#2 流れる絶景と、極上の和モダン・フルコース
旅のお楽しみ、【のんびり景色を眺めながらランチタイム】だよ。
お腹を空かせて、五感のすべてを集中させてね。
それじゃあ、じっくりじわじわ、美味しい時間を始めよう!
◆動き出す秘密のギミック
「あ、みてみて! テーブルが……!」
私たちがソファで飲み物を楽しんでいると、お部屋のチャイムが優しくポーンと鳴った。入ってきたのは、白いコックコートに身を包んだ専属のシェフ。
彼がリモコンのボタンをそっと押すと、さっきまで私たちの前にあった大理石のローテーブルが、ウィーンと静かで滑らかな駆動音と共に持ち上がって、ジャストな高さのダイニングテーブルに変形したの。
「すごっ、ハイテク! さすがは架空列車、何でもありだね」
さらにその上に、真っ白で糊のきいたリネンクロスが敷かれ、キラキラと輝く銀のカトラリーと、漆塗りの美しい箸が並べられていく。
『本日お召し上がりいただくのは、この架空日本の『春夏秋冬』を一口ずつ巡る、特別な創作和食コースでございます』
シェフの丁寧な一礼とともに、いよいよ魅惑のランチタイムが幕を開けた。
◆前菜:春の息吹と、エメラルドの海
「わぁ……! なにこれ、食べるのがもったいないくらい綺麗……」
最初に運ばれてきたのは、透明なクリスタルのお皿に盛られた前菜。
薄くスライスされた天然真鯛のカルパッチョの上に、小さな桜の花びらの塩漬けと、金箔が散りばめられている。
ちょうどその時、列車は光の竹林を抜け、一気に視界が開けた。
「キャーッ! 窓の外みて!!」
思わずあなたの腕を引っ張っちゃった。
いま列車が走っているのは、なんとコバルトブルーの海上大回廊。線路が海面からわずか数メートルの高さに敷かれていて、まるで水の上を滑空しているみたい!
太陽の光が水面に反射して、車内全体がキラキラしたエメラルドグリーンの光で満たされている。
「この綺麗な海を見ながら、この真鯛を食べるの、最高すぎない? いただきまーす!」
お箸でそっと真鯛をひとくち。
「んんん〜〜〜っ! おいしぃぃ……!!」
身がコリッコリに引き締まってて、噛めば噛むほど甘みが出てくる! ほんのり香る桜の塩気と、隠し味の柚子のソースが爽やかで、お口の中が一瞬で春になっちゃった。
あ、あなたの真鯛、私のより大きくない? ちょっと交換して~、なーんてね。
◆スープ・中皿:夏の清流と、秋の薫り
海の上を渡りきると、列車はどこか懐かしい日本の原風景へと滑り込んでいく。
窓の外には、見渡す限りの黄金色の棚田。稲穂がサラサラと風に揺れて、まるで黄金の波みたい。
そんな秋の景色に合わせて運ばれてきたのは、『松茸とA5和牛の霜降りしゃぶしゃぶ仕立て』。
目の前で、シェフが熱々の利尻昆布のお出汁を、薄切りの牛肉にお皿の上からとろりと注いでくれる。その瞬間、お肉の脂がじんわりと溶け出して、お部屋の中に松茸の高貴な香りが爆発した。
「はぁ、もう匂いだけでご飯三杯いけそう……。お肉、もういいよねっ、今が食べごろ! 早く早く!」
フーフーと息を吹きかけながら、お肉をお口に放り込む。
「……ん! んん〜〜〜!(言葉にならない)」
お肉、噛んでない。噛んでないのに、舌の上でフワッて消えたよ!?
「これ、本当にお肉? 飲み物じゃないよね?」って、二人で顔を見合わせて笑っちゃう。
松茸のシャキシャキした歯ごたえと、お肉の濃厚な旨味が絡み合って、飲み込んだ後もずーっと幸せな余韻が喉の奥に残ってるの。
◆メイン:冬の贅沢と、夕暮れの奇跡
コースもいよいよクライマックス。
外の景色は、いつの間にか、しんしんと雪が降る白銀の温泉街へと変わっていた。湯煙がぽつぽつと立ち上る、静かで幻想的な冬の世界。
そこに登場したのが、メインディッシュ。
大きな土鍋のフタが、目の前でゆっくりと開けられる。
パカッ。
「うわぁぁぁ! カニ! ウニ! いくら!!」
立ち上る湯気と共に現れたのは、贅沢の限りを尽くした『極上・海の三色炊き込みご飯』。
富士山の湧き水で炊き上げられたご飯の上に、これでもかっていうくらい大粒のイクラと、黄金色のウニ、そしてほぐしたてのタラバガニの身が敷き詰められている。お茶碗に盛ってもらうと、底の方には綺麗できつね色をしたおこげがしっかり付いてる。
「これ、絶対美味しいやつじゃん。ねぇ、一緒にせーので食べよ? ……せーの、パクッ」
「……っっっ!!(悶絶)」
イクラがプチプチッと弾けたかと思えば、ウニが濃厚なクリームみたいに全体を包み込んで、カニの旨味が追いかけてくる。そして、おこげの香ばしさが最高のアクセント!
窓の外の冷たそうな雪景色を眺めながら、暖かい車内でこんなに贅沢な温かいご飯を食べてるなんて、究極の贅沢だよね。
「おいしすぎて、もう胸がいっぱい、お腹もいっぱい……」
食事が終わったら、ちょっとだけお昼寝。
それから、二人で他愛のない話をあれこれお喋りしたり。
世界最長のトンネルに入ったら、そのトンネル内の落書きや壁画アートを眺めてあーでもないこーでもないって笑いあう。
そんな心地よい時間を過ごしていたら、とうとう列車が長いトンネルを抜けた。
するとそこには、どこまでも続く真っ赤な夕日と、グラデーションに染まる空。
「わぁ……、みてみて……。夕日が綺麗すぎて、言葉を失っちゃうね……」
美味しい料理と、大切な人と一緒に眺める絶景。
お腹も心も満たされた私たちは、静かに流れる景色をただただウットリと眺めながら、贅沢な時間を過ごすのでした。
思い出したら、お腹が減ってきた。
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※この作品はaiちゃんとの共同作品です。




