(110)開戦…ルガン湖平原の戦い①
二部構成となります。
本日二度目の投稿です。
アルテミシア自分で作った敵キャラですが、使い勝手が悪いキャラなのでサクッと退場してもらおうかと思います。
今回は新しく3人の神様が出てきます。
この神様について詳しく知りたい方は、wikipediaなどを活用していただけると良いと思います。
では、本編をお楽しみください。
開戦した場所は教国と魔大陸に併設する平原…ルガン湖平原が開戦の場所となった。
エルフ国からは丸一日かかるところにある平原だ。
そこに六種族の混成軍と魔王軍・教国軍の混成軍が対峙する。
「壮観だな」
「本当にすごい事だよ?これだけの種族が混成軍を作って集まるなんて…」
「それだけ俺達にとっての兄貴の存在はデカイって事だろ?」
「まあそうなんだけどね」
「世界中すべてが敵に回っても儂はリヒト坊に味方するがな」
「僕だってそうだよ?て言うか…皆そうでしょ?」
「勿論なのです!」
「大将は俺達の希望だ!自己中な最高司祭なんかに渡すかよ⁉︎なぁ?皆‼︎そうだろう⁉︎」
1人の冒険者の言葉に、雄叫びをあげ答える他の冒険者達。
「皆!聞いてくれ‼︎この戦いがおそらく最終決戦への前哨戦となる。俺はこの戦いを終え、この世界での生を終えたら、元の世界に戻る」
「へ?大将居なくなるのか?」
「人としての生を終えたらな」
「人として?」
「お前忘れたのかよ?クラウドさんから聞いただろ?大将は、異世界の神様の子供の魂の持ち主なんだって、最高司祭が大将を狙うのは、2人の神の権能を色濃く継ぐ大将の力を狙ってのことだってさ。その為に前世の大将を手にかけたんだぞ?あの女はさ。しかも地球まで巻き込んでやがる。地球で数千万人を殺害してんだぞ?狂ってるだろ?そんなやつに俺達の大将を渡せるかよ!だから戦うんだ‼︎」
「そ、そうだったな。絶対許せねぇ!絶対勝つぞ!お前ら‼︎」
気合を入れ合う冒険者達。
それを見ながら俺は神聖武装を身につけて本気のフル装備になる。
腰には、父上から借り受けた十握剣が下げてある。
両腕には黄龍甲を装備している。
軽装のアイリに元々アイリの為に作った装備を手渡した。
「アイリ…これは俺が作った装備だ。お前の身を守ってくれる。鉄壁の防御を誇る玄武の素材で作った玄武装備シリーズだ。後世界樹の枝を使い作った神天弓だ。俺の神気を込めてある。それとこれは俺が鍛えた短剣だ。これには白虎の素材が使われてる。神獣である白虎の牙から作った」
「良いのですか?そんな高価な品を私が使っても……」
「当たり前だろ?アイリを守る為に俺が手ずから作った神器なんだぞ?ちゃんと使ってくれないと俺が困る」
と、苦笑しながら言う。
「ありがとうございます。リヒト様」
嬉しそうに微笑むアイリ。
アイリが着替えられるように聖域のテントを設置する。
「アイリ中で着替えておいで?」
「はい、行ってきます」
中に入り着替えるアイリ。
しばらくして出てきた彼女の姿はまるで戦乙女のように美しかった。
「アイリ…とてもよく似合ってる。綺麗だよ?」
俺の言葉にほんのり頬を染めながら微笑むアイリ。
俺達がそんな雰囲気を振りまいていると、上空から人が降り立って怒鳴り始めた。
「ちょっとそこのエルフ‼︎私のリヒトを誘惑するんじゃないわよ?」
訳のわからない事を喚き始めた女を睨みつけて毒づく俺。
「誰がお前のものだ!世界の破壊者であり女神の地位を奪い取ろうとする簒奪者が!俺はアイリの物だ!ふざけんな!アルテミシア‼︎」
手酷く拒絶し罵倒する。
「リヒト…その女が悪いのね?私とあなたの仲を邪魔するエルフの女…滅ぼしてやる…お前が居なくなればリヒトは私だけのものよ!」
その言葉を聞いた瞬間、俺の魂にかけられた封印が弾け飛ぶ。
体から溢れ出る神気をそのままにアルテミシアを黄龍の眼で射殺すように睨みつける。
恐怖を感じたのか、その場に固まるアルテミシア。
「誰を…誰が滅ぼすって?俺がそんな事赦すと本気で思ってんのか?斬り殺すぞ?簒奪者‼︎」
苛烈な神気だけでなく、全力全開の殺気と威圧を放つ。
そして手を地面に翳す。
「ふるべゆらゆらと…ふるべ…出てこい!黄泉へと続く黄泉平坂‼︎…こい、黄泉の亡者共‼︎その穢れを世界の断りを破りし愚か者に与えよ!」
闇から這い出た亡者達がアルテミシアを囲み、その体に触れ次々に殺到する。
亡者共が触れた場所から体が腐り溶け落ちるアルテミシア。
その足元に俺は黄泉の奥底にある常世の闇と穢れを封じた穴を召喚する。
俺は激しい怒りのまま奴を、その穴へと突き落とした。
「これは黄泉にある常世の闇と穢れを封じた穴だ。ここに落ちたが最後転生する事はできないと思え!穢れによる永遠の責め苦をその身に受けるがいい‼︎」
怒りのままに告げる俺。すると黄泉の扉を開いてすぐ自分のそばにある黄泉平坂から2人の男女が現れる。
「あーなんで異世界の地に黄泉の入口が開いたのかと思ったら君だったのか?神威…」
「神威?」
「貴方は…もしかして大国主の命様?」
「そうだよ?出来れば大国主の兄様って呼んで欲しいな」
「大国主の兄様…ごめんなさい。怒りに任せて黄泉の入口を開いてしまいました。封印も弾け飛んでしまって…」
「あらら、余程君の怒りを買った愚か者がいたんだね?まあ…予想はついてるけど…どうせ例の最高司祭でしょ?」
「はい…常世の闇と穢れを封じた穴に落としました。永遠の穢れによる責め苦を、その身に受け続ける事でしょう」
「そうか、ならこれは私が見張ろう。これ以上は穢れが地上に流れ出てしまうから入口を閉じるよ?」
「はい…すみません。大国主の兄様…」
「閉じる前に封印をし直しましょうか?神威」
「貴方様は、須勢理毘売命様?」
「あら?私のことは須勢理毘の姉上と呼んで欲しいわ。私は貴方の姉なのだから…」
「須勢理毘の姉上」
「…神威…余程腹にすえかねてしまったのね?怒りで封印を弾け飛ばすくらいだもの」
「はい、あの女がアイリを滅ぼすなどと言うからつい…」
「そうだったの。でもよくやったわ。ちゃんと紐づけられていた糸を断ち切ったようね?」
「落とす前に、父上から借り受けた十握剣で断ち切りました」
「よくやったわ。流石私の弟ね?」
姉上に抱きしめられ頭を撫でくりまわされる。
「須勢理毘?時間ないから早く封印を…」
「そうね」
「ちょっと待って…」
入口からまた別の女性が現れる。
「弟橘姫命?」
「神威、これを渡しておくわ。封印を瞬時に元に戻せる神具よ?貴方のために作ったものなの」
「俺の為に?ありがとうございます。弟橘の母上」
「ふふふ、嬉しいわ。貴方に母上と呼んでもらえるなんて」
「俺もお会いできて嬉しいです。母上」
俺の首に神具をつけてくれる。
すると瞬時に封印が施され神気が落ち着く。
それと同時に黄龍の眼も落ち着き元に戻る。
「リヒト様‼︎」
元に戻った俺の様子に安堵してアイリが抱きついてくる。
「アイリ…ごめん。君を滅ぼすと言われて怒りを抑えられなかった。怖い思いさせてしまってごめん」
アイリを抱きしめて謝る。
「いえ…私のために真剣に怒ってくださったのに怖がったりしません。大丈夫ですよ?リヒト様、私はずっと貴方様の物ですから…」
そう言ってふわりと微笑んでくれる。
俺は離さないように彼女をしっかり抱き締める。
「さて、封印もし直したし入口を閉じるよ?」
「リヒト様?あれは?」
「地球での呼び名を黄泉…国によってはあの世とか言うね。あそこで彷徨っているのは黄泉の国の亡者達だよ。これが俺がスサの父上から受け継いだ権能…後は大海を操る力を受け継いでるけど、父上程うまく使いこなせないかな?後は母上から日輪を司る権能を受け継いでる。母上は太陽の女神様だからね。日の光や昼を司る女神様なんだ。
反対にこの間父上と来てた月詠の伯父上は夜と月を司る神なんだよ」
「そうなのですか?こちらの…」
「大国主命様、大国主の兄様は父上と共に黄泉を管理してる方なんだ。姉上の旦那様なんだよ?」
「まあ…そうなのですか?お初にお目にかかります。御二方、私はアウレリウス・ルクセリオンが娘…アイリス.ルクセリオンです。リヒト様と婚約させていただいております。よろしくお願いします」
「これはご丁寧に…君の事は父上から聞いているよ?神威…リヒトを頼むね?」
「あの…神威と言うのは…」
「リヒトの真名だよ?美鏡神威命というんだよ?」
「あーアイリは俺の真名口にしてもいいから…君は特別だから俺が赦すよ」
「リヒト様…わかりましたわ」
「あー先に言っておくと、真名は魂に刻まれた真の名だから許可した者以外は口にすることすら許されないんだ。地球の神にとってとても意味のある価値のあるものなんだ。だから不用意に口にしないようにね?神の逆鱗に触れるよ?」
顔を真っ青にして皆頷く。
皆を見回した後、魔王軍の方を見る。
アルテミシアが倒された事により一時撤退をしていく。
「撤退していくね?」
「裏ボスがあっさり倒されたからな。このまま戦闘継続は難しいと判断したんじゃないか?聖騎士達も戦意喪失しているみたいだし」
「本当だね。魔王のところに逃げ帰ったのかな?」
「多分な。将軍クラスが魔王の元へ報告に行き。判断を仰ぐんじゃないか?」
「なるほど…」
そうこうしていると魔王軍は平原の向こうに消えていった。
「とりあえず、こちらも一時撤退!怪我人の治療にあたる!後補給も終わらせておけよ?」
「了解であります‼︎リヒト様‼︎」
一斉に敬礼しテキパキと指示をこなしていくエルフ達。
暫くは…停戦状態かな?
聖域のテントを設置して中で休む。
続く。
如何でしたか?
須勢理毘姫さまは簡単に言うとスサノオの命様の愛娘で、大国主命様の奥様です。
結構嫉妬深い女神様のようです。
自分の物語の中では、スサノオ様と同じで情に非常に厚く情の深い女性だと思うのでそのように描いています。
気に入っていただけると嬉しいです。
では、次回もお楽しみに…。
緋勇蒼夜




