25. 役割
報告を聞き、片手を額に当てる。
はあと溜息を吐いた。びくりと、部下の肩が震えるのが分かる。何時もの事だが、煩わしく感じた。
下がるよう伝え、椅子に腰掛ける。
渋い焦げ茶色の髪が視界で揺れた。
何の面白みも無い己の髪色。邪魔だと、視界に入り込んだ分を払う。
それにしても――もう一度溜息を吐いた。
(やはり駄目だったか)
元々あまり期待はしていなかったが・・・。
あの‘‘探偵‘‘を名乗る女が最初から一緒ならばまあ分かる。が、報告では兵士一人に対しても圧倒されていたようだ。
(実力不足だったな・・・)
采配を部下に任せたのは失敗だったか。彼奴はどうも、あの二人を甘く見ている節があった。
兵士として、次々と法を犯した者達を摘発していった男。
そして‘‘探偵‘‘を名乗る、美術品の様な完成された美貌を持つ女。
どちらも見てくれだけでなく、高い実力を誇っている。
特に、探偵の女は厄介だ。中々に頭が切れる。今の男では、敵わないだろう。可能性は、一にも満たない。
だというのに、部下は容姿だけだと、年若いからと侮って下も下の者達数人に任せた。
気付いてすぐ廃墟と化している場所に向かうよう言った事で、どうにか場所を知られる事は避けられた。
一応、一番近い所に居る者に春飴歌を持たせ、中に置くよう指示はしたが・・・飽く迄もその場しのぎに過ぎない。あの女が共に居るのならば、どうせすぐに見抜かれるだろう。
男は馬鹿ではない――が、特別賢い訳でも無いのだ。
罠を張り、姑息な手段を使いこなして漸く、少しの間相手が出来る程度。
男のみならばまだ対策のしようはあるが・・・生憎、女も揃っている。
探偵の女と兵士の男。互いを補い合う二人組。
此方が敵うなんて、最初から思ってはいない。
さて、どうしようか。
何時の間にか、眉間に皺が寄っていた。軽く揉み解してから立ち上がる。
扉が閉まる音が、誰も居ない部屋に響いた。
どこまで時間を稼げるか。どこまで被害を抑えられるか。腕の見せ所だ。
次話は22日20時に投稿。
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