六、放課後はお菓子とともに
「お待たせ~。和葉ちゃん」
「掃除長引いたの?」
「購買でお菓子買おうと思ったら、ごった返してて」
「この時間は、大変だよね」
付き合う前から、こうして放課後も話している。
特に今日は、昼休みの小牧先生について話さなければならない。
窓際の席を、少しの間拝借して。
「それでね、七松君に聞いたんだけど。小牧先生は、ここの卒業生みたい」
「マジで?」
「うん。七松君の従兄弟が、小牧先生と同級生なんだって」
「マジかよ!」
「アハハ。紘斗君、そればっか」
「え? え?!」
「このお菓子、貰うね~」
日常茶飯事になっているからなのか、いつもいつも、話すネタが尽きないのは、お互い様。
「でも意外だよね。いつもダルそうにしているあの小牧先生が、昔はチャラ男だったなんて」
「見てみたいな。小牧先生のチャラ男時代」
「紘斗君と小牧先生、どっちがチャラいのかな」
「負けたくないな~」
二人だけの時間と、二人だけの空間。
和葉ちゃんは、相変わらず小説の下書きをしたり、プロットを書いたり。
そんなときは邪魔をせず、見つからないように、スマホで俺も執筆。
「ねぇねぇ、KiRaはよく泊まりに来るの?」
「時々ね。いつもはアルバム発売前は来ないけど、今回はたまたま来た」
「紘斗君って、ゲーム強いんだね」
「俺が強いってより、あの二人が弱いだけ。ゲーム実況の動画なんて上げないでしょ?」
「見たことないかも。他の歌い手さんは上げてるのにね」
お互い顔を見ずに執筆しながら、会話することに慣れてきた。
「バトルゲームしたんだっけ?」
「そう。大乱闘のやつ」
「それ、人気だよね。私もやってる。全てのバージョン持ってるよ」
「マジで?!」
「マジで。紘斗君がやったのは、どのバージョン?」
「Sw◯tch。一対一でやったり、チーム戦やった」
この言葉の後、和葉ちゃんは無言に。
下書きに夢中になってしまったのだろう。
「お前たち、まだいたのか」
廊下から聞こえるこの声の主は、あの人だ。
「小牧先生、何してるんですか?」
「見回り。面倒くさい仕事を押し付けられた」
「それより先生、ここの卒業生って本当ですか?」
「本当。誰から聞いたんだ?」
「和葉ちゃんが、七松から聞いたらしいです。七松の従兄弟が同級生だったって」
ここで顔上げた和葉ちゃん。
集中していたからなのか、俺たちの会話を聞いていなかった様子。
「あれ? 小牧先生」
「放課後に彼氏といても、勉強してるとか、偉いな」
「あ、これは違います。趣味です」
「趣味で、勉強?」
「勉強じゃなくて、小説を書いてます」
「マジかよ。一ノ瀬は知ってんの?」
「知ってます。紘斗君も、同じサイトで書いているので」




