七、小牧先生と語らおう
珍しく、放課後の見回りに来た小牧先生。
俺と和葉ちゃんを見つけると、暇潰しをしたいとでも言いたそうに、教室の中へと入ってきた。
「あ、先に職員室に行ってくるわ。まだいろよ」
「え? 帰っちゃダメですか?」
「俺の暇潰しの相手。数学準備室にいても、居苦しいからな」
入ってくるなり、出ていく。
いつもダルそうにしていて、何を考えているのかわからない。
「見回りを終わらせたこと、報告しに行ったのか?」
「多分そうだと思うけど。小牧先生って、意外とちゃんとしてるよね」
数分後、噂をしていると小牧先生は戻ってきた。
「お待たせ~。って、待ってなかったか」
「大丈夫ですよ。私たち、待ってましたから」
「一ノ瀬、良い彼女をゲットしたな」
「ありがとうございます?」
二人きりでいれたのに、何故こんな目に、遇わなければならないのか。
「あー! そういえば、俺の兄貴、ここの卒業生でした! しかも小牧先生と同級生!」
何故すぐに思い出せなかったのか、しかも何故、今思い出すんだよ。俺!
「もしかして、一ノ瀬悠斗?」
「そうです! あと、『KiRa』って知ってますか?!」
「知ってる。水希と晶楽でしょ」
「先生、KiRaを知ってるんですか?! なんで?!」
和葉ちゃんは、大興奮。
俺でも見たことなかったから、ある意味、ラッキー!
「落ち着け、二木。なんでって言われてもな。悠斗も、水希も晶楽も、クラスメイトだったし。それに、『KiRa』の名付け親は、俺なんだぞ」
「「本当ですか!!?」」
今まで知らなかった事実。兄貴に聞いても、KiRaの二人に聞いても教えてくれなかった、ユニット名のこと。
「なんで、『KiRa』にしたんですか?」
「えっと、なんだったかな……。あ、本当は水希の『水』と晶楽の『晶』で、『水晶』になるから『クォーツ』にしたんだよ。でもあの二人、何かが違うって、反対してさ」
「それで、『KiRa』?」
小牧先生の説明はこう。
水希君と晶楽君に出会ったのは、高校生になってから。
俺の兄貴と意気投合して仲良くなり、繋がりで二人とも仲良くなったらしい。
小学生の頃から歌手になりたいという二人に、俺の兄貴と小牧先生は応援していた。
ユニット名を考える際、「一緒に考えて欲しい」と言われ、渋々考えることに。
二人の名前から一文字ずつとってみたり、よくわからない名前になったりで、行き詰まっていた時期もあるのだそう。
小牧先生が機転を利かせて、目標を聞くと、「俺たちの音楽で、新たな時代と世界を創りたい」と二人は言ったのだ。
当時、『そのノートに名前を書いたら、云々』の漫画のファンだった小牧先生は、その言葉にインスピレーションが冴え渡り、なんと、その漫画の用語である『キラ』を名付けたらしい。
しかし、その漫画では殺人鬼を示す言葉だったので、『水希』の『希』と、『晶楽』の『楽』で『キラ』。
横文字にしたらカッコいいという、俺の兄貴の提案で、『KiRa』になったのだそう。




