笑うなんて、あんまりです
中に入るべきか考えていると、アランがいきなり立ち上がり扉に近づいてきた。
覗き見していたのを怒られるかと思い、隠れようとするが生憎隠れる場所がない。
「ははは…」
重厚な扉が開ききったときアランは私の姿を見て笑った。
「笑うなんて酷いわ。」
確かに、扉の前で頭を護るようにしてしゃがんでいたら面白いかもしれない。
だけど、笑うなんてあんまりだと思う。
不満げに抗議するがにこにこと微笑みながら抱きしめてくるだけで全く取り合ってくれない。
しかし、さっきの凍てつく様な瞳では無くなったのでとりあえず良かったと思う。
七大貴族達も顔色が回復してきている。
「そういえば、どうしてここに来たんだ?」
私は、基本的には玉座の間には近寄らない。
私がいるとアランがデレデレしてしまって仕事にならないと宰相のエリックに言われたからだ。
「…お茶の時間、アランは来ないの?」
まだ会議に時間はかかりそうだしこないのかな?と思いぽつりと呟く。
元々、お茶の時間は存在しなかった。
しかし、アランが「私に会えなくて寂しい」と仕事を放棄したので宰相のエリックが考案したのだ。
エリック曰く、飴と鞭の使い分けが社畜の育成に大切だといっていた。
社畜ってなんだろう?
「会議は中断だ。1時間後に再開する!」
アランは七大貴族達に告げると私の手を取って中庭に向かって歩きだした。
⿴⿻⿸
アランと中庭に着くとお義母様がベラ達が私が育てた花達を眺めていた。
私とアランが来たのに気がついたお義母様が興奮した様子で
「この白いお花は?」
と聞いてきた。
私は人間界で育てていた花や野菜をアランに頼んで魔王城の中庭に転移してもらったのだ。
枯れてしまうかと心配していたが、枯れるどころか見たことのない品種の花まで増えていた。
もしかしたら、花達が魔界で生き抜くために自ら進化しているのかもしれない。
「それは百合という花です。花言葉は純粋や威厳です。」
「他の花言葉も分かるの?」
お義母様は見たことのない人間界の花と花言葉に興味津々だ。
私はお義母様にひとつひとつ花言葉を教えて差し上げた。
アランやメイド達は仲睦まじく喋る私とお義母様を見て微笑ましそうに眺めていた。




