初めての人間のお友達
「…フィリプ…なの?」
「そうです。実際に会うのは初めてですね。
ニコニコと笑いながら、彼は私に座るように勧めてきた。
進められるがまま椅子に座り、被っていたフードを脱ぐ。
改めてフィリプを見つめる。
栗色の髪と同じ色の瞳…
見た目も声も夢の中と全く同じだ。
じっと見つめていると、フィリプは照れたように笑って、
「何かついてますか?」
と聞いてきた。
「ご、ごめんなさい…夢と全く一緒だから、つい…」
他人の顔をガン見するなんて、なんて失礼なことをしてしまったのだろう。
フィリプが口を開きかけた時、
「ねぇ、どうして貴女はここにいるか分かりますか?」
ほかの声が遮って話した。
声の主はチョコレート色の髪にはちみつ色の瞳をした少女だった。
この娘も多分、私と同じくらいの年齢だと思う。
「…さぁ?なんでなんでしょうか?」
私の答えを聞いた少女はため息をつき、フィリプを見つめた。
フィリプは、少女にちかづくと小声で話し始めた。
何やら弁解しているようだった。
私はいつの間にかフードを脱いだ黒髪の少女に「喧嘩…してるの?」と尋ねる。
少女は「いつもの痴話喧嘩です」と苦笑いして答えた。
それを聞いて、チョコレート色の髪の少女は不満げな表情で「痴話喧嘩じゃない!」と叫んだ。
そして、不満げな顔のままフィリプに何か告げた。
すると、さっきまで焦った顔で弁解していたフィリプは叱られた子供のような表情をして部屋の隅っこにいってしまった。
チョコレート色の髪の少女は、フィリプのことなど気にせずに私の所に来ると、
「私の名前はルーチェといいます。もし良かったら仲良くしてください。」
と微笑んで手を差しだした。
「よろしくね、ルーチェ」
彼女の手を掴み、はにかんだ表情で答えた。
初めての人間の「友人」に気分が高揚する。
彼女は嬉しそうな顔をすると、私に今の状況を説明してくれた。
私は魔王に誘拐されて無理やり結婚させられたことになってること。
私がどんな考えを持っていたとしても、一旦人間界に来て話を聞かせて欲しいということ。
「それで…一緒に人間界に来ていただけますか?」
「ええ。私の意見を貴方達の王様に伝えなくちゃね。」




