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Snow flakes   作者: 山吹 ことり
うさぎ編

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161/212

幕間|余熱

 部屋の電気を、つけない。


 カーテンの隙間から、

 街の光だけが差し込んでいる。


 ヒナタは、

 ギターケースを壁に立てかけ、

 その前に腰を下ろした。


 ツアーは終わった。


 体は、

 まだ少し重い。


 でも、

 嫌な疲れじゃない。


 耳の奥に、

 いくつもの音が残っている。


 歓声。

 足音。

 跳ねる床。

 重くて、丸い低音。


 ——ジャンプ。


 ふと、

 口元が緩む。


 理由は、

 自分でも分からない。


 スマ―トフォンが、

 テーブルの上で光る。


 通知は見ない。


 今は、いい。


 ヒナタは、

 ギターをケースから出さないまま、

 指だけを動かす。


 何も鳴らない。


 でも、

 音はそこにある。


 ——届け。


 小さく、

 心の中で呟く。


 誰に向けた言葉かは、

 決めない。


 決めなくていい。


 ヒナタは、

 ゆっくりと息を吐く。


 前を見ている。


 ちゃんと。

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