表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
212/312

第212話「ジュリエットが聞きたい事」

質問がある。

そう、念話で問い掛けて来たジュリエットの表情は、ひどく真剣だ。


こんな時は、真面目にちゃんと話を聞いてやらなきゃ。

絶対に、茶化すなど、してはいけない。


俺は、柔らかく微笑んで、返事を戻す。


『ああ、何だい?』


『うむ、まずは確認だ。ヴァルヴァラ様にお聞きしたのだが……現時点で、ケン、お前の実力は、今の私よりも遥かに上だな?』


ふうん……この子は、自分の今のレベルを分かっているんだろうか?


俺はレベル99、そして、この子ジュリエットは50を少し超えたくらいか。


ヴァルヴァラ様の事だから……

神託を伝えた際、この子が素直に、俺の指示を聞く為に教えたのだろう。


でも、これって、切り返しが難しい。


俺の力を自慢し過ぎてもまずいし、かと言って、謙遜し過ぎてもNG。


相手がジュリエットのような『俺様タイプ』なら尚更だ。


なので、考えてこう返す。


『ああ、そうかもな、しかしジュリエット。お前は、これからもっと、力を付けるだろう? 俺なんか、すぐに超えるさ』


『うむ、確かにそうだ。もう少し経験を積めば、すぐに追いつき追い越す。それに、これくらいのレベル差が無ければ、お前など、手助けをして貰う価値は無い』


おお、言い切ったか。


ははは、やっぱりね。


この子の、負けん気の強さは相当。

そして、超が付く自信家でもある。


ああ、そういえば質問の途中だったっけ。


でも、まあ良いや、気軽に何でも聞いてくれ。


但し……

ウチの嫁ズとは、どのようにエッチするの? とかは絶対に無理っ!

 

『そうか、まあ頑張れ……それより、質問って何だ?』


『うむ、そうだった。質問とはな、ケン、お前の、今の生き方についてだ』


『俺の生き方?』


む? 俺の生き方に関して質問?


おいおい、良く考えれば変じゃね。


だって……他人の事なんか、ほぼ興味ナッシングっていう、

このジュリエットがだよ。


と、考えていたら、ジュリエットは真面目な顔で、質問をして来る。


『そうだ、お前の無駄な生き方だ。何故、それほどの力を持ちながら、あのような辺鄙(へんぴ)な田舎村で埋もれている? 何故、刺激の無い世界で安住してしまっている?』


え? 無駄な生き方?


って……おいおいおい。


この子は、俺の事情も知らず、いきなりストレートに凄い事を言う。


だけど、ここで怒っても大人げないし、

この子とは、一生ず~っと付き合うわけでもないし。

 

『辺鄙な田舎村で安住ねぇ……俺は、そういう生き方が好きだから、としか言えない。それに、決して埋もれているとは思わないけど……』


『いいや、違う! 絶対に埋もれてしまっている。何故ならば、才能を持つ人間、まあ、お前の場合は、管理神様から授けられたものかもしれないが……それを有効に使わないのは、とんでもない罪悪だからだ』


『おいおい、とんでもない罪悪って何だ? う~ん、ちゃんと有効に使っているけど?』


『違う! 私の言っているのは、お前の能力をもっと広く世の為、人の為に使え! と言う事だ』


『は? 広く世の為、人の為?』


『むう! まだ分からないのか? 例えばだな、お前が居るボヌール村、そして、この王都を比べてみよ。住まう人間の数だけで、えらい違いじゃないか?』


住人の数?


ああ、そういう事か。

ようやく、ジュリエットの言う意味が分かって来た。


彼女の言いたい話が見えて来た。


俺が、そんな事を考えている間も、ジュリエットの話は続く。


『仮に、怖ろしい災厄が起こったとする。勇者のお前が、王都で完璧に活躍すれば、最大5万人もの人間が救われるだろう。しかし、お前が現在住む村では、せいぜい100人が精一杯……この違いは大きいぞ、大き過ぎる』 


まあ5万人の命と、100人の命……

確かに数は違う、違い過ぎる。


まあ、ジュリエットの言っている事は理解出来る。


俺のレベル99の力を、もっと多くの人々の為に役立てろって事だ。


確かに、それは正論だ。


だけど……


『そうか、ジュリエット、お前の言う事は分かる。だけど、何度も言うようだが、俺の力は、先天的ではなく、後から付いて来たモノだ。ボヌール村に住むことを選んだから、管理神様より授けられたんだぞ』


『そんな事は関係無い! 先天的だろうと、後からだろうと、……強大な力を持つ者には、それなりの責任と義務が生じるのだ』


それなりの、責任と義務?

むう、確かにそうかもしれないけれど……


だったら……


『ならば俺は、レベル99の力なんか要らない』


『何!? 要らぬだと、何故、そう極端な話になる!』


『いや、レベル99の力を持つ為に、広き世界で、それを使わなければならないのなら、話が逆であり、要らないと言ったまでだ』


『ふうむ……』


『俺にとっては、第二の故郷と決めたボヌール村の家族、そして家族同様な、村民100人の方がずっと大事だ。王都の、見ず知らずな5万人よりもな』


『むう……』


『100人よりも5万人を選べ……多分、それって……神様か、立場ある王様の論理だろう』


『神か、王だと?』


『ああ、そうだ。例えば、管理神様なんかはそうだろうけど、この世界に生きる人間全てを、見ていかなければならないだろうし、ドライに、きっぱり割り切る場合もあるだろうさ』


『…………』


『だけど俺は、レベル99とはいえ、気持ちは至極平凡な人間だもの。まずは自分の家族と仲間を優先して守りたいし、その為に必要ならば戦う。だから、後付けされたレベル99の能力ありきで、ボヌール村を差し置き、大義の為に戦うなんて生き方は出来ない』


『…………』


『でも、いろいろな考え方があるし、頭から否定はしない。ジュリエットが大義の為に生きたいのなら、勇者になって、己の生き方を貫けば良い』


『…………』

 

『単に俺が、そう生きたいと思っているだけだから、ジュリエットは違う生き方をすれば良いのさ』


『…………』


『5万人が助かる為に、たった100人なんかは切り捨てろ、という考え方も、ある事は否めない』


『…………』


『だけど俺は、基本的にはボヌール村の守護者さ。つまり、ふるさと勇者だから、村民ひとりの為にだって戦うよ』


『む! 村民ひとりの為に……戦うだと?』


『ああ、今日、お前はオークどもから、リベルテ商会のアルバンさんを助け、奥様とブランカちゃんにお礼を言われただろう?』


『ああ、言われたな……夫が、そして父親が無事に帰って来て、とても喜んでいた……そして、ブランカちゃんは、可愛い子だった……』


『ああ、確かに可愛かったな。俺、今でも、あの子の嬉しそうな顔が目に浮かぶよ』


『…………』


『今日、俺とお前は、間違いなく奥様とあの子の為に戦った。5万人を救いたいお前には、全然物足りないかもしれない。だが、俺にはアルバンさんご一家、3人の笑顔だけでも、充分満足なのさ』


『…………』


『多分それと……一緒なんだ、俺がボヌール村を守るって』


『ふうむ……お前の考えは良~く分かった。賛同しようとは思わないが……』


『だ・か・ら! 俺を巻き込まず、ジュリエットは自分の生きたいように生きろって』


俺がそう言っても、渋面のジュリエット。


『む、むむむ……だが』


『だがも何も無い! そもそも、この世界における俺の役目は、勇者を目指す、お前を助ける事だ。限られた時間の中でさ』


俺がきっぱり言えば、不承不承という感じで、

ようやくジュリエットは同意してくれた。


『……う、うむ! 確かにそうだな! 了解だ!』


やっと、納得してくれたか……


俺が安堵していたら、ジュリエットは表情が一変、にっこり笑い、


『よし! 明日も頼むぞ、戦友!』


とか、のたまった。


おお、戦友か。


上手い事を言う、ジュリエットの奴。


何か、ぴったり来る。

 

戦友って、今の俺とジュリエットの関係を、的確に表している言葉だ。


なので、とっても気分が良い。


『さあ! 明日の成功を祈願し、戦友よ、改めて乾杯だ!』


『OK! 戦友よ、乾杯!』


改めて乾杯を要求する、ジュリエットのジョッキへ、

俺は、自分のジョッキを「カチン!」と心地良く合わせていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》


⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ