(94)地底龍の脅威
2日連続の投稿です。
今回バトルはありません。
ただリヒトの力の一端と、秘密が少しだけ明かされます。
それに地底龍が仲間になります。
ではでは本編をお楽しみください。
初日は謁見のみで終わり、翌日…俺達は、準備して出掛ける。
「こっちで良いのか?」
現場までの道案内を買って出てくれたドワーフの兵士に尋ねる。
「はい!使徒様こちらです!」
「あのさ…その使徒様ってのやめにしてくれないか?俺にはリヒトって名前があるんだからさ」
「で、ですが、自分などが使徒様のお名前を呼んで良いのでしょうか?」
「普通に接してほしい」
渋る彼にお願いする。
最初は渋っていたが、しばらくすると名前で呼ぶようになってくれた。
相変わらず、様付けではあるけど…。
「リヒト様!もうすぐ問題の現場に着きます!」
「わかった」
頷き答える。
岩だらけの現場に着く、鉱石の採掘場のようだ。
「ここか…」
「特に変わったところはなさそうだね?」
「ん〜」
妙な気配がする地面を睨みつけ考え込む。
「リヒト?何か気になることでもあるの?」
怪訝そうに聞いてくるクロト。
「あ〜変な気配がさっきから地中からするんだよな〜」
眉間に皺を寄せつつ答えると、皆地面に視線を向ける。
「地中に何か潜んでんのか?兄貴」
「わからん」
「地底龍じゃからな〜そいつかもしれんぞ?」
「それはそれで困るような…」
案内してくれた兵士が、困り顔で言う。
その時大きな揺れが起こる。
何かが地上に現れようとしているらしい。
地面が盛り上がっていく。
「きゃあ⁉︎」
何故かフィアナ以外の女性陣が全て俺に抱きつく。
何故だ?
クロトやレオンもいるのに何故俺?
困惑しつつも彼女達を守る為に結界術を展開する。
そうこうしていると盛り上がった地面の中から地底龍が現れる。
「こいつが地底龍か…でかいな」
その巨体を見上げながら言う。
すると徐に地底龍と視線が合う。
「人間…か?…それにしては妙な気配がする人族だな?」
頭の中に直接低い重低音が響く。
どうやら地底龍の声らしい。
喋るのかよ。
「まさか意思の疎通ができるとは思わなかったな。驚いた」
「貴様は何者か?」
「リヒト・カサギリ…SSSランクの冒険者にして転生の女神アレンシエルの使徒だ。お前を討伐しにきた」
「ほう…転生の女神の使徒か…ようやく本腰を上げたか?」
物珍しそうに俺を見下ろす地底龍。
「しかし…本当に不思議な男だな?」
「は?何が?」
地底龍が何を言いたいのかわからず聞き返してしまった。
暫く考えた後、徐に話し出す地底龍。
「貴様から僅かに神気を感じる。それもこの世界の神々の物ではない神気だ。人族とは思えん」
「失礼な!俺は人間だ!元々はこの世界の人間ではないが、俺は異世界地球からの転生者だ」
「異世界からの転生者だったか」
「まあな」
「無理矢理巻き込まれたのだろうな。面倒をかけるが我を倒してくれ。このままでは、この世界が滅びる。魔神様はあの女にたぶらかされているのだ」
「あの女?」
「最高司祭アルテミシア…あれは世界を滅ぼす魔女だ」
「アルテミシア…最高司祭って事は教会と言うか教国の関係者か?」
「ふむ…そうだ。生に異常なまでの執着を見せ人の領域を逸脱してしまった魔女だ。貴様も気をつけると良い。あの女はお前さえも取り込もうとするだろうな。事実魔王も取り込まれたからな」
「魔王が⁉︎」
驚きの事実だ。
何の目的があって魔王や魔神を誑かすんだ?
疑問に思っていると地底龍が答えを示してくれた。
「彼奴は、神の座を狙っておるのよ。女神の権能を奪うのが目的じゃな?」
「女神を引き摺り下ろすつもりなのか?」
「間違いなかろう」
「何故それを俺に話す?」
「さての…お主から清廉な神気を感じたからだの」
「ん?よくわからないが、忠告感謝しよう」
「うむ…では儂を討伐してくれ。もうそろそろ意識を保っていられなくなる」
「意識を乗っ取られると?」
「うむ…そうじゃな」
「…そいつの仕業か?」
「うむ…儂の眠りを妨げた際、儂の意識を操る術式を埋め込まれたのじゃ」
「ひどい事するな」
眉間に皺を寄せつつ忌々しげにつぶやく。
「儂の様な人外の存在の為に怒ってくれるのか?ありがたい。その気持ちだけで充分じゃ」
徐に立ち上がり、地底龍のそばに行き、その体に触れる。
静かに目を閉じ目を開くと俺の目は先日の様に黄金に輝いていた。
その目で見ると体に埋め込まれた術式が見える。
「これか…」
徐に術式を掴み、解いていく。
完全に解くと、二度とこんなことにならない様に刻印をする。
その体に、八百万の神の最高神天照の名を刻み、加護を与える。
「おお…力が漲る。何をしたのか?
「異世界地球の神…八百万の神の最高神天照大御神の名を刻印し、天照大御神の加護を与えた。これでお前に手出しはできないはずだ」
「お主何者だ?それにそれは神眼ではないか?」
「知らん。できると確信したからしてみただけだ」
「不思議な男だな…」
自分でも不思議だができる様な気がしたんだよな。
何でだろ?
だがこれで問題は解決した。
「なあ地底龍…行方不明になった者達はどこにいる?」
「魔族どもが連れて行ったから、詳しい事はわからん」
「じゃあひとつ頼まれてくれないか?」
「其方の願いだ聞こう」
「この国を守ってくれないか?」
「それだけで良いのか?」
「ああ…頼めるか?守護龍としてこの国を守ってくれ」
「承知した。だが儂は真兄もついていきたいと思っとる。儂の分身体を渡すから側に置いてくれんかの?」
そういうと自分の小さな分身体を作る。
「わかったよ。この子の名は?」
「お主がつけてくれ」
「じゃあアースだな」
「アース?」
「地球の言葉で大地を意味する言葉だ」
「わかった。我はアース!よろしく主!」
嬉しそうに尻尾を振るアース。
俺の肩にのりご機嫌な様子。
とにかく大きな戦闘にならずについたしな。
良かった。
「でもリヒトこれで大丈夫なの?魔神の力を削ったことになるのかな?」
「それに関しては問題なかろう。儂は今や主の眷属となっているからな。魔神との繋がりはない」
「それなら良いのかな?でも驚いたよ。君のあの目が神眼だったなんて…」
驚くクロト。
それは俺もなんだが?
まあなる様になるかな?
今考えたところで答えは出ない。
情報が少なすぎるからだ。
とりあえず、脇に置いといて。
地底龍の問題が片付いた事を城に伝えに戻る。
後は攫われた人達を救出したら解決だな。
どうやって行方を探すか思案しつつ城に戻った。
如何でしたか?
今回バトルはありませんでしたが、少しだけリヒトの秘密を書きました。
楽しんでいただけたら幸いです。
では次回も楽しみに…。
緋勇蒼夜




