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幕間|余熱
部屋の電気を、つけない。
カーテンの隙間から、
街の光だけが差し込んでいる。
ヒナタは、
ギターケースを壁に立てかけ、
その前に腰を下ろした。
ツアーは終わった。
体は、
まだ少し重い。
でも、
嫌な疲れじゃない。
耳の奥に、
いくつもの音が残っている。
歓声。
足音。
跳ねる床。
重くて、丸い低音。
——ジャンプ。
ふと、
口元が緩む。
理由は、
自分でも分からない。
スマ―トフォンが、
テーブルの上で光る。
通知は見ない。
今は、いい。
ヒナタは、
ギターをケースから出さないまま、
指だけを動かす。
何も鳴らない。
でも、
音はそこにある。
——届け。
小さく、
心の中で呟く。
誰に向けた言葉かは、
決めない。
決めなくていい。
ヒナタは、
ゆっくりと息を吐く。
前を見ている。
ちゃんと。




