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ラブコメ作家は恋をしない  作者: 佐和多 奏


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22/23

イケメンなのにオタクな彼方を押し倒してみた

 まるで世界は2人だけのようで。

ゆあ「彼方、今日は一日中一緒にいようね……」

彼方「えー、いいけど俺は今日は1人で厳選してレベル上げして……」

ゆあ「ねえなんで! 今日は私と一緒にいるって言ったじゃん!」

彼方「あー、言った」

ゆあ「じゃあ、一緒にいよ?」

彼方「うん、いいよー……でもこいつ耐久型に育てたい」

ゆあ「ねえ! じゃあ私のキュンに耐久して」

彼方「……そう意味じゃない」

ゆあ「ねえ! そいういみなの」

彼方「ゆあも一緒にやる?」

ゆあ「ねえ! そうじゃなくて……え、彼方と一緒にゲーム? それはそれでありかも……」

彼方「いや、やっぱ1人でやろかな」

ゆあ「ねー!」

 ドサッ!

 ゆあが彼方を押し倒す。

 彼方がゆあの目を見て、照れて……




「まって、すごい、私と彼方くんが……すごい! 待って嬉しい! 超嬉しい! 待って本当に、本当に嬉しい……」

 

ゆあさんは、俺が渡したマンガ用紙を抱えて、そのまま、目から涙をこぼした。


たくさん涙をこぼした。


「……ありがとう。大切にするね」



遠くから、違うメイドさんがゆあちゃんを呼ぶ。

「ゆあちゃーん、ドリンク入れてくれるって〜」

「はーい、ちょっと、トイレ行ってからいくね〜」

「わかった〜」


「……大丈夫?」


「……うん、ありがとう」


 

 メイドカフェを出た。


 もう、このコンカフェに行くことはないだろうな。


 多分みんな、それぞれ何か抱えながら頑張ってる、夢とか、努力とか、才能とか、いろんなこと抱えながら生きてる。


 帰り道には、また、前の路上ライブの女の子。


 それを横目に、少し不安げな面持ちで3人で楽しそうに話す、新卒社会人の同期3人組。


 その後ろには、「またのみいきましょ! いやーお世話になってます」なんて、腰を低くしながら挨拶する、スーツが似合う男性。



 そのまま下を見ながら、乗り換え口に吸い込まれる俺は。


 結局何を目指してるのかもわからず。



 また、次のマンガのことを考えている。

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