5.目には目を(2)
※短編版のシーン(後半)です
(少しだけアルジェンヌの台詞を増量)
「ご署名ありがたく存じますわ」
中央の応接テーブルに座った五名、つまり、アルジェンヌ、エンディオン、リジット伯爵家の三名全員のサインが入った書類を眺めて、落ち着いた声でアルジェンヌは言った。
召使いに命じて外務卿の元までその書類一式を運ばせ、内容確認の上で立会人の署名を入れてもらう。
一番最後に書記が書類作成と立会の署名を入れたら紙の仕事は完了だ。
リジット伯爵は何度も詳細を確認しようとしたり聞き返しをしたが、これはゲルトラン本人が確かに頷いたことでもう合意ができているものだと押し切られた。
漠然とした不安に伯爵と後継長男が顔色を悪くしている横で、当事者の三男坊だけが『うまく乗り切った』とでも言いたげな隠しきれない喜色を目の中に浮かべて、早くこの場を終わりたそうにそわそわしていた。
「では、具体を詰めてまいりましょう。色々とご協力を仰がなくてはいけないことがありそうですので、コーヴェリアン外務卿にも、もう少しお近くに来ていただこうかしら」
アルジェンヌが望んだのでそうなった。
五名が向かい合うその左右のお誕生日席に、この国の外務大臣と書記官。
都合七名の座が出来上がった。
座席の組み替えの際に新しく人数分のコーヒーが配られて、今まで立会だけだった二名にもここからは発言が許される。なおゲルトランの前にもコーヒーは置かれたが口の布はそのままだった。
「少し質問をしても? レディ・アルジェンヌ」
「ご随意に、コーヴェリアン卿」
「同じ目に合わせるというのは具体的にどうなさるおつもりかな」
「まあ、お聞きくださる? ご相談させていただきたいのがまさしくそのことですわ!」
ぱっとアルジェンヌは表情を明るくした。
「そういった、なんと申しますか、その男のような人間を好む方々をご紹介いただかなくてはと思いますの。わたくしも心当たりがないではないのですけれど、とてもではないですが、卿のような広いお付き合いや人脈はございませんもの」
先ほどの合意文書には、最後の補足として、署名者はこの措置が円滑に進められるよう必要に応じて要求者の支援を行うこととする、という一文があった。
立会人として名を入れた白皙の美男子コーヴェリアン外務卿も、アルジェンヌには十分配慮するよう王の意向を聞いている。それでなくとも、二国間の関係維持のための助力を惜しむつもりは一片もない。
「ふむ。罰を受ける当人の前でする話ではないかもしれないが、役者か何かを使うつもりかね?」
「実際の同年代の婦女子ではむしろ女性本人が悪評を負うことになってしまいます。男にべたべたとまとわりつくような役は貴族令嬢には無理でしょう」
サジェード書記官も言葉を添える。
あら、と声を上げ、アルジェンヌはぱちくり瞬きをした。
「書記官様。おかしなことを仰ってはいけませんわ」
「おかしなことでしょうか」
「ええ。わたくし、その者は兵団のどこかに入れていただくように考えておりましたもの」
「兵団?」
「同じ国軍の中でも、辺境警備部隊ですとか、都市警邏隊や海兵隊など色々ありますでしょう? 国軍以外の領兵団や、もし信用がおけるなら傭兵団などでも良いのですけれど、立場の弱い、若い男性をお好みの方々が特にいらっしゃるのはどちらなのかしらと思案しまして」
しばし、広い応接室に絶句が満ちた。
「えっ」
と呟いたのは、最も当事者性の低いエンディオン王子だ。
「アルジェ、待って。もしかして、そういうこと?」
「そういうこと? どういう意味かしら」
「君の罰は、女性に付きまとわせるのではなく、男性に付きまとわせるということ?」
「別に必ず男性ということではないのだけれど、女性だと条件を満たすような人の当てがとても難しいのではなくて?」
「条件って」
「体格、体重、筋力、年齢、役職、爵位、財産など、およそ『力』となりうる物が少なくともいくつかは本人より上回らなくてはいけませんわ。
そういう人間で、なおかつ、彼を嫌らしい目で見ることができ、できれば目下の者の尊厳を蔑ろにしても良心の呵責をあまり覚えない方。ちょっとした言葉のやり取りで押し戻す程度では動かせなくて、軽い覚悟では逆らえない、本人にとって厄介で嫌な相手でなくてはいけないの」
男女の区別にはこだわらないわ、とアルジェンヌは寛容そうに言ってのける。
一度扇を膝に置き、コーヒーのソーサーを左手に取り、右手の指で品よくカップのハンドルをつまんで持ち上げ喉を軽く湿らせた。
「そこまで有力でもない男爵家の令嬢であり小柄で非力なレシェナにとって、わたくしという姉を除けば、その男やその悪友たちはそういう存在でしょう?
わたくしの存在を知らなかったその男は、そのつもりで、簡単には逆らえないはずだと思って学園にいる間の玩具にレシェナを選んだのよ。
こんなに理論立てて考えたのではなく無自覚なものかもしれないけれど」
徐々に話の流れを理解してきて、ゲルトランが再び、いや、以前よりも猛烈にだらだらと脂汗を流し始めた。
顔が真っ赤になり、眉は隆起し、目玉が黒目の輪郭が分かるほどに見開かれる。
「そうですわねぇ、わたくしが存じ上げるご婦人の中で言えば、カーラマイン女伯はある程度当てはまるとは思いますの」
うっと何かを飲み込みそこねたような逼迫がエンディオン以外の男性陣に走った。
かの女伯爵は横幅ではアルジェンヌ三人分、重量では四人分ほどありそうな立派な体格のご婦人である。それでいて鞭のコレクションで名高く体を動かすことは好むと見られ、また領土の広さと権勢においては他の伯爵家と比べても頭ひとつ抜けている。水の利用権を融通されているためにリジット家が頭が上がらない相手であるのも特筆すべき点かもしれない。
「ただ、少しご気性がお優しすぎるのと、そもそもお一人では手が足りないでしょう。その男、ことの初めから『僕らが』相手をしてやると宣言して、周りの方を巻き込んでレシェナを追い回したのですもの」
たおやかな笑みのまま、アルジェンヌはゆっくりとテーブルを見渡して、ゲルトランのみを飛ばして一人ずつ自国の男たちと視線を合わせていった。
――ですからわたくし、男性を好む男性の方々の集団のほうが探しやすいのではないかしらと思って。
と、ささやくように告げる。
「男性がほとんどの世界では、そのような嗜好も、ないことではないと聞きますわ。殿方の皆さまの方がそういった評判も既知の方も多うございましょうから、ぜひ、お知恵と伝手をお貸しくださいませ」
甘く願う淑女の背中を、わずかばかり傾き始めて黄色みを増した太陽の光が照らしてチリチリと金色の縁取りを与えている。逆光の中においても、ヘーゼルの瞳がちかりと強い光を放つ錯覚があった。
神秘的なほどに金色をした絶望の静寂の中。
口を布に覆われたゲルトランが
いやだ
と呟いたのが、布越しでも奇妙にはっきり、皆の耳に届いた。
彼があと一瞬で暴発して暴れ出す、ちょうどその刹那、パシッ、と閉じた扇を己の手のひらでアルジェンヌが打ちつける。
男たちはびくりとなって動きを止めた。
「もしも」
声ひとつで、身じろぎが制される。
「もしもどなたも良きご縁がなく、ゲルトラン・リジットを預けるにふさわしい場が見つからない場合ですけれど、その時は、囚人たちの雑居房に入れるのが最も簡易なようには存じますの」
「な、囚人房ですと」
「そんな」
「タウゼント嬢、それは、流石に」
「ええ。流石に最後の手段ですわね」
言葉尻を取り、まるで全員の気持ちはすでにぴったり自分の思う形で揃っているとでも言うように、至極当然のことのように、アルジェンヌはその選択肢を残した。
隣のエンディオンまでもが軽く目を瞠って、首を引き、真紅に塗られた婚約者の唇から何が飛び出すのかと注視している。
「自身よりも身分の低い婦女への付きまといや卑猥な声かけ、暴言、不躾な接近や許可のない接触などは、我が国においてそれだけでは直接牢に収監されるような罪状ではありませんから、目的と手段の重みが逆転してしまうようで、わたくしも心苦しゅうございますけれど」
嘘をつけ、と
ぶるぶる震えてゲルトランは向かいの小娘を睨みつける。
「貴族子息が牢屋で一五〇日を過ごすなんて結構な重罪に見えてしまいそうですわね? 出てくる頃には必ずや、すっかり立場をなくしてしまうことよ」
それは想像することもできない醜聞だ。
この国で貴族はそもそもほとんど公的な牢に入る例がない。蟄居から抑留に流刑まで幽閉方法は少し恐ろしいほどバラエティに富んでいるのだが、それは家の当主なり国王なりが直接的かつ個別に対策を打つものである。貴族牢こそ存在するが、これは処遇が決まるまで待つための拘置所に近い位置付けだ。
牢屋に入れられ、それも集団生活を送るとなれば、その身分は平民以外ではあり得ない。逆に言えば、そのような刑が課される場合は先に貴族の身分を剥奪されている。
「受け入れ先には、それとなく噂を流してくださいましね。貴族の生まれでも家の助けは得られなそうだとか、どうやら結構な色好みだとか。
ほんの少しでよろしいの。
立場が弱いということと、狙って良さそうだと伝われば」
彼女が話していく中で、室内の護衛、特に隣国王子を守る者たちにかすかな動きがあり、デンダールははっと真横を見る。口を塞がれたゲルトランが怒りで顔を赤くし今にも立ち上がって正面の女へ殴りかかりそうな様子であることに気が付いて、慌てて肩を強く掴んだ。
反射的に振り払おうとする動きがあったがさらに強く抑え込む。攻防を前にアルジェンヌの言葉は止まらない。
「噂には事実でないことが混ざっていても良いのよ。
たとえば、ほら、伯爵令息とは名ばかりで、平民上がりの後妻の子だとか」
「っ!」
先ほど聞いたばかりの言葉。
「ことが進んだら、ゲルトラン・リジットは男好きであるとか、男の味を覚えて自ら相手を探しているといった話が広がりますわ。ええ、わたくし確信しております。必ずそうお取り計らいいただけると、ご署名いただいた皆さまをお頼み申しておりますの」
ぱ、と扇を開き、口元を覆い、
流し目ひとつ。
「だってレシェナは、そのようにそしりを受けましたものね……?」
限界まで研ぎ澄まされた剃刀のように、その視線は鋭く列座の男たちを撫でてゆく。
彼女が加害者に求めるのはひとつ。
妹が受けたのと同じ屈辱を、加害者も味わうこと。
「ねえ、ゲルトラン・リジット」
愛を囁くくらいの甘い声でアルジェンヌは呼びかける。
「わたくしもできればお前を平民の犯罪者がひしめく牢に入れることまでは望みたくないの。
だって念のため雑居房で集団生活をさせている牢をいくつか調べさせたのだけど、そういった監獄って、獄死する人数が想像よりずいぶん多いのだもの。入れて早々に死なれてしまっては反省のほどを測ることもできないじゃない。
だからそれは最後の手段。
他で済むに越したことはないわ。
お前のご家族やここにいらっしゃるお二方がご尽力くださって、良い受け入れ先が見つかるとよろしいわね」
いつからか、罪人は後ろから二名の衛兵の手で肩を押さえつけて立てなくされていた。
隣国の護衛に手を出されてしまうような状況は国際問題になる。その懸念があれば問題が甚大化しないように先に自国兵で取り押さえるようにとあらかじめ指示が出されていたおかげで、彼らも迷いなく動くことができた。
「分かると思うけれど。
わたくしはお前を、お前の尻だの腰だのを見て、魅力的な子猫ちゃんだと舌舐めずりしてくださる方々の中に放り込んでほしいの。
お前の財産、肉体、尊厳のどれかを、いつでもめちゃくちゃにして奪ってやるぞとにやにや脅して遊ぶ集団につけ狙われてほしいの。
曲がり角のたびに誰かに道を塞がれるのではないかと怯えてほしい。
あちこちから聞こえる話し声がまるで全部自分の噂話のようで身の置き所がなくて、人の目が気になって、安全が信じられなくて、自室の寝台にすら安心して身を置けない恐怖を知ってほしい。
お前がわたくしの妹や今まで踏みつけにしてきた者たちにしたのと同じように」
ゲルトランの顔はある瞬間は紙のように真っ白く血の気が引き、またある瞬間は沸騰したかのように紅潮し、目まぐるしくその様相を変えた。声とは言えない唸りが喉の奥にわだかまり、汗と涎が滴って太ももあたりの衣服に見苦しく染みがにじんだ。背後から押し付けられた温かみの一切ない手に驚いて振り向き、横を向き、目玉がぎょろぎょろと味方を探した。
片腕はずっと隣の長兄に掴まれたままだった。
父親である伯爵は途中でその様子を見やって呆然として、十分に理解ができると己の顔を手で覆って下を向いた。
「誠実な、当たり前の、真人間のふるまいを学びなさい。
お前は隣国の王族の前でそれを誓ったのよ。
心を入れ替えてから行動を直すのでは追いつかないでしょうから、形から入り、行動によって己の脳裏に規範を塗り込んでいきなさい。
カード賭博で借金を背負わせた相手に遊びやすい女を紹介しろなどと求めたり、フットマンに煙草だの金貨だのを押し付けて自分の悪行を見逃せと強いたりしてはだめ。自分の屋敷だろうと町場だろうと、女給の尻や胸を揉んだりしてはだめ。平民と見るや一晩いくらだとか下世話な言葉をかけてはだめ。道の物乞いに銅貨を落としては伸ばした手を踏みつけて遊んではだめ。
それの何がいけないのかとお前は思うでしょうね。
でも本当はもうお前は知っているの。
人に見られたら相手によっては都合が悪いと感じること。
それが人倫にもとることよ。
この場にいる人間の前でできないことは誰もいなくてもやめなさい。見られたら言い訳がいることはやめなさい。ネズミのようにあらゆることに慎重になり、お前がつけ込んだレシェナの高潔さと慎み深さをお前こそが持ちなさい。逃がしはしないわ。お前は自分で誓ったの。己が行いを悔い、振る舞いを改め、貴賤や男女を問わず、他者に横暴は二度と働かないと誓った。
貴族がその家名にかけた誓いをどれほどと思って?
王族が、国の代表が、立会人を務めた意味を分かっていて?
リジット伯爵家はその当主と後継ぎが二代に渡ってお前の誓いを請け負った。二つの国はそれぞれが国の代表を立ててそれを是認した。だからこの誓いは必ず果たされなくてはならない。お前も貴族ならば分かるわね。国の威信が本当に損なわれるかはさておいても、家の面子と存亡くらいはお前の更生にかかっているということよ」
「そん……っ!?」
声を上げたのはリジット伯爵グイドその人だった。
うつむいていた顔面を跳ね上げ唇を震わせる。
「存亡……などと……」
口に出してしまっている自覚もなさそうな様子である。
「ご存知なかったかしら。
わたくし、潰れた貴族家の遺児ですの。
ここにいるどなたより、お家など簡単に潰せることを、潰したところで一門以外の人間にはなんの痛痒もないことを、骨の髄から知っておりますわ」
悪い予感はずっとしていた。
上位者に囲まれて流されるように署名を受け入れてしまった。
ここに来てリジット伯爵は、会見の条件として妻の帯同を許されなかった理由に思いを巡らせ始めていた。
夫人本人の性格を思えば元からこちらも同席など選択肢に入れていなかったし、相手も息子に甘い女親から嘴を挟まれるのを嫌ったのだろうと大きな疑問も持たずに受け入れた条件だったが、相手からわざわざ指定を入れてきたということは、女性が同席していては――踏みにじられた娘の恐怖と恨みの深さを察せられる人間がいては――都合が悪かったのかもしれない。
本当にこの程度のことで良いのかと訝りながらもサインをしてしまうより前に、逃げの一手のゲルトランが考えなしに誓いを立てる前に、身を投げ出して親として心底から謝罪を繰り返して、なりふり構わず慈悲を願えば、アルジェンヌが描く計画の一端でも聞き出して、今一度の再考を懇願することができたかもしれない。
だがすべては「たられば」。
推測、仮定の話だ。
分かっているのは、もう後戻りはできないところまで来てしまっているということ。
もしここに妻がいたならわずかなりとも事態は違っていたのではないかと、意味のない夢想をしてしまうほどに。
「リジット伯爵グイド・リジット様。ご嫡男デンダール・リジット様」
裁判官の木槌が鳴るように、スタンと何かを打ち落とす明快さで凛と侯爵令嬢アルジェンヌの声が響き渡った。
呼ばれた二人は無意識にはっと姿勢を正す。
「伯爵家の皆さまにおかれましては本日このような場を設けていただき、また決して気持ちの良いお話ではないのに、ご異存を挟むこともなく、わたくしのお願いをすべて容れていただいて心より感謝いたしますわ。
タウゼント家の事務官と武官を数名お預けしますので、コーヴェリアン外務卿やサジェード書記官ともご相談いただいて、受け入れ先や方針のご相談がありましたら日夜を嫌わずにいつでもその者たちへお申し付けくださいませ。隣国での教育があるわたくしがこの国にいられるのはあと二週間ばかりですから、受け入れ先の内諾は五日以内に取り付けましょう。話を進めるのに圧力が必要でしたらエンディオン様からもある程度委任をいただいておきます。タウゼント侯爵家の名前でよろしければ本件に限っては使っていただいても結構。
書記官様とコーヴェリアン卿は関係先へのご支援と、国王陛下への状況と進捗の耳打ちもお願いいたします」
作ったような笑みを消し、言葉尻からもわざとらしい言い回しや見下したような口ぶりを減らして、謝意を示したアルジェンヌの態度は、やにわに実務的に切り替わった。
淡々とした様子への急ハンドルについていけずリジット伯爵は目を白黒させ、コーヴェリアン法務卿はじっと探るような眼差しで若い娘を見ている。そんな視線の交錯に気付いた隣席の王子がちらりと目を合わせて軽く笑い、すっかり冷めたコーヒーの器を持ち上げ口に運んだ。
「そろそろ、この不毛な会談も終わりかな、アルジェンヌ?」
「ええ。お付き合いくださってありがとうございました、エンディオン様」
「その男は反省できると思う?」
「しますわ。そうでなければ失うものがあまりに多うございますもの。でもまずは後悔するところからですわね」
「良い場所が見つかるのかな」
「試しに入れてみて上手くいかなければ、次の候補地に移して一五〇日をやりなおしましょうね。何度でも、カウントを初日に戻して、一五〇日を最初から。皆様の伝手がすべて失敗したら最後は牢屋行きですけれど、きっと大丈夫です。だって」
扇で口元だけ隠して、華やかにアルジェンヌは笑った。
「その男、なかなか見られる容姿はしていますもの。きっとどこかでは相手をしてもらえますわ」
次回は翌日以降のお話。
エピローグ、あるいは飲み物のあるいくつかの風景。




