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第53話「奇跡が起こった!」

今から、時間は少しさかのぼり、昨夜……俺の自宅にて。

クッカからの突然の提案に、俺はびっくりした。


おいおいおい! どうして、そのような事が出来るのか?


果たして、可能なのか?


そう、思った。


しかし、クッカは自信たっぷり。


『出来るんです! 可能なんです! この幻影状態である私だったら!』


そう、力強く言い切るクッカ。

らんらんと輝く碧眼。


加えて、すっごく、真剣な眼差しである。


『幻影状態の私の身体は、魔力の伝導率が抜群なのです。それゆえ、恰好の発動体になる事が出来るのです』


『え? 発動体?』


聞き慣れない言葉に、俺がつい反応すると、クッカが詳細を開設してくれた。


『はい! 管理神様から教った御業(みわざ)です』


『そ、そうなんだ』


『はい、私がケン様の魔法、スキルを受け止め、そのまま放ちます』


『おお! そりゃ確かに凄いな!』


『はい! まずはケン様が行使するであろう魔法及びスキルを、あらかじめ、私の心、つまり魂へ記憶させておきます』


『ふむ、ふむ』


『そして私へ向かい、魔法、もしくはスキルを込めた魔力を送れば、私が送られた魔力を受け止めて(つな)ぎ、対象へ向けて行使します。それゆえ、ケン様が遠く離れた場所に居ても、魔法、スキルを自由自在に使うことが出来るのです』


『成る程!』


『更に万全を期すならば、行使前に念話で私の正確な位置を確認して頂ければ宜しいかと』


『だな! 了解!』


おお、それって、例えればクッカが発動体、つまり魔力の中継基地みたいに、

それも『移動可能』な中継基地になるって事か。


そして離れた場所で、俺の魔力――魔法、スキルを受ける事で、

魔法、スキルを自由自在に行使する事が出来るのかあ。


それって、凄い! 本当に凄い! 凄過ぎる!

 

俺は、素直に感動を表した。


そんな俺を見て、クッカは得意そうに説明を続けている。


また、俺の役に立てる!と。

とても可愛い表情だ。


『話はよ~く理解したよ。で、具体的にはどうするの?』


『はい! ケン様は離れた場所に居る私に向かい、存分に魔法を放って下さい。放たれた魔法を、私が心で、つまり魂で受け止めます。そして私自身の魔力と合わせて威力を増幅し、敵へ向かって放ちます。逆に威力を小さくし、行使する事も可能です』


『ふうん、それ、だいぶ高難度の技なんだな』


『いえいえ、理屈は難しいかもしれませんが、実行は簡単ですよ。単純に言えば私が発動体になるのです。もしも例えるのなら、私が便利な魔法杖(マジックワンド)になる、みたいなものですね』


おお、そうか! イメージが湧いた!


魔法使いが自分の魔法を放つ際、振るう『杖』に、クッカがなるんだ!


『成る程! クッカが俺の、魔法杖(マジックワンド)になるのかぁ……確かに、分かり易い例えで説明だな。でもさ、俺が行使する魔法やスキルを、クッカの心に(おぼ)えさせるって、どうやって憶えて貰うの?』


俺が、そう尋ねた瞬間。


何と! クッカが、いきなり口をすぼめ、

桜色の可愛い唇を俺の方へ突き出したのだ。


『ん~』


はぁ? 何、それ?


俺がびっくりして、まじまじと見る中で……

クッカが……目を(つぶ)って、可愛い桜色の唇を突き出している。

 

辺りを、微妙な空気と沈黙が支配した。


『…………』


『…………』


『…………』


『もうっ! 何で!? そのまま私の事を放置するんですかぁ!!』


目を開けたクッカが、頬を膨らませている。

頬に比例して目も、吊り上がっている。


『いや、ごめん……思わず唖然(あぜん)としてしまった……』


『あ、唖然って何ですか! 真面目な話、私にキスして頂ければ今回の作戦に必要な魔法、スキルがインプット、登録されます』


お、落ち着け、クッカ。


方法は理解したから。


『わ、分かった! でも今のクッカは幻影(ミラージュ)だろう? キ、キスが出来るわけないぞ』


『そ、そ、それも! か、管理神様から教わりましたっ! げ、幻影の私に、け、形式的に、ふふふ、触れるだけで良いのですっ! かかか、形だけでっ!』


クッカは盛大に噛んでいた。


まあ、初めてキスするのだから、分かるけど。


『形だけ……かぁ』


でもさ、幻影のクッカに触れるだけで、魔法が登録されるんでしょ?


だったら、これってキスじゃなくても良いんじゃね?


どうせキスなんか出来やしないし、

恰好だけじゃあ、こっちは欲求不満がたまるもの。


と思って、クッカを見たら、すげぇ、真剣な表情をしていた。 


ああ、万が一にでもそんな事を言ったら、俺を待つのは確実に(デス)


『もう! 一緒にお嫁さんになる、あの子達には、あつ~く愛のこもった情熱的キスが出来て、わわわ、私には出来ないって言うのですか!』


ああ、そういう事か!

嫁ズにはキス出来て、立ち位置は同じなのに私には出来ないって事?


で、不満なのか……


クッカの……奴。


焼餅なんだ! 可愛いよな。


『分かったよ、じゃあ……』


 俺は、再び目を瞑ったクッカへ、顔を近付けて行く。

 ……不思議な事に、また俺の鼻腔には、クッカの甘い香りが忍び込んで来る。

 

そして……


『うわわわっ』

『きゃ』


俺とクッカは、同時にひどく驚いた。

 

何と何と! 唇と唇が触れ合ったリアルな感触が、伝わって来たのだ!


おいおい! これって!? まさか現実!?

 

クッカは幻影なのに!?

 

……でも、確かに感じた。


クッカの柔らかい、そして甘い唇。

ぷりぷりふわっ! としている……


一方、クッカを見れば、彼女も驚いて目が真ん丸。

 

『こここ、これって奇跡ですかぁ!? よ、よ、よし! も、もう1回してみましょうよ』


『ああ!』


天界の女神様なのに、奇跡なんて言って。


まあ、良い。もう1回、試してみよう。


ちゅちゅちゅ!

 

おおお!!  やっぱりクッカの唇は……甘い!!


村の他の嫁ズも甘いけど……異なる甘さだ。


うむむ、女の子の唇って皆、味が違うんだな。


俺はキスのせいで、つい感極まってクッカを抱き締めようとした。


しかし!

 

俺が差し出した両手は、虚しく空を掴んだだけ……であった。


ああ、ちょっち、がっくりだ……


『さすがに駄目か……キスしか出来ないんだね』


『みたいですね……ここまで来たら、ケン様にきゅっと抱き締めて貰いたかった……』


クッカも、凄く残念そうである。


ああ、そうだ。

今更ながら、大事な事に気付いたよ。


『あ? 俺、凄く凄くびっくりしてさ。魔法のインプットをすっかり忘れていたよ』


バツが悪そうな表情で言う俺。


そんな俺を、クッカは笑顔になって言った。


言ってくれた。


『じゃあ、旦那様。もう1回キスして頂けますか? 魔法と一緒に愛もい~っぱい、込めて』


俺は大きく頷き、また熱いキスをしたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


そういう経緯で先日クッカと、初めてキスしてからというもの……


更に、彼女が身近に感じる。

詩的に言えば、魂と魂が、一体化した感覚だ。

 

もしや、これが……愛なんだろうか?


俺はクッカに魔力を送った後、ベイヤールに揺られながら、

「ぼうっ」とそんな事を考えていた。


すると!


『ほらぁ、ケン様。ぼうっとしないで! まもなく敵が捕捉出来ますよ』


ああ、クッカに叱られてしまった。


意識が現実へ戻った!


いかん、いかん。

今は戦闘中だったもんな。


『御免、御免』


『もう! うふふ、仕方がないですねぇ』


俺を、たしなめたクッカも笑顔らしい。

 

聞けば、クッカが男性とキスをしたのは生まれて初めてだとか……

昨夜のファーストキスの喜びが、波動となって伝わって来るのが分かるのだ。


俺だって、クッカのファーストキスの相手になれて嬉しい!


すっごく嬉しい!!


『うふふ、あ! 今、ケン様の魔力が来ました。私にみ、満ちて行きます』


俺の送った魔力が離れた場所に居るクッカへ、たった今、届いたらしい。


『ああっ、はあっ、あはっ、あああああっ、す、す、凄いですぅ。ケケケ、ケン様の魔力が私を! ……満たして行きまぁす!!』


俺の魔力に、高い声で色っぽく悶えるクッカ。


おおお!! な、何か……すっごく、えっちぃである。


と、その時。


クッカの視線が映し出す光景が、俺の心に、魂へ飛び込んで来た。

 

おお、これは便利だ。

クッカの眼が、高性能のテレビカメラになったのだから。


テレビカメラ化したクッカの視線。


映し出されていたのは、武装した10人の男達。


更にズームアップすると、奴らは使いこまれた革鎧を身にまとい、

様々な武器を所持していた。


おお! こいつらが、襲撃者だな。

改めて見ても、もろ山賊的な雰囲気である。


『おうい、クッカ』

 

『あああ、あふあふあふう』


駄目か……まだ悶えているな。


『おうい、クッカ! そろそろ作戦開始だぞぉ』


『は、はぁい! 作戦クッカ開始しま~す、パターンBでしたよね?』


ようやく正常に戻ったクッカが、噛みながらも、何とか返事を戻してくれる。


そして!


『魔法発動!』


クッカから放たれた強大な魔力波(オーラ)が、

襲撃者の男達を包むと眩く輝く。


その瞬間。

男達の姿は、忽然(こつぜん)と消え失せていた。


片や、もう一方の敵……


索敵によれば、これまた10体ほどの数で、群れをなした魔物オークである。

しかし、そんな兇悪な奴等が躊躇(ちゅうちょ)していた。

 

しっかりと、足止めされているのである。

 

先へ進みたいが、相手が怖ろしい。

そんな雰囲気。

 

その恐怖を生み出す原因は、オーク共の前方約20mの先に居た。


俺の指令を、忠実に守る従士、冥界の魔獣ケルベロスだ。

 

ケルベロスの視点も俺は共有しているから、

索敵との合わせ技で、ばっちり様子が分かる。

 

周囲1km四方に、人間が居ない事を確かめてから……


魔獣ケルベロスは、本来の怖ろしい姿へ戻り、奴らを威嚇していた。


「うおおおおおん!」


いきなり、タイミングを計ったように、ケルベロスが吠える。


そして、忽然と姿を消してしまう。

 

でも、一体何故なのだろう?

と考えないのが、悲しいかなオークの知恵の無さである。


厄介な敵が消えてホッとするオーク達が、再び進もうとした時……

今まで、ケルベロスの居た辺りが輝きだした。


おおおっ! ぎゃうぎゃう!


驚いて大いに騒ぎ立てる、オークどもの前に現れたのは……


何と!先程、クッカの発動した魔法で、消された襲撃者の男達。


奴らも、さすがにめちゃくちゃ驚き、不可解だ! という表情をしている。


だが、両者の距離はもう10mもない。

全くの至近距離だ。


あまりの突然の出来事に、向かい合い対峙した人間とオーク、

お互いが固まってしまう。


そのまま数秒……

しかし! 予想通り、すぐ激しい戦闘が始まった。


雄叫び! 悲鳴! 唸り声!


本能に満ちた声と殺戮の音が辺りを支配し、汗と血が飛び散った。


命を失った者が、続々と倒れて行く。


俺とクッカが遂行した、作戦クッカとは……


襲撃者全てを強制転移させ、相討ちさせる、

転移魔法を使った大技であったのである。

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⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

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