表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Snow flakes   作者: 山吹 ことり
うさぎ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
157/219

幕間|手応え

 ホテルの裏手に、

 小さな温泉があった。


 大浴場、というほどでもない。

 でも、ちゃんと湯気が立っている。


「……生き返る」


 ハヤテが、

 肩まで沈みながら言う。


「声でかい」


 ヒナタが、

 向かいで静かに湯をすくう。


「いや、今日のは効いたって。

 移動とライブのセットは」


 コウタが言う。

 壁にもたれて、目を閉じる。


 湯の音。

 天井の換気扇。

 遠くで、誰かの笑い声。


「温泉あるとこ、当たりだよな」


 ハヤテ。


「飯もうまい率、高い」


「だいたい一緒」


 ヒナタ。


「ツアー中、

 これ基準にしたい」


「温泉指数?」


「大事だろ」


 どうでもいい話。

 でも、誰も急がない。


「……今日さ」


 コウタが、

 ぽつりと言う。


 二人が、

 同時に見る。


「音、やりやすかった」


 説明はしない。


「うん」


 ヒナタが頷く。


「跳ねてた」


 ハヤテが言う。


「丸かったな」


「……それ」


 コウタが、

 小さく笑う。


「さっきから言われる」


「いい意味でな」


「分かってる」


 湯が、

 静かに揺れる。


「ツアー、長いぞ」


 ハヤテ。


「覚悟しとけ」


「してる」


 ヒナタが、

 短く言う。


「だから、

 今のままで行く」


 いつもの言い方。

 でも、今は少し違う。


 コウタは、

 湯から上がる。


「のぼせる前に出る」


「早くない?」


「これ以上いると、

 寝そう」


 脱衣所に向かう背中を、

 二人が見送る。


 廊下に出ると、

 空気がひんやりしている。


 コウタは、

 自販機の前で立ち止まる。


 ペットボトルの水を買って、

 一口。


 重くて、

 丸い音。


 ――ジャンプ。


 思い出す。

 でも、引っ張られない。


「悪くないな」


 小さく、

 独り言。


 遠くで、

 ハヤテの笑い声が聞こえた。


 ちゃんと、

 三人で進んでいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ