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第十一話 目覚めた力

「じゃあ、あやめちゃん」


「本契約するわよ」


「本契約?」


 あやめは首をかしげる。


「ええ」


「言うなれば、あやめちゃんはなんちゃって魔法少女なの」


「だから、妖と対抗するならそれなりの力が必要なのよ」


「それゆえの、本契約ね」

 

「わかった」


「どうすればいいの?」


「とりあえず、あやめちゃん、神域出してくれる?」


「はーい」


 あやめは言われるがままに神楽を舞い神域を張る。


 しずくは静かに続けた。


「ちょっと、あやめちゃん。そこで片膝をついて、姿勢を低くしてくれるかな」

 

「はい」

 

あやめは言われたとおり、片膝をついた。

 

しずくは静かに右手をあやめの頭上へとかざす。

 

「我、妖精女王・水森しずくの名の下に、彼の者へ祝福を授けます」

 

その瞬間、しずくは古い言葉で紡がれた祝詞のような呪文を唱え始める。

 

あやめには、その言葉を聞き取ることはできなかった。

 

やがて、柔らかな光があやめの身体を包み込む。

 

「――彼の者に、幸あれ」

 

最後の一言とともに、光はゆっくりと収まり、静寂が戻った。


「あやめちゃん」


「はい」


「儀式はこれでおしまいよ」


「なにが変わったんですか?」


「簡単に言えば、なにか一つ魔法が使えるようになったはずよ」


「たとえば、アニメでよく見る魔法の玉をぶつけるみたいなものかな」


「でも、人それぞれ得意、不得意、適性とか関係するから一概には言えないのよね」


「とりあえず、この衣装に着替えてみましょうか」


「手で触れて登録って念じてみて」


「……登録」


 すると、衣装は消えた。


「後はいつも通りよ」


「着替えたいものを意識して、『変身』と唱えるだけ」


「変身」


 あやめの身体が光り衣装が変わる。


 くるりと回りながら新しい衣装へ。


 光が収まるとそこには白を基調としたフリルのミニドレスを纏ったあやめがいた。


「きゃー!」


「素敵!かわいい!!似合ってる!!!」


「まさに妖精!」


 しずくは大はしゃぎだ。

 あやめは自身の姿を姿見で見る。


「うわっ」


 思った以上に魔法少女っぽい。


「えっと、しずくさん」


「これ」


「さっき、妖精女王の正装とか言ってませんでした?」


「言ったわね」


「これ、しずくさんも着たんですよね」


「着たわね」


「……」


 しずくは真顔で言った。


「ある意味」


「これを着るのが嫌だったから、この世界に逃げ出したっていうのもあるのよね……」


「……」


「それと、誤解の無いように訂正しておくわね」


「妖精女王の正装は大人用は大人用でちゃんとあるからね」


「ずっとそれを着てるわけじゃ無いわよ」


 ◇


「気を取り直して、魔法の確認するわよ」


「あやめちゃん」


「はい」


「先に言っておくから、ちゃんと守ってね」


「?」


「ここはあなたの部屋だから、魔力は少しずつ抑えながら出してね」


「??」


「そうしないと、この部屋吹き飛ぶわよ」


「ぇっ!」


 ◇


「まずは利き手を前に出して伸ばしてくれる」


「はい」


「右手ね」


「その手首から先に魔力を溜めてみて」


 言われるがままに魔力を集中する。


「その溜まった魔力って外に出せそう?」


「玉とか放出が出来るとか」


「いえ、出せそうに無いです」


「焦らなくていいからイメージして」


「もう一度」


「……」


「出来るイメージになりません」


「あやめちゃん」


「はい」


「魔法はね」


「極論だけど、気合いと想像力さえあればなんとかなるものなの」


「今は出来なくても覚えておいてね」


「はい」


「とは言っても、適性もあったりするから、今のあやめちゃんには難しいかもしれないわね」


「なにか身近なものとかイメージしてみて」


「身近なもの?」


「よく使う道具とかかな」


「……よく使う」


 あやめは身近なものでよく使うものを考えてみた。


「これかな……」


 右手になにかの形が象られていく。


 そして、しずくが問う。


「ナイフ?」


「いつもよく使うペティナイフですね」


「そっかー、あやめちゃんは創造系なのね」


「じゃあ、そのナイフにちょっとだけ、魔力を込めてみて」


「ほんのちょっとよ!」


「はい」


 恐る恐る魔力を込めてみる。


 ブォン!


 刃が伸びたことにあやめは驚いた。


 ペティナイフは神聖な力を感じる魔力刀へと変化した。 


「それがあやめちゃんの能力ね」


「創造した物に、邪を払う力を与える能力よ」

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