月の使者 ルナ
「わ、私は_」
「フォルツ...殿下を私との婚約なんかで縛りたくなどありません。
私は6歳ですが、この国の歴代の王たちの中で幼いころからの婚約者と結婚したのは半分以下だと言っていおります。歴代の王たちは真実の愛を見つけたとおっしゃっていたそうです。
それと同じく殿下にも。おそらく。いえ!絶対真実の愛で愛する人が現れるはずです!
そんな時そのお相手と殿下の恋路を邪魔するなんてこと私はしたくありませんっ!」
私の素直な感想だった。
殿下は幼いころに結ばれた婚約に縛られていた。
し・か・も。
傲慢&我儘で有名な私と。王太子妃、公爵令嬢の権力を振りかざし侍女をクビにするのが特技な私と!
そんな時彼の心を救ったのはヒロイン。
名を、アマリリス・カリナーシュ。
背中までのフワフワの髪の毛を耳の下でツインテールに結んでいる。
太陽の光に照らされてキラキラと輝くはちみつ色の髪の毛がきれいなんだよねぇ。
その髪色に合うぱっちり二重のクリりとした瞳はうっすら桃色。
乙女ゲームの主人公には申し分ない顔立ちの美少女。
おまけに国の保護対象である光の魔力保持者。
性格ももちろん良く、誰にでも優しい。
それに引き換え私の性格は最悪。
魔力も微々なもの。
殿下の近くにいるものは排除!が座右の銘。
こんな私がアマリリスに勝てるはずがない。
酷いフラれかたをされるのならできれば婚約はなしにしてもらいたい。
私が殿下に心から愛する方が現れると力説すると陛下と王妃様は顔を見合わせて困った顔をした。
「アリスリア嬢。君が月の女神に加護を受けていることはもうこの大陸中に知れ渡ってしまったんだ。
神の加護持ちは光の魔力保持者より貴重なんだ。
だから君の身を守るためには王族との婚約関係を持っていた方がいいんだよ。」
なんか今聞きなれない言葉が聞こえてきてしまった。
月の女神の加護!?
ってありえないって。
ヒロインが光の神から加護を受けるんだよね。
私が神からの加護なんてありえないんだよ。私悪役令嬢だよ?
そんなことを思いながら癖で耳元に触れるとシャラン。と音がした。
なんだろぉ。と耳元から何かを外すと私の手の中にはえげつないものがあった。
『月のピアス』
神から加護を受けたものには神の私物が贈られるのだ。
私は月の女神のピアス。
金色に輝く宝石がはまっている。
月の形に加工してある。
おそらく月の女神・精霊の世界の宝石だろう。
恐ろしいほどきれいな魔力を感じる。
『わたくしは月の女神ディアナ。わたくしはあなたのことが気に入ってしまったのぉ。だから勝手に契約させてもらったわぁ!これからよろしくねぇ!』
あまりの美しさにピアスを握りしめていると美しい声が聞こえてきた。
月の女神ディアナ様のお声だ。
『このピアスはねぇ!アリス。あなたと会話できるのぉ!私のことはディアナと呼んでぇ!
いつでも呼んでねぇ!』
何と勝手な。
『ディアナ様!仕事してください!部屋が書類で埋まっています!』
後ろからこんな声が聞こえた。
『あ~!いいところに来たわねぇ!ルナ!』
『はい?』
『ルナには人間界でアリスのことを見守ってもらうわぁ!』
私そっちのけで会話が進められている。
『は~ぁ?何とかってな!でぃあなさm_』
ルナ様?が言い終わらないうちに私のベットの横に美少年が転送されてきていた。
「ルナ様?」
私が控えめに聞くと美少年改めルナ様が
『はい....』
と答えた。
群青色の夜空を思わす髪の毛。
ディアナ様。ディアナと同じく輝く金色の瞳。
どうやら月の妖精は金色の瞳らしい。
執事服に近い服を着ているとてつもない美少年だ。
『アリス様。そんなことなのでよろしくお願いします...』
あー。この人ディアナから一番被害受けてる人だ。
「は、はい。あと私に敬語は不要です。あとアリスと呼んでください。
お互いディアナに振り回されたので仲間ですから。」
私がに顔をゆがめて言うと。
『うん。そうだよね。僕もディアナ様に振り回されまくってたからさ。わかってくれる人がいてうれしい。』
フッ。とうっすら笑った彼の笑顔はさすが精霊といえるような美しい笑顔だった。
「アリス!?誰この人!」
見とれていた私に突っ込んだのはお兄様だった。
そりゃ、理解できないよね。
私がピアスを見つめて話し始めて美少年が転送されてくるなんて。
私では説明できない。
どうしようと頭を抱えていた時ルナが口を開いた。
『アリスの代わりに僕が。僕は月の精霊で月の女神ディアナ様の側近。ルナです。
ディアナ様の気まぐれで人間界に送られてきてしまったんです...
本題ですがディアナ様はアリスと契約してしまいました。
なので月の魔法が使えます。
なんて爆弾発言を。
いっそう婚約が進むだろぉう!?
私が一人落ち込んでいるとルナがきょとんとした瞳で見つめてきた。




