↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
8/14

八、月が綺麗な日

「ファンの呼称、なんて言うか知ってるよな?」

「もちろんです! 私たちが知らないわけ、ないじゃないですか!」


 KiRa(キラ)の話はまだまだ続くようで、小牧先生は色々教えてくれた。


「あの二人、ファンを『クォーツ』って、呼ぶことにしたんだよ。それぞれのファンの呼称は、考えなかったみたいなんだけどな」

「それは、ボツになったユニット名?」

「そうなんだけど、晶楽(あきら)がさ。ファンの呼称にこだわって」

「まさか、晶楽君。ボツになったユニット名から、ファンの呼称を考えたとか?」


 本当に和葉ちゃんは、KiRa(キラ)が好きなんだなぁと、思う。

 小牧先生との会話が、盛り上がりをみせているから、俺の居場所がない。


「まぁ、それもあるけど。『水(みず)』と『晶(しょう)』をくっつけた名前が、『水晶』になるなら、ファンの呼称は『クォーツ』にしたいって」

「単純ですね」

「あの二人は、そういう奴らだからな」


 チャイムが鳴り響き、最終下校の時間になっていた。


「もうこんな時間か。気をつけて帰れよ」

「「はーい」」


 ***


 西の空には、大きな夕日。

 部活終わりの生徒が多く、正門に向かって歩いていた。


「夕日が眩しいね。この時期は、暗くなるの遅いよね」

「和葉ちゃんは、帰ったら何する?」

「ご飯食べてから、執筆かな。今連載してる作品が、そろそろ終わりそうなの」

「厨病のやつ?」

「それとは別の。紘斗君、読んでくれてるでしょ」

「もしかして、あれのこと? えっ、もう終わるの?」

「うん。物語に一区切りつけたくて。シリーズとして、まだ続くから、楽しみにしてて」

「和葉ちゃん。本当、好き」

「私も好きだよ。紘斗君」


 生徒玄関から正門までの距離が、こんなにも短く思えるのは、多分俺だけだろう。


「送っていこうか? 一人じゃ危ないし」

「そんな。いいよ。紘斗君ちと反対だよ?」

「俺は大丈夫だから。送るよ」


 自然と手を繋ぐことも多くなった。

 こうして一緒に帰れるなんて、話すようになる前は、想像出来ただろうか。


「KiRa(キラ)の二人が、初めてステージに立ったのは、高二の文化祭だったんだよ」

「どんな曲だった?」

「『ラブオール・ラブゲーム』ってタイトルの曲。恋愛の曲だったよ。あの頃は歌詞の意味がわからなかったけれど、今になってわかるような気がする」

「今日の月も綺麗だね。紘斗君」


 三日月が輝き始めている、東の空。

 月が綺麗なのはきっと、二人で見る月だからかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。