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第66話「わがままお嬢様へ、お仕置きだべぇ」

「ええっと……ステファニー様、皆様……ちょっと宜しいですか? 私からぜひ、お話したい事があるのですが、そこの路地でちょっと……」


俺の突然の申し出に、

ステファニー達4人は、怪訝(けげん)な顔をして振り返った


そして、ステファニーは身体をふんぞり返らせて答える。


「ふん! 何よ! 私は忙しいの! 寄り道している暇なんて無いわ!」


吐き捨てるように告げるステファニー。


しかし、俺は必殺の揉み手。


へこへこ、低姿勢に頼み込む。


「いえいえ、そこを何とかお願い致します! な~に、ほ~んの少しだけで構いませんよ。決してお手間は取らせませんから」


少しかがんで、卑屈に頼む、

下僕らしい様の俺を見て、ステファニーも満足したようだ。


「ふん! アベル、アレクシ、アンセルム、仕方が無いわ、行きましょう」


ステファニーは、えらそうに顎をしゃくった。

 

相変わらずそんな彼女を先頭にして、

アベル、アレクシ、アンセルムの3人が続く。


この3人、顔半分は髭のせいで年齢がいまいち分からなかったが、

案外若いらしい。


改めて良く見ると顔の造作も似ているから、

兄弟なのか互いに血縁関係があるのかもしれない。


名前も全員『ア』が付いているし。


まあ、どうでも良いけど。


それにしても、無口な3人だ。


ステファニーの指示に対しても、ろくに返事をしない。


そこそこ強そうだが、歩いている間に、密かに彼らのスペックを見たら、

全然大した事はなかった。


俺より上のレベルなら、ステファニーの部下に収まっているとは思えないが。

 

まあ、普通に戦えば大が付く楽勝。


だが、俺は『大立ち回り』を演じるつもりはない。


いくら人気(ひとけ)のない路地とはいえ、真昼間の町中である。

衛兵に見つかったら面倒だし、目立たずスマートに片付ける考えだ。


そんなこんなで、やがて俺達は、路地へと入る。


さあ、もう構わないだろう。

 

瞬間!


いきなり振向いた俺は、わざとらしく、にっこり笑う。

それが『戦闘開始の合図』だと、ステファニー達はすぐ知る事となった。

 

再び喋ろうとした、ステファニーの声が……全く出ないのである。


声が出ず、息を呑むの連続だ。


余計な悲鳴など、あげさせない為に、

声を出す事を封じる『沈黙』の魔法を同時発動させたのである。


ステファニー同様、全く喋れない3人の男達が驚愕の余り、大きく目を見開く。


まさかあ!? 見た目15歳の弱そうなガキが、

このような芸当を行うとは夢にも思わなかったのであろう。


クッカが阿吽(あうん)の呼吸で、次の指示を出した。


『ケン様、束縛の魔法、行きましょう!』


『よし! 了解だ』


俺は、ピン!と指を鳴らす。


神レベルの熟練度を習得した俺は、使い慣れたものならば、

無詠唱、かつ複雑なアクション無しでも、

魔法、スキルが容易に、そして瞬時に行使、発動出来る。


言霊(ことだま)や呪文、儀式、そして例えば「九字を切る」など、

煩雑&複雑な物言い、動作が一切不要なのだ。


なので、便利な事この上ないが、

一応恰好をつけたいのは、良い年をして『中二病的性癖』があるせいだろう。


そうそう、例えば魔法ならば、「行けえ! ファイアーボールぅ!」とか、

『決め技』的に大声で叫びたい。


格闘技なら、何とかパ~ンチとか、何とかキ~ックとかね。


だけど今回は、目立たず騒がせずが、お約束。


仕方なく、諦めるしかない。

 

やはり……俺のこの性癖は、絶対に昔見たアニメやマンガ、

そして特撮映画の影響だろう。


加えて、ラノベ、ゲームで『完全体』となった。


話を戻そう。


ふつふつと湧き上がる願望を我慢。


俺は『束縛』の魔法を発動すると、

ステファニー以下4人は、口の自由に加えて身体の自由も奪われた。


その場に、4人全員が崩れ落ちると、まるで芋虫のように転がったのだ。


続いて『失神』の魔法を発動し、俺は3人の従士の意識を奪う。


忠実な部下が、呆気なく目を閉じたのを見たステファニー。


目を大きく見開き、口も大きく開け、悲鳴をあげるが、当然、声など響かない。


よし! これで形勢逆転だ。


念の為、索敵もチェックするが、路地に近付く者は皆無。

 

という事で、俺は、ゆっくり近付く。


ステファニーは、自分へ迫る俺を見て恐怖を感じたのだろう。

声なき悲鳴を、あげ続ける。

 

俺が、しゃがみこんでステファニーの顔を覗き込むと、

ひどく怖がって目に大粒の涙を浮かべていた。


バッチリ決めていた化粧も、涙と鼻水で流れてしまっている。


ちょっと可哀そうだけれど、しかるべき『教育的指導』をしないとね。

 

万全を期して、第三者に聞きつけられないよう、ここからの会話は念話となる。


『どうだい、ステファニー()


俺が念話で話し掛けたら、ステファニーは案の定、びっくりしている。


悲鳴をあげたまま、口をぽかんと開けている。


やっぱり、さっき嫁ズへ念話を使わないでよ~かった。


『え、ええっ!!?? ななな、何!?!? こここ、これええ!!??』


そんなステファニーに、とりあえず解説。


『ああ、これは心と心で会話出来る念話だよ』


『ね、念話!?』


『ああ、念話は魔法の一種でね。今、声を出す事が出来ないお前の心へ、俺が直接、話しかけているのさ』


状況を認識したら……後は命乞いをするよね。


当たり前だけど、予想通りのパターン。


『う、ううう、たたた、助けてぇぇっっ!!! おおお、お願いっ!!!』


『そうそう、このように自分の思い通りにならない事もあるだろう?』


俺は軽く息を吐き、念話で話を続ける。


『ステファニー様もさ、少しは人の痛みを知ると良いよ。特に嫌がる人間へ、無理矢理、下僕になれ!と強要するなんて最低の事なんだぜ』


『いいい、嫌あ!!! 嫌あ!!! 嫌あぁぁぁ!!! おおお、お願いっ!!! こここ、殺さないでぇぇっっ!!!』


『おいおい、安心しろ、これくらいで殺さないよ、ちょっとだけ……お仕置きは、するけどな』


『こ、こ、殺さない!? ほほほ、本当に!? ででで、でも、ちょ、ちょっとだけ? おおお、お仕置きって何ぃ!?』


『これさ! 悪さをした子には、こうすると昔から決まっている!』 


俺はステファニーを、「ひょい」っと横に抱きかかえると、後向きにした。

 

丁度、彼女の可愛いお尻が突き出るような態勢だ。


ステファニーも鈍くはない女子らしい。

さすがに、何をされるか悟ったようである。


『ままま、まさかぁ!!?? そそそ、それって!!?? ややや、やめてぇ!!!』


『いやいや、やめね~よ! ほ~ら、悪い子には、ぺんぺん!するお仕置きだべぇ~っ』


俺はそう言って、ステファニーの小さなお尻を叩き始めた。


ぱし~ん!『きゃう!! いいい、痛あ~い!!』

ぱし~ん!『きゃう!! おおお、お尻がぁぁ!!』


相変わらず、周囲に人は見当たらない。

索敵にも反応はナッシング。


俺は手加減しながら、泣き叫ぶステファニーの尻を、

ひたすら叩いていたのである。 

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