表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
211/311

第211話「憧れの冒険者生活」

冒険者ギルドを飛び出した俺は、ジュリエットの手をしっかり握って歩いて行く。

チラ見すると、彼女はいまだに不機嫌で、怒りが収まっていない。


「ぷんぷん!」という文字が、頭から湯気と共に、どんどん飛び出して来る。


「ケン! あのギルド職員は、一体何だ! 本当に融通がきかない! 常識知らずな愚か者だ!」


む、融通がきかない愚か者?


……う~ん、融通がきかない常識知らずなのは、どっちなんだか。


そう思ったら、ジュリエットが俺を睨んでいる。


「おい、ケン、お前……今、何か変な事を考えていないか?」


「い、いや、何も考えてない」


「本当か?」


綺麗なダークブルーの瞳が「じいっ」と俺を見る。

(いぶか)し気に俺を見る。


ああ、ジュリエットに疑われている……

超美少女の、ジト目はとっても魅力的だが、

ここは何とか、ジュリエットを、クールダウンさせなければ。


なので、俺は言う。


「なあ、そんな事より、落ち着けよ。どうせ、今日は、ギルドにあのまま居ても、規定も変わらず、状況も変わらない。イライラするだけ損だぞ」


「むう……まあ、そうだが……」


「だったら、明日ギルドで、改めて認定試験を受け、しっかりと、お前の実力を見て貰った方が全然良い」


「むむむ、そうか! 確かにお前の言う事には、一理ある、分かった!」


おお、説得に応じてくれたか。


「だが! あいつは本当に失礼だ!」


あらら、まだ怒ってる? へそを曲げてる?


俺の説得だけじゃあ、駄目なのかなあ……


何か良い、クールダウンの方法はあるだろうか……


俺は、しばし考えて……ピンと来た。


そうだ、あそこへ行こう。


俺は、ジュリエットとつないでいた手を、

また「ぐいっ」と引っ張った。


「おいおい、ケン! どこへ行く?」


「良いから!」


戸惑うジュリエットを引っ張り、俺は商業街区へ向かったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


約1時間後……


「おねぇちゃん、ありがとお! パパをたすけてくれたんだぁ! すっご~い! つよいんだぁ!」


「お、おう! ま、ま~な」


「おねぇちゃんって、すっごくきれい~! びじんさんだよねえ!」


「い、いや! 私など、大した事はないぞ、お前のママほど美人じゃない」


栗毛の可愛い幼女に懐かれ、凄く照れる金髪美少女。


うん、良い絵だ。

その上、アルバンさんの奥さんに気まで使ってる。


あの、常時、上から目線のジュリエットがだ。


今、俺とジュリエットが居るのはリベルテ商会の応接室。


俺達が助けたアルバンさんは、この商会の幹部社員だと。


先ほどの話通り、奥様とお子さんが一緒に待っていたのである。


まずは、奥様キャサリンさんがご挨拶。


「ジュリエット様、ケン様、夫を救って頂きありがとうございます。本当に感謝しております」


にっこり笑う栗毛の美人奥様。


そして、奥様似の可愛いお子さんが5歳のビアンカちゃんだ。


何故か、このビアンカちゃん、ジュリエットをすっかり気に入ってしまったのだ。


実は、それこそが俺の期待した展開だった。


大好きなパパを助けてくれた、超カッコいい超美人のお姉さん。

幼いビアンカちゃんには、ジュリエットがそう見えているに違いない。


そのジュリエット。


興味津々のビアンカちゃんから、いろいろ根掘り葉掘り聞かれてる。


答えられない内緒の事も多々あるらしく、しどろもどろで油汗まで流してる。


それでもジュリエットは……とっても嬉しそうだ。


こうして……

ビアンカちゃんの『癒し』により、

ジュリエットの機嫌はすっかり直ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


さらに1時間後……


リベルテ商会を出た俺とジュリエットは、

文字通り『勇者亭』という居酒屋(ビストロ)で祝杯をあげていた。


アルバンさんは義理堅かった。

びっくりするくらい。


まあ、俺達に命を救われたから当然かもしれないが。


もうひとりの商人と、連名で多額の礼金をくれ、

そして、宿泊する高級ホテルの代金を全額負担。


更には、この勇者亭で食べ放題&飲み放題も加え、

全額負担という恩返しをしてくれたのだ。


ご覧の通り、俺とジュリエットはまだ、ギルド登録をしていない。

正確に言えば、冒険者ではない。


だが、『依頼』を完遂し、報酬を受け取り、仲間と慰労し合う。


これって、俺が夢見ていた、冒険者生活そのものだ。


気分が良くなった俺は、大ジョッキを掲げる。


「カンパーイ!」


「…………」


俺の仕草を、不思議そうに見るジュリエット。


どうやら、ジュリエットは『乾杯』を知らないらしい。

中二病知識によれば、乾杯って古代からあった筈なのに……知らないのかなぁ?


「ん? 何だ、それは? 杯を干す前に、掲げてそう言うのか?」


ここで、「何故知らないの?」とか聞くと、

多分だが、ジュリエットの機嫌が、すっごく悪くなる。


だから、嫌味にならない教え方で伝えてやる。


「ああ、そうだよ、楽しいぜ。やろうよ、カンパイ!」


「よ、よし、良いぞ、カ、カンパーイ!」


俺とジュリエットはそれぞれ「ぐいっ」とエールを飲む。


この勇者亭のエールは、特大ジョッキの上に、

水属性魔法で、キンキンに冷えている。

 

ああ、美味い!


冒険者として依頼を完遂し、飲むエールってこんなに美味しいんだ。


今、体験しているのが夢にまで見た冒険者生活って、

でもさ、これって夢の中なんだよなぁ、あはは。


まあ、良いや、細かい事は……


しかし不思議だ。


誰もが羨む超美少女と、酒を飲んでいるのに、口説こうとか、エッチしたいとか、

(よこしま)な気持ちが、全くといって良いほど芽生えない。


そりゃ、ジュリエットの、突き出た大きな『おっぱい』へは、

つい視線が行ってしまうけど。


でも、何故か、エッチまではしたいと思わないのだ。


最初に感じたが……

ジュリエットって、やっぱり、気が置けない『同性の親友』と言う感じだから。


いや、いかん!


そんな事を考えるなんて、

俺、さっき飲んだエールがもう回ってる?


何か、酔っぱらって余計な事を喋りそう。

声も大きくなりそう。


ここには、他にも大勢の客が居る。


ざっくばらんに話すと、内緒話もありそうだから、

交わす会話は念話が良いだろう。


果たして、ジュリエットは念話が使えるかな?


「ジュリエット、お前、念話は使えるのか?」


「ああ、使えるぞ」


おお、成る程! さすがだ!


では、話が早い。


この後の会話は、全て念話にしよう。

心と心の会話なら他人には聞かれない。


と考えていたら……先手を打たれた。


ジュリエットが先に質問をして来たのだ。


『ケン、お前に聞きたい事がある』


『俺に? 聞きたい事?』


『ああ、そうだ』


何だろう?

ジュリエットが、俺に対して聞きたい事って?


男装の麗人?は、ひどく真面目な表情で、俺を「じっ」と見つめていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》


⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ