(62)死霊の街サカリア
ロードとの最終戦です。
レオンの正体が明らかになります。
では本編をお楽しみください。
炭鉱の街グルズから半日ほど離れた場所に、不死族で溢れた滅びた街があった。
つい数ヶ月前までは、命あるもの達で溢れ賑わっていた街は、死の香りに包まれ不死族で溢れかえっていた。
ノーライフキングロードが、不死族を連れ現れ、あっという間に滅してしまったのだ。
一際死の香りに包まれた街一番の大きな屋敷にノーライフキングロードが鎮座していた。
その隣には、リッチが一体付き従っていた。
「ロード、そろそろ王都を落としますかな?」
「まぁ待て。人族とエルフの英雄が来ているそうではないか?奴の手並みを拝見してからでも遅くはあるまい」
「御意」
「くくくっどこまで抗えるものか楽しみよな」
骨だけの体を揺らし、カタカタと不気味な笑い声をあげるノーライフキングロード。
一方装備を受け取り準備を済ませたリヒト達は、ギルドで指名という形で依頼を受け、ノーライフキングロードと不死族の待つ街へ向かった。
それに道案内という名目でレオンが同行していた。
「自分の身は自分で守れよ?レオン」
「わかってるって、兄貴」
軽口を叩き合うリヒトとレオン。
それにため息をついて、ツッコミを入れるクロト。
「2人とも緊張感なさすぎだよ?もうすぐ問題の街に着くのに」
「だからだろう?緊張したままだと、隙をつかれて攻撃を許してしまうかもしれない。だから俺なりに緊張を解してただけなんだが?」
「え?そうなの?レオンも?」
「俺は特に何も考えてないぜ?」
「まぁ、そうだろうな」
「あはは」
豪快に笑い飛ばすレオン。
その隣で呆れるリヒト。
「そろそろだな。ここまで死臭が漂ってる」
顔を顰めるリヒト。
他の皆も顔を歪める。
生き物の気配のしない街に入っていく。
一足踏み込んだだけでそこかしこから不死族が襲いかかって来る。
それを歩きながらバッサバッサと斬り捨てて行くリヒト。
そのリヒトに続く様に敵を次々と斬り捨てていくクロト達。
「予想はしてたけど、うんざりするくらいいるね」
げんなりした様子で1人愚痴るクロト。
「文句を言ってる暇ないぞ?クロト」
斬り伏せながら答えるリヒト。
「わかってるよ」
斬り伏せながらリヒトに答えるクロト。
「だが確かにウザいな。バニッシュで数を減らすか。輝きの追放バニッシュ‼︎」
光魔法の浄化を行うリヒト。
光に弱いレイスなどは瞬く間に浄化されていく。
「これで少しは前に進みやすくなったな」
「うん、ありがとうリヒト」
更にスピードを上げて斬り伏せていく。
その間にそれぞれの武器に聖属性を付与する。
「兄貴、向こうにでかい屋敷があるぜ?」
「特に死臭が強い場所だな。あそこにいるのは間違いなさそうだ。皆、気合い入れて行くぞ!」
「「「「「了解‼︎」」」」」
気合い入れ直して屋敷目指し斬り伏せながら前に進む。
屋敷にたどり着いた一向。
慎重に前に進む。
「リヒト様、この先にいるのでしょうか?」
「間違いなくいるな。油断するなよ?」
「勿論ですわ」
気を引き締めるアイリス。
隠しきれない死の気配が漂うとある部屋の前に辿り着く。
「此処だな」
静かに扉を開く。
朽ち果てた正面のテーブルにローブを纏ったノーライフキングロードが座っていた。
「ようこそ我が屋敷へ、待っていたぞ?人族とエルフ族の英雄よ」
カタカタと音を立てながら笑うノーライフキングロード。
「そいつはどうも。戦う前に一つ良いか?此処にいた人々はどうした?」
「否ことを聞く。滅し我が眷属としたに決まっておろう?」
嘲笑うように答える。
それを何の感情も見せない表情で吐き捨てるように言う。
「そうか、なら手加減しなくても良いな?覚悟はできてんだろ?」
普段の刀をしまい、神刀を出し構える。
「ただの剣ではないな?貴様、何者だ?」
「転生の女神アレンシエルの使徒、笠霧理人だ‼︎」
ただならぬ気配を放つ刀に怪訝そうに聞くロード。
それに吐き捨てるように答えるリヒト。
一気に間合いを詰め斬り込む。
「っ!?」
尋常ならざる動きに怯むロード。
構わず、技を連続で打ち込んで行く。
「秘奥がニ、八岐大蛇‼︎秘奥が三、須佐男‼︎」
「ぬぅっ⁉︎貴様、本当に人間か⁉︎」
「失礼な奴だな?俺は正真正銘人間だ」
憮然としながら答えるリヒト。
抵抗の暇を与えず、さらなる技を繰り出す。
「秘奥が四、月詠‼︎」
手傷を負っていくロード。
追い詰められていく。
その様子を離れた位置で見守る仲間達。
そんな背後に不吉な影が近づく。
「これで終わりだ‼︎最終奥義!天照‼︎」
リヒトが最後の技を繰り出す直前それは動き、離れて見守っていたアイリスを捉える。
「きゃあ!?」
「アイリス様⁉︎」
闇に溶けるように消えるアイリス。
次の瞬間リヒトとロードの間にアイリスを捉える何が現れる。
すんでのところで刀を止めるリヒト。
「くっ⁉︎」
「リ、リヒト様…申し訳ありません」
「アイリス」
「くくくっそこまでだ。人間、この小娘を助けたくば我らの軍門に降れ」
「卑怯なっ⁉︎」
アイリスを盾にリヒトに迫るリッチ。
手を出せないリヒト。
睨み合う事数刻。
不意にリヒトが動いた。
「影の太刀、鏡花水月」
水面に映る月の如く静かで音のない太刀が、リッチを一刀の元に斬り伏せる。
解放され倒れ込むアイリスを抱き留めるリヒト。
「リヒト様」
リヒトの名を呼びながら抱きつくアイリス。
その体をしっかりと抱き締めるリヒト。
「アイリス、大丈夫か?」
アイリスの無事を確かめるリヒト。
「はい、リヒト様」
それに笑顔で答えるアイリス。
「ふん、役立たずめ!」
吐き捨てるロード。
それを冷たく一瞥して、アイリスをクロトに預けて構え直すリヒト。
「終わりにしよう。最終奥義!天照‼︎」
最終奥義を放つリヒト。
最大級の聖属性の技がロードに炸裂した。
散りに帰っていくロード。
後には、ロードの魔石が残った。
それを手に持ち、神刀をしまいいつもの刀を腰に刺したリヒトが、皆の元へ戻る。
「終わったな」
「お疲れ様リヒト」
「お疲れ様です。リヒト様」
「お見事でございました」
「ありがとうルカ」
「お疲れ兄貴すげぇな」
興奮しているレオン。
神妙な顔になるとリヒトに切り出す。
「俺の本当の名は、レオンハルト・ガルパード。この獣人国の現王の息子だ。英雄であるあんたがこの国に向かっているという話を聞き、接触した。あんたの兄貴の旅に俺も同行させてくれ‼︎」
頭を下げて直談判するレオン。
「お前、王子だったのか?見えないな〜まったく」
「ひでぇ言いようだな?兄貴」
肩を落とすレオン。
「生半可な旅じゃないぞ?良いのか?」
「勿論‼︎」
尻尾を振りながら元気よく答えるレオン。
「はあ、仕方ないな。好きにしろ」
ほぼ投げやりに答えるリヒト。
嬉しそうなレオン。
隠して新たな仲間がリヒトのパーティーに加わった。
ロードの討伐を終え、街を後にするリヒト達。
後には住む者の居なくなった廃墟だけが残った。
ロード討伐完了。
レオンは獣人国の王子様でした。
リヒトは何気に王族をコレクションしてます。
何故でしょう?
不思議ですね。
次回ちょっとした戦闘が起こります。
皆さんまだオークロードに残っている事覚えてますか?
まだアイリスを狙っています。
では次回を楽しみにしていてください。




