表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/305

第210話「ふざけるな!」

旅の途中で、オークに襲われた商隊&冒険者を救った俺とジュリエット。

そのままリベルテ商会の商隊一行と、

王都メディウムまで行き、無事に到着した。


危機を救った商人達の口添えもあり、

俺とジュリエットは、王都への入場手続きも無事終了。


王都正門を抜けた、こじんまりした広場で、ひと息付く。


善は急げ! という事で、早速、冒険者ギルドへ向かおうとふたりで話し合う。


案内はといえば、助けてあげた冒険者に頼めば早い。


意見は一致し、話はまとまった。

聞けば、冒険者達も喜んで案内してくれるという。


じゃあ出発と、思ったら……

助けたリベルテ商会の人達が、慌てて駆け寄って来た。

 

む、何だろう。

さっき散々お礼は言われたから。


他に用事でもあるのだろうか?


リーダー格の人が代表して話すみたい。

確か、幹部社員のアルバンさんとか、言ったっけ。


「ジュリエット様、ちょっと、宜しいですか?」


「うむ、構わんが、話があるのなら、さっさとしてくれ」


おいおい、そういう言い方は駄目だって。


俺は、ジュリエットの手を少しつねった。


「いた!」


悲鳴をあげたジュリエット。


この子は、もう少し、気配りの会話力をスキルアップしないと……

「勇者は黙って戦うだけ」なんて……今時は無い。


王様とのやりとりの時だって、コミュニケーション能力は必須だと思う。

だからサポート役として、軽く教育的指導をしてあげたのだ。


ジュリエットが小さな悲鳴をあげたので、アルバンさん驚いている。


「え!?」


顔をしかめるジュリエットに代わり、俺が対応。


「いえ、何でもありません。それより、どういった御用でしょうか?」


「す、済みません。ジュリエット様、ケン様。冒険者ギルドの後で構いませんから、リベルテ商会へいらっしゃって下さい。ぜひともお礼をしたいので」


アルバンさんの話の、趣旨を聞いたジュリエット。

無言で頷くと、俺を「ぐいっ」と前へ押し出した。


「私の代わりに話せ!」という事だろう。


ならばと、俺は手を横に振った。


「い、いや、アルバンさん。わざわざお礼なんか良いんですよ。あなた方を助けたのも全てが、女神ヴァルヴァラ様の思し召しですから」


ああ、こんな事を言うなんて……俺って凄く小賢しい。


表向きは、お礼をきっぱり断っているのに、

さりげなく、女神様の信仰心を上げようとするなんて。


でも今回、この世界へ来た俺の役目のひとつでもあるから、仕方が無い。


「ええ! 仰る通りですね! 全てヴァルヴァラ様のお陰です」


おお、成功!

この人の、ヴァルヴァラ様への信仰心が上がったみたい。


やったぁ!


って、地道な事をしてるなあとも思ってしまう。


まあ、良いか……


「なので、アルバンさん、お礼は不要です」


「いや、それはそれ! ウチの嫁と娘に、ぜひ会って頂きたい」


「え? アルバンさんの奥様とお子様に?」


「ええ、私はずっと、長期間出張をしていまして、しばらく家族には会っていなかったのです。それが、一歩間違えばオークどもに殺され、永遠に会えなくなっていましたから」


「そうなんですか」


「はいっ、私が無事に戻って、どんなに嫁と娘が喜ぶことか」


ああ、それは凄く良い話だ。

嫁と子供が居る俺には、

ご主人の帰りをひたすら待つ、奥さんとお子さんの気持ちが良~く分かる。


ぜひ後で、リベルテ商会へ寄ろう。


家族再会の喜びを、分かち合うのだ。


「おい、ジュリエット、構わないよな」


「うむ、特に問題は無い」


ジュリエットも、満面の笑みで頷いている。

商人さん達を助けて良かったと、心の底から実感しているに違いない。


こうして……冒険者ギルドの手続きを終えた後、

リベルテ商会へ、アルバンさん達を訪ねる事になった。


そして……


「そろそろ行こうか、ジュリエット、ケン」


片や、助けた冒険者達もニコニコしている。


こちらにも、家族か恋人が居るのだろう。


命が助かって万々歳!という感じ。

待っているのが誰なのか、敢えて聞くほど、俺は野暮じゃないけれどね。


「では、のちほど……」


「はいっ、お待ちしていますよっ」


俺とジュリエットは、一旦、アルバンさん達に別れを告げ、

冒険者ギルドへと向かったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


という事で、冒険者ギルドへ案内された俺とジュリエット、

ふたりの前に現れたのは……

高い塀に囲まれ、広大な敷地の中に建つ、5階建ての大きな建物だった。


敷地内には、他の建物、倉庫などもあった。

しかし、これが冒険者ギルドの本館らしい。

 

俺達一行は、本館正面の、開け放たれた両開きの巨大な扉から中へ入る。


入った建物の1階は広大なフロアとなっていた。

混雑する時間ではないらしく、人はまばら、閑散としていた。


俺とジュリエットの正面に、長大で重厚な木製カウンターがある。


カウンターにはたくさんの窓口が設置されており、殆どは閉鎖されていた。


だが、開いているいくつかの窓口では、

数人の冒険者がギルドの職員と一対一でやりとりをしている。


勝手の分からない俺が少しきょろきょろしていたら、

助けた冒険者がアドバイスしてくれる。


「ケンさん、冒険者登録もあのカウンターですよ」


「成る程。いろいろありがとうございます」


という事で、俺とジュリエットは、空いている窓口の席に座った。


座っている職員は、30歳くらいの人間族男性。

とりあえず趣旨を話し、職員と相談。


しかし、俺達の話はすぐ暗礁に乗り上げてしまう。


「ギルドの職員よ、何故だ?」


と、ジュリエットが聞くと職員は、


「何故だ? と言われましても、本日の『講座付きランク判定試験』の受付は、規定の時間を過ぎたので締め切りました」


職員の返事通り、試験を受けて実力を評価して貰い、

実力に見合ったランクに認定して貰えるのが『講座付きランク判定試験』


なのだが……今は午後2時。


本日はもう時間的に、申し込みが出来ないらしかった。


ジュリエットにとっては青天の霹靂。

予想外の出来事に唸るしかない。


「むむむ……締め切りだと?」


「はい、本日は申し込み出来ません。もし登録だけ、ご希望ということでしたら、午後5時までは、受け付けております」


「と、登録だけ? 出来るのか?」


「はい、規定の手続きを経て、登録手数料をお支払い頂ければ、登録希望者は、洩れなく登録出来ます」

 

光明がさした、と思った瞬間。


またも非情な職員の声。


「但し、判定試験無しだと、最下級のランクFになりますけど」


「はぁ? 最下級? ラララ、ランクF?」


唖然とするジュリエットに、職員は言う。


「そうです、皆さん、こつこつ依頼を受け、地道にランクアップ致しますよ」


Fから地道にランクアップ。

無敵に近い実力を自負する(推定だけど)、

ジュリエットにとっては、大変な屈辱。


「これ以上、もう我慢出来ない!」という感じで、

ジュリエットの怒声が炸裂する。


「ふ、ふ、ふざけるな~っ!!!」


部屋中に響く怒鳴り声。


1階フロアに居た、何人もの冒険者と職員が、一斉にこちらを振り返った。


しかし、俺達に応対する、このギルド職員、

見た目は大人しそうなのに、結構、肝が据わっている。


「お客様、大きな声を出して頂いては困ります。それに私はふざけてなどいません。冒険者ギルドの規約に基づき、お話をさせて頂いておりますから」


「規約だとぉ? ならば私が命じる! 今すぐに規約を変えよ!」


「いやいや、そんなのは無理に決まっています。さあ……そろそろ宜しいですか、他の方が待っておられますので」


「何を~、たかが人間のぉ……ぬぬぬう」


ああ、不毛な会話から始まって、不穏な空気まで流れ始めた。


俺が見るにあたって、ジュリエットは少し常識に疎いようだ。


出自を言わないので、良く分からないが、箱入りのお嬢様育ちって事?

まあ常識って奴も、誰が決めたかで、全く変わってくるものだけど。

 

でも、とりあえずここは、ギルドの常識って奴に、従った方が良い。


俺はまず、対応してくれた職員に謝り、連れて来て貰った冒険者にも謝ると……

ジュリエットの手を引っ張り、急いで冒険者ギルドを出たのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》


⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ