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第56話「ミシェルの過去①」

なんだかんだあって……

護衛の仕事を請け負った、ろくでなし商人の『ドケチ親爺』と、

綺麗さっぱり縁が切れた。

 

俺的には、逆にわずらわしさが消え、すっきりした。


このように金に汚く、息を吐くように嘘をつく奴とは、

いつまでも関わって、いたくない。


中1日で、帰る事にならなくなったのも幸い。

これで、余裕をもって、エモシオンに滞在出来る。


元々、俺達は忙しいし、

『大空屋』の仕入れも含め、他にやる事がいっぱいある。


そんなこんなで、宿のチェックインとか、荷物の片づけ、整理など、

いろいろやっていたら、あっという間に夕方となってしまった。


宿を出ると…… 

西に沈む太陽が、エモシオンの町を真っ赤に染めている。


町は夕焼けによって、赤く染まり、物寂しく哀愁漂う光景である。


朝昇る太陽は、活力を与えてくれるとか、1日のスタート!って感じで、

俺は大好きなんだけど、夕焼けのそんな雰囲気も全然嫌いじゃない。


と、その時!

どこかの誰かの台詞(セリフ)じゃないけれど……腹が減った。


思い切り、腹が減った。


俺の空腹気配を察してか、ミシェルが素敵な提案をしてくれた。


「今夜、泊まる宿を確保したから、前祝いを兼ねて晩御飯を食べに行こう。この町にはさ、何度も来ているから料理がとびきり美味しいお店を知っているよ」


何? 料理が、とびきり美味しい店?

おお、それは朗報だ。

 

ボヌール村の食事に文句を言うわけではないが、

出張仕事の役得で他の町の料理が食べられるのなら話は別。


留守番役のリゼット、クラリス、

そして幻影状態で食事が摂れないクッカには申し訳ないが。


でも、いつかは家族全員で揃って、

ひとつ屋根の下、楽しく美味しい食事を摂る日を夢見る。


と、いうことで今回は許して貰おう。


「幸い……護衛で稼いだお金もたっぷりあるしね」


ミシェルが人目につかないように、金貨の入った革袋を見せてくれた。


今回の警護で、あの親爺から貰った報酬は、

約束通り金貨100枚=約100万円である。


食費などの物価が、めちゃ安いこの中世西洋風異世界では、結構な大金なのだ。

 

しかし、レベッカがすかさず突っ込みを入れる。


「ミシェル、今回の護衛の報酬、金貨100枚は、大空家の売上げではなく、私達ユウキ家へ入るお金って事で構わないんだよね」


おおっと! 早くも、家計チェックってか?


レベッカの奴、もう主婦モード全開?

俺に対し、しっかりした奥様アピールって事?


そんなレベッカのツッコミに対し、答えるミシェルも、笑顔満開。


「もちのろん! 今回の経費は大空屋からちゃんと出すよ。こっちはあまり使わないで、将来の為にしっかり貯金しておこう」


「OK! それで安心したよ」


しかし俺は話の中にあった、耳慣れない言葉が気になった。


「え!? ユウキ家って何?」


と言えば、ミシェルが教えてくれる。


「うふふ、旦那様。このプリムヴェール王国の法律ではさ、結婚相手の姓への変更が出来るの」


「そうなんだ」


「うん! だから、私達は相談して意見が一致した。お嫁さんになったら、全員、姓を変えるって。貴方が一家の(あるじ)だから、姓はユウキに。だから旦那様がOKであれば、ユウキ家……そうなるのよ」


おお、そうか……俺が、一家の(あるじ)で姓が『ユウキ家』か。


うん! よし、よしっ!


ひい、ふう、みい、……嫁が5人で百花繚乱!

 

女神様のクッカを始めとして、居並ぶ美少女嫁ズが目に浮かぶ……


おお! 何て壮大なハーレムなんだ。

天界にいらっしゃる管理神様、ありがとうぉ!!!


勿論OKして、気分が良くなった俺達は、ミシェルが知っているという、

居酒屋(ビストロ)へ、意気揚々と繰り出したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ミシェルの案内で、俺達が来た店は、

切妻造りの2階建て、白壁のちょっと洒落た店である。


恰好良い木製板の看板には綺麗な文字で店名が書かれていた。


居酒屋(ビストロ)ルイーズ……


ほう! 成る程ねえ、ルイーズの酒場か……


ん? 何か、一字違いで、どこかで聞いた事があるような、ないような……


商売柄、社交的なミシェルでも、この町にある普通の居酒屋で飯を食うのは微妙。


聞けば、このエモシオンで飯を食う店は、

男の体臭むんむんといった『冒険者向け居酒屋』が圧倒的に多いらしい。


女子がひとり、単独で入るにはどうか? って雰囲気らしい。

 

しかし、案内された居酒屋(ビストロ)ルイーズは違った。

 

店内へ入ってみれば……

内装も雰囲気も、俺が前世で利用した事のある明るい洋風居酒屋という感じ。


おお、これは気持ち良く食事が出来そう。


そして! 給仕をしてくれるお姉ちゃんも、何と!

メイド服姿の美少女達で、すっごく俺好みだ。

 

という事で! 俺達は早速、飲み物を頼んで乾杯する。


ちなみに……

俺達が住むプリムヴェール王国において飲酒は16歳からOK。


だから、現在15歳の俺は酒を飲む事が出来ない。

 

とても残念な話だが、違反者には結構厳しい罰則を設けているそうだ。


だからレベッカ達は遠慮なくワインを頼んだが、

俺はといえば、何かの果実を絞った柑橘系ジュースで乾杯。


まあ、あと1年の辛抱だから、ここは我慢するしかない。


先述したが、結婚に関しても男女とも16歳から。

なので、エッチもお預け。


これは、結構厳しい。


改めて、何気に確認したら……公式な婚約者相手でもキスとハグ、

無理しても『おっぱい揉み揉み』くらいが限界だとの事。

 

これは全てこの中世西洋風異世界の宗教、創世神教会の教えなのだと。


天界のトップにいらっしゃる創世神様の教義は結構厳しいと。


……うん! あの時、リゼットを勢いに任せ、

押し倒さなくて良かったと、つくづく思った。

 

そんなしょ~もない事を考える俺へ、ミシェルが澄まし顔で言う。


「うふふ、旦那様ったら、お酒飲めなくて残念そう。その分、料理は好きな物を頼んでね♡」


そんなミシェルの言葉を受け、レベッカも笑顔で追随。


「そうよ、ダーリン、存分に食べてね。私もミシェルも男子はもりもり食べるのが素敵だと思っているから♡」


わお! 好きな物を頼んでもOKか!


そして存分に? もりもり食べろって?


うん! そういや、腹がえらく減っていたんだ。


おお、ふたりとも言ってくれるぜ。


ようし! おっぱい!


いや! いっぱい、好きな物を頼んで食べてやる!


だが……前世のように、この店にはメニュー表なんて気の利いたものはない。


全て壁へ、短冊状の紙に書いて貼り出してあった。

 

え? 今更だけど、俺がこの異世界の文字を読めるのかって?


実はですね、授かったスキルがあるから、1回本を読んだら楽勝だった。


先述しているが、俺はラノベ好きだったし、小説書いてみようかな?


今の俺ならベストセラー小説だって書けるかも……


……って、いかん!

メニューオーダーだったよな。


気を取り直した俺は、軽く息を吐き、声を張り上げる。


「よっし、じゃあ、遠慮なく頼むぞ! 焼き立てパンの大皿盛り、オニオンスープ、フルーツサラダ大盛り、カブとニンジンの酢漬け、ザウアークラウト、プレーンオムレツ、ミートパイに果実入りパイ、鳥の蒸し焼き、鹿肉のソテー、豚のスパイス焼きに、揚げ肉。最後に鳥の串焼きも頼んじゃおう」


どうだ! 見よ、このボリューム!

食べて、食べて、食べまくってやるぜ。

 

さすがに、ミシェルとレベッカが……呆れて苦笑。


「あっははは! もの凄い量。私達の分まで頼んでくれてありがとう」


「ダーリンったら、超すっごいねぇ」


そんな俺は、メイド姿のお姉ちゃんスタッフを呼び、早速オーダーを入れる。


15歳少年の俺がこんなに頼んで、

給仕のお姉ちゃんが目を丸くしているのが面白い。


「あ、あの……お客様、誠に失礼なのですが……そんなに食べられますか? こちらとしては、残されると困るのですが」


「全然大丈夫で、問題ナッシング! お金を払うのは勿論、全部食べます! 完食します!」


お姉ちゃん、まだ疑わしそうな目でこっちを見てる。


しかし俺が、笑顔でVサインを出すと、やっと納得して厨房へ入って行った。


と、その時。


「お~い、ミシェルじゃないか。ああ、レベッカも一緒か」


少し離れた席に、冒険者のクランらしい一団が座っていた。

その中の年若い男が、こちらを指差して声を掛けて来たのだ。


若い、この男は、ミシェル達の知り合いらしい。


「ああっ、……カミーユ」


「ミシェル……大丈夫?」


「うん、レベッカ、ありがと……大丈夫だよ」


ミシェルが低く呟いた言葉で、カミーユという男の名前を知る事が出来た。

但し、彼女の顔付きは何か理由(わけ)ありの様子だ。


レベッカが心配し、ミシェルに声を掛けたが、

ミシェルは、ぎこちない笑みを浮かべ、首を横に振った。


だが! レベル99の俺は感じる。


ミシェルの放つ心の波動が少し乱れていると。


このような時に、気配りしてくれるのが、サポート女神様のクッカ。


俺にしか見えない幻影のクッカは、そっと俺へ囁いた。


『旦那様、ミシェルちゃん……気遣(きづか)ってあげないと』


女神の自分を、俺の嫁として、家族として、

喜んで迎え入れると言ってくれたミシェル。


それ以来クッカは、ミシェルが好きになり、それ故、心配になったのであろう。


『分かった』


俺がクッカへ答えた時に丁度、カミーユと呼ばれた男が立ち上がった。


こちらへ、やって来るのが見える。


残ったクランメンバーらしい男達は、にやにやしながら、こちらを見ていた。


そして、カミーユは俺達のテーブルにやって来た。


こいつも嫌らしく、にやりと笑う。


「なあ、ミシェル。あっちへ行って、俺達と一杯やらないか? 同じボヌール村出身者の、よしみじゃあないか」


こいつ! 何と、同席の俺を全く無視。

大胆にも、ミシェル達を誘って来た。


ちらと俺が見やれば、カミーユは茶色の短髪、顔立ちは一応整っている。

革鎧から覗く腕もそこそこ逞しく、結構鍛えられているのが分かる。


普通にモテそうな奴だけど……

 

う~む。ミシェルとこいつ、以前、何かあったのだろうか?

元彼……とか?


しかし、ミシェルはきっぱりと断わる。


「駄目よ、カミーユ。私、もう結婚したの。だから、あんた達の所へは行かないわ」


おお! ざまあ! 


当然だ! ミシェルは今、俺の嫁確定だもの。


自信満々に誘って、あっさり振られたせいか、

カミーユの奴め、プライドが少し傷ついたらしい。


怒りを隠さず、カミーユは拳を握って振り上げると、

ミシェルと一緒に座っている俺を、凄い目付きで、にらんだのである。

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