎は呆れた。
◇
「あやめちゃん」
「どうしたのしずくさん」
「ちょっと、神域出してくれる」
「はーい」
あやめは神楽を舞い神域を作る。
「あやめちゃんはこの神域内ではどんな感じ?」
「何か力が使いやすいとか、動きやすいとかある?」
「いえ、別に、たぶん普段通りですよ?」
「そっかー」
「実はね、私たち、妖精はすごく過ごしやすい空間なのよ」
「そうなんですか?」
「ここだと、妖精界と同じように力を使うことが出来るの」
「あやめちゃんは違うみたいだけど」
「でも、空を飛べるのは、この空間だけと思うわ」
「また、どこかで検証しておいてね」
「はーい」
「黒兎くんはどう?」
「俺は動きやすいかな」
「そっか」
「おそらくだけど、それ、あやめちゃんのピーマンを食べたせいかも」
「え?」
「なぜか、ピーマンにあやめちゃんの魔力が込められているから……」
「……」
「厳密にいえば、この神域は妖精界とは少し違うの」
「たぶん、あやめちゃんの元の性質に起因するものかと……」
「神楽で繋げているみたいだし」
「それに、あやめちゃんは神聖属性だから」
「本当の神域に繋がってるかも知れない」
「本当の神域?」
「神様がいる世界の空間に繋がってしまっているかも知れないっていうことね」
「えーーー!」
「本当に神様がいるかはわからないけどね」
◇
「もう、こんな時間かー」
「そろそろ、お昼ごはんにするね」
「そうね、私も戻って食べるわ」
「黒兎はどうする?」
「ピーマンならあるけど」
「おう、ありがたく頂くよ」
「わかったー」
ちょっと待ってねと、言われて出されるピーマンの山。
「ありがとな」
しゃくりしゃくりと食べる黒兎。
そこにしずくが
「あ、黒兎くん」
「ん?」
「たぶんだけど、そのピーマンの食べ過ぎに注意してね」
首をかしげる黒兎。
「?」
「ひょっとしたら、生活に支障が出るかも」
「ぇ゙っ!」
その後、黒兎は恐る恐るピーマンを食べ、結局は完食していた。
「やっぱり、草よりは美味いな」
と、言っていた。
◇
「黒兎」
「なんだ?あやめ」
「川原に行って、ちょっと魔法少女の練習するけど、一緒にどうかな?」
「そうだな」
「一緒に戦うこともあるだろうし、お互いの手札の確認はいるしな」
「いいぜ」
「ありがとう、よろしくね!」
◇
川原に到着した。
「じゃあ、神域作るね」
あやめは神楽を舞い、神域を作る。
「神域ってすごいね」
「私たち以外の人とか、普通に動いてる」
「別次元に移動したみたいだね」
「したみたいというか同じ場所なのに別の空間だぞ」
「ここなら少々無茶苦茶しても元の場所は影響無いぞ」
「へぇー」
適当に返事をするあやめ。
「お前、絶対わかってないだろ」
だんだんとあやめのことがわかってきた黒兎。
「ところで」
「あやめは神楽を何個知ってるんだ?」
「神楽?」
「おう」
「お母さんは10個覚えてたらしいよ」
「私が教えてもらったのは5個だけ」
「全部教わる前に亡くなったし」
「そうか……」
「なんかさ」
「元々は50くらいあるって言ってた。でも、口伝だから失伝したんだって」
「それで今残ってるのは、私が覚えてる5個だけになっちゃった」




