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異世界事件簿 ~魔法世界の誘拐事件 ~  作者: 海苔
本編

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27. 異臭

 

 三人分の足音が、妙に大きく感じた。

 物音なんて幾つも聞こえるのに、それだけが特別な気がして。

「すいません、ちょっと」

 いいですかと駆けて来た男が、先行していた焦げ茶の男を呼び止める。

 莉里とキルシャも、足を止める。

 何かを耳打ちされた彼奴は、ここで待っているように言って何処かへ走って行った。

「リサト君、どうしたのかなぁ?」

 依然として青褪めたキルシャが、不安そうに問い掛けてくる。

「さあ・・・?」

 意図が掴めていないので、莉里は首を傾げるしかない。

 矢張り、何かあったのだろうか。

 妙に慌てた男達。人手不足なのかとは思うが、莉里達の案内に駆り出されている彼奴まで連れて行くというのは、如何にも違和感があった。


 どちらにしても、大人しくしていた方が良いだろう。

 近くにも、何やら作業している男達が居るし、今動いて状況を悪化させるなんて事は避けたいから。

「取り敢えず、待っていようか」

「う、うん・・・」

 リサト君が言うなら、とキルシャは戸惑い交じりに頷いた。


 ――突然だった。

 息苦しくなる。体が浮いた。身動きが取れない。

(なに、これ・・・)

 拘束されてる?何で。特段目立つような行動をした覚えは無い。言われた通り、その場で待っていただけ。

 そうだ、キルシャは。気付いたら、繋いでいた筈の手の感触が無い。

 慌てて視線を横にやる。

 キルシャもまた、拘束されていた。

 顔は青褪め、微かに震えているのが如何にか分かる。


(っ不味い、キルシャ・・・!)

 手を伸ばしたいのに、抱きしめてあげたいのに、届かない自分が嫌になる。

 ぐらりと視界が揺れた。

 目の前が暗転する。


 最後に鼻をついたのは、甘いとも何とも言えない、あの異臭だった。


次話は続けて投稿。

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