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異世界事件簿 ~魔法世界の誘拐事件 ~  作者: 黎明
本編

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16/20

15. 闇が隠した絹と日暮れ

 

「此処か?」

 足を止めたルシャージャに尋ねる。

「うん。反応は此処から出てる」

 ルイス達の前には、古びた建物。

「ルイス、ここって使っているの?」

「俺担当じゃないんだが・・・ここらって、北東だよな」

 多分あっているだろうが、自信はそこまでない。ルシャージャに確認を取った方が確実である。

「ああ」

「なら、使われてないんじゃないか。設備とかも古いし、殆ど使われてないっていうのを前に見たぞ。此処もそうかは分からんが」

 北東は過去商業が盛んだったが、今は衰退している。

 昔の使われていた施設が多く立ち並んでいるが、時代遅れとなり今はその殆どが使われていない。

 いっその事取り壊してしまえばいい物を、国は保存している。重鎮達の考える事は、一般人であるルイスにはよく解らない。ルシャージャなら、解るのかもしれないが。


「そう」ルイスの返答に、納得したように頷く。「なら」

 なら・・・?

「少しくらい、暴れてもいいんじゃない」

 どうでも良さそうに言うが、ルイスにとっては重要な事だった。


「お?お?やる?乗り込むか?」さっと腕捲りをする。

「はしゃぐな」ぴしゃりと言われた。

 なんだ、やらないのか。残念だ。

「全く、好戦的過ぎるでしょ」

 袖戻しなよ、と呆れが滲む声で言われた。

「お前が動かなさすぎなの」

 この出不精め。

「で、どうすんの?乗り込まないんだろ?」

 どういう思考回路してんの、とぶつぶつ言っているルシャージャに疑問を投げかけた。

「早とちり。乗り込まないとは言っていない」呆れた、という副音声が付きそうだ。絶対思ってる。

 てか、どっちだよ。

「黙って最後まで話を聞け」

「へーい」

 伸ばすなと睨まれる。


 気にした様子の無いルイスに、ルシャージャは溜息を一つ吐き口を開いた。

「ルイスの言う乗り込むって、真正面から突っ込むことでしょ?」

「そうだけど」

 別にいいだろ。

「そんな事をやるのは馬鹿だけだよ」溜息を吐き、大袈裟に肩を竦める。

「おいこら」


「本当の事。そりゃあ、君達が正式に動くのなら、正面から行くだろうけど。今は、私達二人だけなんだよ?」

 手数が足りないとルシャージャは言った。

「俺いけるけど」

「知ってる。でも、私は無理だから」

 ――それに、面倒だし。

 それが本音だろ。

「お前なあ・・・」

「とにかく」語気を強めて言う。

 ルシャージャと目が合った。

「隠密行動。いいね」

 決定事項らしく、ルイスの言い分を聞く気は無い様だ。

「へいへい」頭を搔き答える。


「何があるか分かっていないんだし、離れないで」

「了解」

 その言葉を最後にどちらともなく黙り込んだ。


 目を閉じたルシャージャが、なにか魔法を行使する。

 目を開けた彼女とルイスは、暗い建物の中に消えて行った。


 絹の様な白髪と日暮れの様な金茶が風に靡いた。

次話は24日20時に投稿。

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