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3章 36話 湯気の記憶

何も思いつかないまま時間だけが過ぎて行った。

ゆっくりと時間が流れるのがこの町の良さだと思っていたが、何かを始めなければという使命感がいつの間にか焦りと何も浮き上がらない自分の思考に苛立ちを感じ始めた。


保存食の方向に疑問は無い。むしろそのぐらいの物でなければ継続的に生産するのが難しい。


ただ、保存食と言っても多岐に渡るが、実は意外と種類も無くアイデアの無さより

掘り尽くされているようにも感じた。


前世の技術があればな。と、、、、考えた。

思わず「こんな時あの頃はどうしてたかな。」


誰に聞かれるかもわからないが故前世の記憶はあまり口にしない様にしていたが、

焦りのあまりつい口に出してしまった。


家でくつろいでる時はたいていコンビニで食料を買い込んでネットを見ながらゲームして、

気が付けば一日が終わる。翌日からの憂鬱な満員電車までの時間を惜しむ様で惜しまない

怠惰な生活を送っていた。


「あ」


 コンビニという言葉から一気に連想された言葉が、はっきりと浮かぶ。


 私は椅子から立ち上がる。

 だが、すぐに現実が追いつく。


 揚げ麺は難しい。大量の油。温度管理。資源不足。

 では、揚げない方法は。

 乾燥。


 麺。


 この世界にも麺はある。だが生麺だ。保存は利かない。

 乾燥させれば。

 細く延ばし、風で水分を抜けば。

 前世の記憶が派生していく。


 素麺。うどん。そば。パスタ。

 乾燥麺は文化として存在した。保存も効いた。軽かった。嵩が減った。


 揚げなくてもいい。

 私は帳面に新しい頁を開く。


 ――乾燥麺。

 工程を書き出す。


 粉の選別。

 塩水の比率。

 練り時間。

 延ばし厚の統一。

 乾燥棚の設置。

 湿度管理。

 粉末スープ。


 肉出汁を煮詰め、乾燥野菜を粉にし、塩を加える。小瓶に詰め、蝋で封をする。

 湯さえあれば戻る。


 町には水がある。薪もある。

 軽い。保存が効く。売れる。備蓄にもなる。徴収されにくい。


 だが、まだ確定しない。


 乾燥は何日必要か。

 湿気はどう防ぐか。

 割れは出ないか。

 商都での価格は。


 私は筆を止めない。

 答えはまだ完成していない。


 だが、闇の中に一本の糸が見える。

 湯を注げば戻る麺。


 止まった町に流れを作るための、最初の形。

 まだ案だ。

 まだ確定ではない。


 だが、やっと「何か」に触れた気がする。

 思い出したのはまさかのインスタントラーメン


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。




この物語は、派手な奇跡ではなく、小さな選択と積み重ねを


大切にして書いています。


リンドの一歩一歩が、少しでも皆さまに届いていれば嬉しいです。




もし続きが気になる、応援してもいいと思っていただけましたら、


ブックマークや評価をいただけると励みになります。




いただいた反応は、今後の執筆の力になります。




これからも静かに、誠実に物語を積み上げていきます。


引き続きお付き合いいただけましたら幸いです。

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