イケメンなのにオタクな彼方を押し倒してみた
まるで世界は2人だけのようで。
ゆあ「彼方、今日は一日中一緒にいようね……」
彼方「えー、いいけど俺は今日は1人で厳選してレベル上げして……」
ゆあ「ねえなんで! 今日は私と一緒にいるって言ったじゃん!」
彼方「あー、言った」
ゆあ「じゃあ、一緒にいよ?」
彼方「うん、いいよー……でもこいつ耐久型に育てたい」
ゆあ「ねえ! じゃあ私のキュンに耐久して」
彼方「……そう意味じゃない」
ゆあ「ねえ! そいういみなの」
彼方「ゆあも一緒にやる?」
ゆあ「ねえ! そうじゃなくて……え、彼方と一緒にゲーム? それはそれでありかも……」
彼方「いや、やっぱ1人でやろかな」
ゆあ「ねー!」
ドサッ!
ゆあが彼方を押し倒す。
彼方がゆあの目を見て、照れて……
♢
「まって、すごい、私と彼方くんが……すごい! 待って嬉しい! 超嬉しい! 待って本当に、本当に嬉しい……」
ゆあさんは、俺が渡したマンガ用紙を抱えて、そのまま、目から涙をこぼした。
たくさん涙をこぼした。
「……ありがとう。大切にするね」
遠くから、違うメイドさんがゆあちゃんを呼ぶ。
「ゆあちゃーん、ドリンク入れてくれるって〜」
「はーい、ちょっと、トイレ行ってからいくね〜」
「わかった〜」
「……大丈夫?」
「……うん、ありがとう」
メイドカフェを出た。
もう、このコンカフェに行くことはないだろうな。
多分みんな、それぞれ何か抱えながら頑張ってる、夢とか、努力とか、才能とか、いろんなこと抱えながら生きてる。
帰り道には、また、前の路上ライブの女の子。
それを横目に、少し不安げな面持ちで3人で楽しそうに話す、新卒社会人の同期3人組。
その後ろには、「またのみいきましょ! いやーお世話になってます」なんて、腰を低くしながら挨拶する、スーツが似合う男性。
そのまま下を見ながら、乗り換え口に吸い込まれる俺は。
結局何を目指してるのかもわからず。
また、次のマンガのことを考えている。




