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おつかれ
楽屋に戻ると、
誰からともなく、
息が抜けた。
「……終わったな」
ハヤテが、
椅子に座りながら言う。
「終わった」
ヒナタは、
ケースを下ろして頷く。
コウタは、
壁にもたれて笑った。
「長かった」
「長かったな」
ハヤテが、
すぐ乗る。
「移動、
何回したと思う?」
「数えたくない」
ヒナタが、
即答する。
「新記録じゃない?」
「誰の?」
「俺らの」
ハヤテが、
ペットボトルを振る。
「打ち上げは?」
「今日は帰る」
ヒナタ。
「明日、寝る」
コウタ。
「だな」
全員一致。
一拍。
「……でもさ」
ハヤテが言う。
「楽しかったな」
誰も、
否定しない。
ヒナタは、
少しだけ、
口元を緩める。
コウタは、
黙って、
頷いた。
「じゃ」
「また」
「おつかれ」
それぞれ、
荷物を持って、
立ち上がる。
ドアの前で、
一瞬だけ、
視線が交わる。
言葉は、
いらない。
いい顔をしていた。
それぞれの、
帰り道へ。




