第207話「ヴァルヴァラ様の依頼」
昨夜、アールヴのサポート女神マトレーナ様への借りを無事に返した俺。
それどころか、アールヴ美少女フレデリカからの深い愛も受け止めた。
マトレーナ様の言う通り、運命が交わり、いつかフレデリカと巡り合えたら、
しっかりと受け止めよう。
そして……今夜は、戦いの女神ヴァルヴァラ様の為に働かなくてはいけない。
アールヴの国へ送られ、女神様へ借りを返すという『勝手』は分かった。
なので、しっかり心構えをして寝る事にした。
多分だけど、同じようなパターンが予想されるから。
え? お前の嫁ズへは、イチャしたとか、言ったのかって?
夢の世界で、妹チックで可憐なアールヴ美少女と、
いや、いや! 当然……内緒です。
だって、考えてもみて下さい。
伝えて良い事など一切ナッシング。
第一、話がすっごく長~くなる。
きっかけとなった、女神様の話をしても、あまりにも突飛過ぎる。
女神様の存在自体は、人間となったクッカが居るから、信じて貰えるとしても、
管理神様のセクハラ行為とか、俺が言った勇者への冒とくとか、
元女神のクッカ、もしくはもと魔王のクーガー以外には、すぐに信じて貰えない。
それに、何度も言うが、この世界の女性は信心深い。
なので、下手な言い方をしたら、
俺がこれまた、女神様達を「冒とくした」とかになりかねない。
また、嘘をつかず夢の内容を正直に言ったとしても、
日頃の欲求不満から、「淫夢を見た」と決めつけられるのは確実。
おいおい、何よ? 私達とのエッチじゃあ不満なの? と嫁ズからは責められる。
挙句の果てには、
「危ない、ロリエッチな夢見てるんじゃないわよ」
とか、言われるのは勘弁だから。
で、速攻「ぐうぐうっ」と眠りに落ちた瞬間。
……気が付けば、あの何も無い、真っ白な異界に、俺は立っていたのである。
ふと見やれば……今夜の俺の出で立ちは、
派手な鋲を打った、ごつく真っ黒な革鎧に、腰から提げられているのは例の剣。
この剣は、やっぱり型が全く同じで色と材質違い。
そう、ヴァルヴァラ様が捧げていた銀製の魔法剣である。
そして、やっぱり出て来ました、ヴァルヴァラ様。
「ぐわっ!」と俺の目の前に、仁王様みたいな雰囲気で、
がっつり固く腕組みをして立っていた。
ヴァルヴァラ様を改めて見て分かった。
俺も見上げる身長は、2mを軽くオーバー。
ムキムキ筋肉がモノ凄い。
ああ、本当に、ごっつくて目が痛くなる。
でも、そんな事を言ったら、思い切りグーで殴られた上、
袋にされてしまうだろう。
で、話を戻すと、ヴァルヴァラ様の髪は綺麗な赤毛。
さっぱりした短髪が『男前』でカッコ良い。
改めて彼女の顔を見直しても、ダークブラウンの綺麗な瞳を持つ、
野性的な凛々しい美人である。
そう、昨夜のマトレーナ様とは、真逆のタイプと言える美人なのだ。
俺が美人だと思ったのが伝わったのか、ヴァルヴァラ様はご機嫌だ。
「ふふ、良く来たな、ケン」
「はい、ヴァルヴァラ様、今夜は宜しくお願いしまっす」
俺が元気良く返事をすると、ヴァルヴァラ様「お?」という表情をする。
「む? マトレーナとの昨夜の経験が活きているのか? やけに前向きだな」
「ノーコメントでっす」
「何! カッコつけるな、馬鹿者! このスケベが! 私は、ちゃんと全てを見ていたぞ」
「え?」
ちゃんと? 全てを?
うお! ちゃんと、全部見ていたって、いやだ、エッチ!
「この馬鹿! 何がエッチだ! お前こそ、あのアールヴ少女に、しつこくキスばかりしていただろう?」
「…………」
ああ、やっぱり嫁ズに言わなくて、本当に本当に良かったぁ!
絶対こんなふうに、こっぴどく怒られていたぞ。
目の前のヴァルヴァラ様が、いつの間にかウチの嫁ズに、
姉御タイプのクーガーか、レベッカにも見えて来る。
でも、ちょっち反論。
あのフレデリカは、健気で愛らしい最高の『妹』……だったから。
そもそも! 俺からしつこくキスをしたんじゃない。
あっちから、ぜひに!と、何かにつけて、せがまれたんだも~ん。
「だって、超可愛いし、お兄ちゃわんって、すっごく甘えて来るから、つい、ちゅっと」
「ふざけるな! 言い訳するな! ……と言いたいが、お前はマトレーナの役に立ったらしいな。良くやったと思う」
「おお、ホントですか?」
「うむ、本当だ。私の方も、これからしっかりと働き、お前に借りを返して貰うが、昨夜以上に頑張ってくれよ」
「了解! と元気良く、ご返事したいのですが……いきなり、わけが分からず、どこぞへ放り出されるのは勘弁です。出来れば、事前のご説明をお願いします」
「ふむ、説明か? まあ、仕方が無い……良いだろう」
ヴァルヴァラ様との会話が、何か、どこかのコンビみたいな、
漫才の掛け合いのようになってしまったが……
苦笑したヴァルヴァラ様は渋々、レクチャーしてくれる事になった。
コホンと咳払いしたヴァルヴァラ様は、おもむろに話し始める。
「ふむ、基本的には昨夜と一緒だ。これからお前が行く世界は、今居る世界とは、時間軸が若干違う、本当に良く似た異世界だからな」
「成る程、またもパラレルワールドですか。ちなみに、昨夜同様、レベル99とスキルも、両方持ち込みOKですね」
「ああ、両方持ち込みOKだ」
「ありがとうございまっす」
「ふむ、もう少し補足説明をしよう」
「助かります。宜しくお願いしまっす」
「うむ! とある異世界へ送られたお前はな、お前が住むのと同じ名である、『別』のプリムヴェール王国王都メディウムを目標にし、旅をしているひとりの少女に出会う」
「ひとりの少女?」
「ああ、喜べ! 凄く可愛い美少女だぞ。昨夜のアールヴ小娘など、全く比べ物にならん」
「ほうほう」
「お前が、これから出会う、その子はな、王都で誉れ高き女勇者になりたいと願っている。但し、全くの他人同士では話が美しくない。で、ここは話をメーキングする」
「話をメーキングですか」
「そうだ! お前は、少女の幼馴染みと言う触れ込みで同行し、ふたりは王都へ行くのだ」
「成る程! 勇者を目指す、幼馴染みの美少女と王都へ……ですか」
「うむ! お前は、今夜という限られた時間の中で、彼女の夢を叶えるべく……働け!」
「分かりました、もろもろ了解でっす……で、装備はこれで、名前は現世と関係ない異世界だから、ケンのままで行けば構わないっすか?」
俺は、ポーズを取って革鎧をアピール。
提げているシルバーの剣をポンと叩いた。
ヴァルヴァラ様は、そんな俺のデモンストレーションを気に入ってくれたみたい。
「うむ! その認識で問題は無い。マトレーナの時と違い、路銀も必要だから用意した……懐を探ってみろ」
路銀って? ああ、旅行用のお金って事か。
ヴァルヴァラ様の言う通り、革鎧のポケットを探ったら財布があった。
中に「ずっしり」と入っていたのは、何と! 金貨が100枚……
「成る程、これが当座の小遣いって事ですね」
「いや、当座の小遣いではない。お前と少女、ふたり分の生活費だ」
「生活費?」
「うむ、足りない分は、依頼を受けて稼げ」
「依頼?」
「そう、依頼だ。お前はこの世界で、冒険者をやった事が無いのだろう? 少女と一緒に、体験してみるが良い」
冒険者? おお、冒険者か。
そうだよ!
今だから言うけど……俺の中二病。
王都で勇者になるのは嫌だが、冒険者ならば、ぜひやりたいって思っていたんだ。
擬態の為、何度か、冒険者には変身したが、実務をこなした事は無い。
「ふふ、ケンよ、顔が輝いているぞ。気合とやる気が満ちて来たようだな……では行って来いっ」
「ニヤリ」と笑ったヴァルヴァラ様が「パチン」と指を鳴らした瞬間。
俺の意識は、またもや手放されたのである。
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