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第204話「俺の戦いを見よ!」

でっかい拳で、力任せに正門を「ガンガン!」叩きまくり、

アールヴの村を襲おうとするオーガの群れ300体超。


怖ろしい咆哮が轟き、地面が「どかどか!」踏み鳴らされている。

猛る本能をむき出しにしたオーガどもは、中の村民達を喰う気満々だ。


その背後に、俺は「すたっ!」と降り立った。

 

しかし奴等は、これから喰らおうとする柵の中の『餌』に夢中、

完全にスルーし、俺の方など見向きもしない。


これ、逆に俺にとっては、好都合だ。


背後から、無防備な奴等を容赦なく攻撃出来る。

 

む、背後からは卑怯?


いや、全く関係無い。

数を頼む大群で、『仲間』を喰らおうとする、捕食者に抗う戦いだから。


そもそも、俺ひとりに対して、相手は300体超だしね。


という事で、腰から提げた魔法剣を、「しゅらっ」と俺は抜いた。

女神マトレーナ様から授かった、黄金の剣である。


武器防具のスペックを見抜く事が可能な、今の俺ならば分かる。


この剣は、俺が死んだ直後に見た金銀銅3つの剣のうち、

最高のスペックを誇ると。


ちなみにクッカから授かった、銅の剣の約3倍の能力を持っている。


さあ、いよいよ、その黄金剣を使う。

俺が軽く、魔力を込めると、刀身が眩く光った。


後は属性魔法を心にイメージすれば、良い。

異なる属性魔法の攻撃が、自由自在に出来る筈だ。


俺はふと、初めてリゼットを助けた時の事を思い出す。


あれが、初めての戦いだった。

勇気を振り絞った俺だったが、ゴブどもに囲まれ、ビビって後悔していたっけ。


でも良かった!


リゼットを助ける! そう決めた、俺の運命の選択は……正しかったのだ!


当時の相手はゴブだし、今の状況とは全く違うけど。


ああ、とても懐かしい気がする。

あの戦いから、全てが始まったもの。

 

よし! 懐かしき火属性魔法で攻撃だ! と行きたいが、


いや、待て! ここは冷静に判断、炎が村に飛び火するとまずい。


なので、風の魔法で攻撃だ!


一層、気合が入った俺は、つい口に出してみる。

必殺技を、いちいち声に出して戦う、ヒーローと同じノリだ。


「聖なる風よ! 我が剣にまとえ!」


俺が声を張り上げると、一陣の風が舞い上がり、剣を包み込む。


「行け! 聖なる風よ! 硬く重い拳となり、我が敵を討ち果たせ!」


本当は、必要ナッシングの言霊詠唱を、俺が言い放ち、剣を振るうと、

びゅ! と大気の塊、風弾が音を立てて飛び、


どっしゅ!! とオーガの背中へ命中、


おお! と同時に、オーガの半身が粉々に!


上半身が消失したオーガは「ばったん!」と呆気なく倒れた。


うお! え、えぐい! えぐすぎる!


当然、一撃で即死である。


すっげぇ! 威力の風弾! さすが黄金剣だ。


仲間を一撃でやられて、さすがに気付いたか、

オーガどもが、びっくりしてこちらを振り向く。


しかし、遅いっ! 遅すぎるぜ!


どぐおおっ!!


振り向いたオーガの顔面へ、俺が拳をぶち込む。


天界拳の左ストレートである。


俺は風弾を放った後、右手で剣を持ったまま、高速で接近していたのだ。


もろに俺の拳を喰らった、オーガの身体は吹っ飛び、

他のオーガを何体も巻き込む。


いわばドミノ倒しである。


ひどく慌てたオーガどもは、大きな声で咆哮し、俺を捕まえようとした。


だが元々、オーガどもの動きは俊敏とはいえない。


俺から見れば、はっきり言って超スローモー。


凄まじい速度で、縦横無尽に移動する俺を、奴らが捕まえる事など不可能である。


俺は、高速移動しながら、拳と蹴りで、オーガどもをガンガン打ち倒して行く。


こうして、仲間が次々に倒されると、

パニックに陥るのは、人間もアールヴもオーガも全く同じ。


加えて、知能も良くないオーガどもは、遂に同士討ちまで始めてしまう。


フレデリカ、良~く見てろよ。


俺は口の中で呟き、じっと見つめるフレデリカの視線を背中で受け止めながら、

一旦剣を納め、合図代わりに、片手を振った。


得物をしまった俺を、(くみ)しやすしと見たのか、

オーガは力任せに襲って来る。


どすどす! 足音を立てながら迫って来た。


しかし、俺はオーガの動きを、完全に見切っている。


至近距離まで、オーガを引き付け、俺は風弾を撃つ。


両手を振り挙げたオーガの巨大な身体を、風弾が容易く撃ち抜き、

文字通り、大きな風穴を開けた。


当然、またもオーガはぶっ倒れて即死である。

 

それを何回も繰り返す。


繰り返す度に、奴等の死骸がどんどん増えて行く。

比例して敵はどんどん少なくなる——当たり前か!

 

何度も言うが、これだけ魔法で無双出来るのは、

無詠唱で神速かつ、無尽蔵に魔法を発動出来る魔力量という、俺の強みからだ。


だが、魔法だけではなく、敵の攻撃を(かわ)し、

カウンターで、天界拳も放って行く。


決まった法則などは無く、本能の命ずるまま、身体が自然に動くのだ。


この戦法は魔法、剣技、そして体術それぞれが、

ある一定以上のレベルに達していないと、到底こなす事など出来ない。


ただ見本と言っても、フレデリカとはタイプが違う俺。


無理をして、フレデリカが全てを真似る事はない。

彼女が魔法剣士として、自分を高められる、参考程度になれば良いのだ。


こうして……戦いに戦いを重ね、遂にオーガは……ボスらしき一体のみとなった。


俺の内なる心の声が、静かにささやいて来る。


『オーガキング。オーガの上位種で特殊変異体。通常のオーガの、約30倍の身体能力、伴う強さを誇る……』


おお、通常のオーガの30倍の強さか、成る程、強敵だね。


しかし、魔王クーガー麾下11万との戦いが経験値となり、

蓄積されている俺には、こんな奴など怖くない。


そう、油断こそしないが、単なる雑魚だ。


その頃には迫り来る恐怖に、柵の向こうで怯えていた村民達も、

俺とオーガの戦いに気付いた。


さすがに、全員とまではいかないが、

正門脇の見張り櫓には、戦士を含め大勢の村民が登っている。


そして、固唾を飲み、俺とオーガとの、戦いの行く末を見守っていた。


一方、一族&仲間が全て倒され、ボスのオーガキングは怒りと悲しみ、

そして恐怖で錯乱している。


だが、決して可哀そうだとは思わない。


もしも、俺とフレデリカが通りかからなければ、

このアールヴの村は蹂躙され、状況は逆になっているからだ。


があああああああっ!!!


遂に、覚悟を決めたのであろうか。


オーガキングは、今までよりも、ひと際大きく吠え、

俺に向かって突っ込んで来た。


しかし! オーガの動きを完全に見切り、

黄金剣を構えた俺は、高くジャンプし、唐竹割りをお見舞いする。

 

さすが、魔剣たる黄金剣は、切れ味も凄まじかった。


ずばばばばんんん!!!

 

頭から一刀両断!!!


俺の唐竹割りで、真っぷたつにされたオーガキングは、

「ぶばばっ!」と、血を盛大にまき散らし、あっさりと絶命したのである。

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