ファーストコンタクトは夢の中で
「楽しかったね、お義母様達とのお茶会。」
私はキングサイズのふかふかのベッドの上で寝転がりながらアランに話しかけた。
ベッドに腰掛けてアランは書類に目を通すのを中断した。
「ん?」
「いや、本当にイレーナは可愛いな。」
さっきまで、真剣な顔で書類を見ていたのに今はデレた顔で私を見つめている。
「あの子が暴走したら、止めてあげてね。」
ふと、お義母様が帰り際にこう言っていた言葉を思い出した。
アランは私といる時はとても優しい雰囲気だ。
しかし、私以外といる時は何処か冷たい雰囲気を纏っていることが度々ある。
お義母様曰く、私に会う前はすごく冷酷な人物だったらしい。
だけど、イレーナに会ってからあの子は優しくなった、とお義母様にとても感謝された。
「そうだ、イレーナ。最近城下町が物騒だから絶対に城から出ては行けないよ。」
突然、真剣な顔でそう言った。
アランは基本的に危険な事で無ければ私のしたいようにさせてくれる。
こんなふうに釘を刺すということは、今の城下町は危険だということだ。
城下町は色々な品物が売られている商店街の様な場所だ。
売っているのは、ヤモリの尻尾や誰かさんの血液やマンドレイクなどちょっと怖いものもある。
しかし、木の実のパイや魔界で育ったフルーツや綺麗な装飾品なども多く売っていた。
私は賑やかで活気がある城下町が大好きなので、早く問題が片付くことを願うばかりだ。
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「ここはどこなの?」
私は確か、アランと寝室で話していてそのまま寝たはず…
ということはここは夢?
周りを見渡すと、乳白色のふわふわが漂う世界が延々と続いていた。
「はぁ…」
どうせ夢を見るんだったら、お花畑で走り回るとかそういう普通な夢が良かった。
何もない乳白色の世界で呆然とする夢なんて最悪すぎる。
「はぁ…」
「イリーナ…さん?」
2回目のため息をついたとき不意に名前を呼ばれた。
ぐるりと振り返ると見たことのない青年が立っていた。
「だあれ?」
「俺はフィリプだ。」
ルドルフと名乗った青年は栗色の髪に同じ色の瞳をしていた。
「貴女は…今、幸せですか?」
私をじっと見つめた後、ためらいがちにフィリプは尋ねてきた。
突然の質問に驚きつつも、フィリプをしっかりと見つめて言葉を紡ぎだす。
「私は…」
答えようとした時、不意に「イレーナ」とアランが呼ぶ声が聞こえた。
フィリプは舌打ちをすると、
「また近いうちにお会いしましょう、イレーナさん。」
笑顔で私の方に向き直り告げた。
次の瞬間私の体は物凄い力で引っ張り挙げられた。




