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Snow flakes   作者: 山吹 ことり
スノーフレークス編

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188/213

反射

 最終日。


 袖に戻る途中。


 ヒナタが、

 ポケットを探ってから立ち止まる。


 次の瞬間。


 ステージの方へ向かって、

 軽く腕を振った。


 音もなく、

 小さなピックが闇に消える。


 ハヤテが気づいて言う。


「投げたな」


「反射」


 コウタが笑う。


「客席、見てた?」


「見てない」


 即答。


 ハヤテが、

 タオルを投げる。


「今まで一回もやってなかったよな」


「似合わないと思ってた」


「で、どうだった」


 ヒナタは、

 少し考えてから言う。


「……悪くなかった」


 コウタが頷く。


「じゃあ、次もあるな」


 ヒナタは肩をすくめる。


「調子よければ」


 その言い方が、

 一番ヒナタらしかった。


 楽屋。


 コウタが、

 スマホを見たまま言う。


「……反応、来てる」


 ハヤテが、

 タオル越しに顔を上げる。


「もう?」


「早いな」


 ヒナタは、

 ケースを閉めながら聞く。


「どんな」


 コウタが、

 画面を読み上げる。


「急に飛んできて心臓止まった、とか」


 ハヤテが、

 小さく笑う。


「そりゃそうなる」


 ヒナタは、

 少し間を置いて言った。


「……大げさだな」


「初回だからだろ」


 コウタが続ける。


「次は慣れる」


 ヒナタは、

 一瞬だけ考えてから、

 首を振る。


「慣れなくていい」


 ハヤテが頷く。


「そのほうが、

 投げる側も緊張するしな」


 ヒナタは何も言わず、

 空になったピックケースを閉じた。


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