国王夫妻とご対面
振り返ると黒髪にアイスブルーの瞳の男性が立っていた。
「遅いです。陛下がお待ちなので、急いでください。」
声と同じように雰囲気も凛としていて、服装や立ち振る舞いからしてきっとえらい人なのだろう。
彼は私に視線を向けると
「イレーナさんですね?お待ちしておりました。」
と優しく笑って言った。
曖昧に微笑むと、彼は私達を先導して王宮の中に入っていった。
切れ長のアイスブルーの目がずっと細くなったのを見た時、庭で抱っこした猫を思い出した。
「ミリヤ、猫は?」
王宮の長い廊下を渡り始めてすぐ、私はミリヤに問いかけた。
「…はい?」
突然の問いかけにミリヤは首を傾げた。
少し考える素振りをしたあと、
「イレーナさんが魔王城で抱っこした猫ですか?」
と尋ねた。
こくりと頷くと、ミリヤが私の足元を指さした。
足元を見ると魔王城で抱っこしたのと全く同じ真っ白な猫がいた。
「その猫は、幻覚です。」
真っ白な猫を抱っこした私は首を傾げた。
触れてるのに幻覚なの?
「私は、同時に複数人には対応できませんが、他人に幻覚を見せることができます。それも、現実と見分けがつかないほどリアルなものを…」
こんなに可愛い猫が幻覚なんて残念だ。
床に幻覚の真っ白な猫を下ろしてやると、「にゃー」と一声鳴いて煙のように揺らいで消えた。
「着きました。」
凛とした声が、再び廊下に響く。
喋りこんでいる間に、いつの間にか重厚な扉の前に着いていた。
アイスブルーの瞳の男性は重厚な扉を上品にノックした。
すると、すぐに「入れ」と短く返事が返ってきた。
中に入ると、赤いカーペットの横に多くの兵が立っていて、魔王城より厳重な警備なのではなんてことを考える。
そして、赤いカーペットの先を見ると、豪奢な玉座に国王夫妻と思われる男女が座っていた。




