いざ、人間界へ
私が、人間界にあるフィリプ達をここに送った王様のいるお城に行くことを承諾してからの行動は、とても迅速だった。
多分、承諾してから人間界のお城に着くまでに1分ほどだったのではないだろうか。
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魔界のにあるボロめのホテルの一室から転移して着いたのは、様々な色の花が咲き乱れる庭園だった。
「綺麗…」
繋いでいた手を離し、花に吸い寄せられるように近づいた。
田舎暮らしだったからなのか、全く見たことのない花がざっと見ただけで数種類はあり、心が踊る。
もっとよくみようと近づこうとしたとき、不意に腕を掴まれた。
「庭園は後にしてください。陛下との謁見が先です。」
フィリプはそう言うと、私の腕を離した。
スタスタと歩いていくフィリプの背中を不満げに見つめていると、ルーチェが
「陛下との謁見が終わったら一緒に庭園を散策しましょう?」
とフィリプに聞こえないようにコソッと言ってきた。
そこから、広い庭園を歩く間にいろんなことを話した。
好きな食べ物、勇者になる前は何をしていたかなどたくさんのことを話した。
そのおかげで、お互いにタメ口で話せるくらいには仲良くなった。
「じゃあ、イレーナは魔王のことが大好きなの?」
「ええ、大好きよ。」
自信たっぷりに満面の笑みを浮かべて頷く。
「いいなぁ…」
「あら、フィリプは?」
フィリプは明らかにルーチェに好意を持っているように見えた。
ルーチェは林檎のように顔を真っ赤に染めると
「そ、そ、そんなことっ、な、ないからっ!」
とどもりながら叫んだ。
叫び声に前を歩いていたミリヤとフィリプが怪訝な顔をして振り向いた。
「何でもないからっ!」
心配そうな顔をするフィリプにルーチェは林檎のように真っ赤な顔のまま叫んだ。
フィリプが口を開きかけた時、凛とした声が庭園に響いた。




