表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/236

第67話「貴族令嬢の素顔」

ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱあああん!!


俺は、ステファニーの小さなお尻を10回は叩いたであろう。


そりゃ、手加減は、当然した。


レベル99的に言えば、「そよそよ」と触るか、「触らないか」というくらい。


こう言うと、『ど』が付くHで、トンデモなく嫌らしいスケベ親爺のようだが、

本当に、そんな力加減なのだ。


『沈黙』の魔法で声も出せない、『束縛』の魔法で身動きも取れない……


加えて俺にしっかりと抱えられ、どうする事も出来ないステファニー。

痛みと屈辱と恥ずかしさに、ただただ泣き崩れている。


うん……もうそろそろ、許してやるか。


俺は頃合と見て、ステファニーの尻を叩くのをやめた。

あまりこの場に長居して、誰かに見られてもヤバイ。

 

高貴なる貴族領主様のご令嬢に、S男のように、

尻たたきでお仕置きをする、どが付く平民。


常人の第三者が見れば、とんでもなく(おそ)れ多い事である。


もしも誰かに見つかったら、即、通報され、衛兵がすっ飛んで来るだろう。


そうしたら捕縛され、入牢、即、中央広場で公開死刑の斬首。


絶対に、間違いない!!

 

空中に浮かんだ幻影のクッカも、小さく頷く。

どうやら、俺と同じ考えのようだ。


『ステファニー』


『…………』


俺の呼び掛けに反応せず、ステファニーは(うつむ)いて黙っている。


さっきも言ったように尻を叩く際に充分、手加減した。


直接的な痛みというよりも、誇り高いプライドを完璧に破壊された、

ショックの方が大きいに違いない。


黙っているステファニーに対して、俺は構わず告げて行く。


『今後は、父親の権力(ちから)を使い、領民を無理矢理、下僕にするなんて絶対にやめてくれよ』


俺の呼びかけに対して、ステファニーは相変わらず無言だ……


『…………』


間違い無くステファニーは、生きている。


(しかばね)ではないのに、返事が無かった。


だが、ここはちゃんと返事を貰わなくてはならない。


俺は、子供に対して促すように、答えを求める。


『おいおい、ステファニー、返事は?』


『…………』


『ほら、返事! 謝罪も!』


『……は、はい……ご、ご、ごめんなさい……』


俺が再度促すと、ステファニーは、

噛みながらも、か細い声ながら何とか返事と謝罪をしてくれた。


反省しているようだし、相手は女子。


もう、許してやろう。

スペシャルサービス付きで。 


『ようし、それが聞きたかった』


俺は、ステファニーを抱きかかえて正面に座らせると、

即座に回復魔法を発動した。


治癒、回復、全快、慈悲、奇跡……全部で5段階ある習得した回復魔法のうち、

大サービスで『全快』の魔法をステファニーに掛けてやったのだ。

 

全快の魔法を使ったのは、

俺の勘=内なる声が「そうしろ」と言ったせいもある。


何となくだが、ステファニーの尊大で苛々した態度の一因が、

彼女のメンタル面のストレスから来る、

体調不良にあるかもしれないと思ったのである。


まあ、あくまで素人の個人的な意見だが。


葬送魔法の眩い光ほどではないが、俺の手が淡く光るのを見て、

ステファニーは、再び目を見開いて丸くし、驚きの色を浮かべた。


もしかしたら、この町では魔法が珍しいのかもしれない。


驚いたステファニーも、俺の発した強い光が、

自分の身体をに向けられて全身を満たすと、ぴくぴく身体を波打たせた。


『どうだい?』


『あああ、あ、あれ? ……へ、変! な、何、これ!? ど、どうして!!??』


先程から、驚きっ放しのステファニー。


尻の痛みが無くなっただけでなく、

身体が優しく癒された事に戸惑っているようだ。


『ステファニー、気分はどうだい? お尻……痛くなくなったか?』


俺が優しく尋ねると、ステファニーからは怯えが消え、笑顔が戻って来る。


『うん、うん、うんっ! お尻が痛くないっ、痛くないよ~っ、それどころか気分がすっごく良いの!! 身体もすっごく軽いのっ!!』


『おお、それは良かったな』


俺はここで束縛の魔法を解除してやった。


心が発する波動で、

もうステファニーが抵抗して暴れたりしないと分かったからだ。


なので、笑顔で応えてやる。


『はは、俺の魔法が効いたみたいで、良かったな』


『えええ!? ここ、これって魔法!? ケン……貴方って一体……』


ステファニーは、驚きの目で俺を見ている。

少なくとも、『ただの小僧』とは思わなくなったのだろう。


しかし、俺は単なる『ボヌール村の小僧』で構わない。


だから、はっきりと言ってやる。


『俺はケン。お前の父の領民でボヌール村の村民、ただそれだけさ。たまにこの町へ来るかもしれないが、俺はボヌール村で嫁達と暮らす。お前とはもう、こうして話す事も無いだろう』


俺がそう言うと、ステファニーは少しはにかみ、甘えたい、という表情になる。


『え~? 話す事が無いって……でも私、貴方のせいで、お嫁に行けない身体にされちゃった』


はあ? お嫁に行けない?


責任を取れってか?

お仕置きで、お尻を「ぺんぺん」軽く叩いたくらいなのに?


俺は苦笑しながら、話を続ける。


『おいおい、馬鹿言え。軽くお尻を叩いただけだろう? それにお前の従士達は、俺の存在など忘れるような魔法を掛けてある』


『え? 忘れるって……』


『ああ、だから、ステファニー。お前のお尻を叩いたのは、俺とお前、ふたりだけの秘密さ』


『ケンと私……ふたりだけの……秘密?』


ふたりだけの秘密と聞き、ステファニーは、目を「うるっ」とさせた。


ああ、リゼットの時もそうだが、この台詞(セリフ)は、本当にやばい。

『悪魔の囁き』と言って良い、背徳の響きがある。


ステファニーは、じっと俺を見つめていた。


俺と会った時、放っていた波動が全く変わっている。


生意気で我儘(わがまま)な波動から、

何か、こう寂しげな、切なげな優しい波動に……

 

さらさら長い金髪に、美しいブルーサファイアのような碧眼。

健康女子の金髪碧眼のミシェルとは、趣きが違う。


ミシェルが向日葵(ひまわり)のような明るい大輪の美少女ならば、

ステファニーは、ちょっとだけ派手だが、まるで可憐なフランス人形だ。


そしてレベッカとはひと味違う、ツンデレ美少女の大変身。


そう考え、俺は少しだけ、ドキッとする。


この子も、凄く魅力的な子だなって……


『あ、ああ、本当はお前の記憶も消したいけどな。忘却の魔法を掛けると、俺とのやりとりで生じた、今のお前の気持ちもリセットされてしまう』


『え? リセット……される?』


『おう! 俺の事だけじゃなくて、折角、反省した気持ちまで消えてしまうんだ。そうなると、また会った時、「私の下僕になれ」って言われるだろう? それは嫌だからな』


俺が言うと、ステファニーは、いきなり俺に飛び付いた。


そして両腕を回し、「ぐっ」と強くしっかりと、抱きついたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》


⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ