暴走
げ、なんだこの金髪は。
「ふふぅ?わたくしの美貌に見とれてますのぉ?わかりますわぁ!」
ん?
このこ、6歳だよね。
頭いっちゃってる疑惑。
隣を見ると攻略対象たちの顔もぽかんとしてる。
先に我を取り戻したのは私だ。
「あ、あの誰でしょうか...?」
「あらぁ!なんかお邪魔ムシがいるじゃないですかぁ?それにわたくしを存じ上げていないなんて馬鹿ですのぉ?
わたくしこそ誇り高きカタージュ侯爵家の娘 リリスア・カタージュですわぁ!」
あ~。
ゲームの中では犯罪犯して平民落ちしたとこか。
「それにしてもぉ!殿方たちの周りにいていいのはわたくしだけですのよぉ?
貴方たちどうせ男爵・子爵程度の爵位でしょうぉ?」
んんんんん?
この子痛い子じゃん。
私の実家、国の最高峰の公爵家だし。
お母様も隣国の侯爵家の娘だし。
南の大国国王の右腕の宰相職に代々ついてる家系だし。
大丈夫かぁ?この子...
素直に心配なんだけど。
そんなことお気にせず「それにしてもぉ、服は上等なのですねぇ。」
と、私のドレスを指さしてくる。
あぁ。
お母様とお父様が作ってくれたドレス。
ワンピースに近いんだけど、銀の糸で刺繍してある襟が上品なんだよねぇ!
腰にはキレイな群青色のリボンが巻かれてる。
スカートのすそにはフリルと、青の糸で刺繍した薔薇があしらわれてる。
膝上はさすがにNGらしく膝下なのだけど。
でも、私に似合うように半袖にしてくれた。
腰まである金髪は飾らずおろしてある。
「ふふぅ!そのきれいな白色のドレスぅ。茶色になったらもっといいのですがねぇ?」
は?茶色?
次の瞬間、白のドレスが茶色に染まっていく。
一瞬のことだった。
彼女が、この子が。
私のスカートに紅茶をこぼしたんだ。
「さぁあ!どうですかぁ?可愛いでしょぉ?」
いや。
やめて。
お母様とお父様がせっかく作ってくれた服を汚さないで。
ザァァァァァァ
ぽつぽつと雨が降り始める。
私の水魔法。
「今何をしたんですか。」
「ちょ、あんた何したのよぉ!?わたくしのきれいな顔が雨でぬれるじゃなぁい!」
まだそんなこと言うの?
「まだそんなこと言うのね。じゃあ、あなたには魔力の差で分からせるしかないようね。」
私の瞳には光がなかったらしい。




