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幕間|灰皿
スタジオのテーブルの上に、
灰皿が置かれていた。
中には、
短くなった煙草が一本。
コウタは吸わない。
自分でもない。
「……ヒナタ」
ハヤテが、小さく息を吐いた。
しばらくして、
ドアが開いた。
「おはよ」
コウタが入ってくる。
片手に缶コーヒー。
もう片方には、コンビニの袋。
テーブルの上を見て、
小さく目を細めた。
「あれ、タバコ」
ハヤテは答えない。
コウタも、
それ以上は聞かなかった。
灰皿のそばにコンビニの袋を置いて、
中から水を一本出す。
それを、
テーブルの端に置いた。
「……片づけないでいいよ」
ハヤテが顔を上げる。
「え?」
「そのままで」
ハヤテは少し黙ってから、
困ったように笑った。
「そういうとこ、コウタだよな」
「なにが」
「いや、別に」
ドアの向こうから、
足音が近づいてくる。
軽くもない。
重くもない。
ただ、
少しだけ遅い足音。
コウタは水のボトルを、
ヒナタの席のほうへ少しだけ寄せた。




