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第195話「俺が召喚される時」

意識が戻り、気がついた俺は、また何もない真っ白な空間に立っていた。


でも、先ほどの寝巻ではなく、いかにもという感じで、緑色の革鎧を身にまとい、

腰からは、金色の剣を提げている。

 

む、この剣は見覚えがある。


俺が死んだ後、変貌した生まれ故郷へ魂だけ、飛ばされ、

更に次の異界で会った際、

アールヴの女神マトレーナ様が捧げていた『金の剣』だ。


その選択の際、すったもんだした挙句、

俺はクッカを選び、同じ型をした『銅の剣』を得た。


勿体ないからと、最近は普段使いせず、

自宅の物入れの中、大事に仕舞ってあるけれど。

 

そして、ここは……どこだろう?


と、思ったら、


『ケン、お前が居るこの場所は、先ほど居たのとは、また違う異界さ』


先程、俺を責め立てた女神様の片割れ——マトレーナ様の声が響く。


『ふむ、前方を見てくれ』


言われた通りに少し前方を見ると、地面が円形に眩く光っていた。


むむ、光の輪?

これって、もしや……


俺は、見覚えのある魔法の発動シーンを見てピンと来た。


そうだ!

あれは……召喚魔法の魔法陣だ。


召喚対象が居る異界と、召喚主たる自分の居る世界をつなぐ、

出入り口を示す扉、つまり転移門となるのだ。


であれば、ここは現世とあちらの世界をつなぐ異界、

つまり亜空間なのだろう。


『そう! お前の思った通り、あの光の輪は召喚魔法の魔法陣さ。魔法陣の先の世界には、私の神託を受けた召喚士(サマナー)が待っている』


ふうん……

俺の従士達は全員、異界から召喚した者達だ。


しかし、俺自身が逆に、召喚対象として、

どこかへ呼ばれる事になるとは思わなかった。


人間が異世界へ転生ではなく召喚されるなんて、

まるであの、某超名作ラノベである。


そうだ、……もう少し聞いておこう。


『ところで……俺、あちらの世界で何て、名乗れば良いんですか? こっちで何か、やる時は素顔と年齢、そして名前は完全に変えていましたけど』


『ふむ、名前だけはケンのままでよい』


『名前だけは、ですか』


『ああ、ケンとは、アールヴには無い名前だが、同じ次元には同時に存在しない、お前だから、何の問題もない』


『へえ、そんなモノですか』


『うむ、そんなモノだ。課せられた役目が済んだら、お前は元の世界へ戻る。逆に目立つ名前だけ、あちらの世界へ残れば、後々伝説となり、私の使徒として、その世界の信仰心を上げる、良いキーワードとなる』


『…………』


『ふむ、まだ説明が必要のようだな……では、少しだけ、レクチャーしておいてやろう』


『レクチャー?』


『ああ、簡潔明瞭なレクチャーだ。まずお前の行き先だが、アールヴの国イエーラ、その中の、とある町だ』


『ですか、イエーラならば知っていますよ。俺の住む世界にもある、アールヴの国でしょう?』


アールヴの国イエーラ……プリムヴェール王国の遥か北方にある。


行った事はまだ無いが、名前だけは聞いた事がある。


そう、俺が転生した異世界にもあるから。


『ふむ、その通りだ……しかし、先ほども告げたが、お前が、これから行くのは違う時間軸の中に存在するイエーラだ。国名だけは一緒でも、積み重ねて来た歴史や暮らしているアールヴは殆ど違う』


ふうん、そうか。


俺の世界にあるイエーラと、名前は一緒だが、中身が違うって事だ。


『成る程……やっぱり、一種のパラレルワールドみたいなものですね』


『ふむ、人間が使う、その言葉が妥当かどうか、私には分からない。だが……多分、お前の認識で間違いない』


『それで、俺は何をすれば良いのですか?』


『ああ、詳しい事は内緒だ。お前を呼んだ召喚士(サマナー)の指示に従え』


『え? 内緒? 俺を呼んだ召喚士(サマナー)の指示、ですか?』


『ふふふ、そうだよ。ちなみに、名はケンのままだが、お前の容姿はガラリと変えてある。耳を触ってみろ』


俺はマトレーナ様に言われて、そっと自分の耳を触った。


すると! 小さくなっていたよ、俺の耳が…… 


それだけじゃない……尖っていた、耳が。


これって? アールヴ族の……独特なあの耳だ。


『ほら、革鎧から見えている肌も色白だろう? 私好みの、イケメンアールヴの魔法剣士に変えておいた』


言われた通りに腕を見れば、白い。

マトレーナ様と同じく、抜けるような肌だ。


ちなみに産毛も金髪かあ。


う~、俺がイケメンアールヴ?

……違和感ありあり、ちょっと微妙。


『ケンよ、容姿共々、あくまでも品の良いアールヴの紳士として振る舞うのだぞ、分かったな』


『…………』


『普段の、ドスケベで適当なお前とは、完全に真逆なキャラだからな。演じるのは、相当、高難度かもしれないが』


『ふん! どうせ俺は、お下品な、お馬鹿キャラですよ、ほっといて下さい』


『ふふふ、そう、すねるな』


『いや、何だか……』


『一応、お前の持つレベル99の能力、及びスキルは、これから行く世界でも、今まで通り発揮、かつ使用出来る。お前が、借りを返せるよう、せいぜい活躍して、私への信仰心を上げてくれよ』


マトレーナ様から、そう言われ、何故か、急に気持ちがしぼんだ。

モチベーションが、ダダ下がり。

 

一体、どうして、俺がマトレーナ様の為に働かなきゃいけないの?


そもそも! セクハラ魔人になったのは管理神様だ。


俺は何も、悪い事をしていないのに、タダ働きなんて理不尽じゃないか?

 

『…………』


『おい、どうした?』


『何だか……急にやる気がなくなりました』


俺がそう言うと、マトレーナ様は、何故か怒らずに苦笑。


『ふ! まあ、そう言うな。これは管理神様からの伝言だが、思い切り楽しめ……だそうだ』


『え? 思い切り楽しめって? 管理神様が……』


『ふむ、確かに、そう仰った』


そうかあ、管理神様がねぇ……そう言ったんだ。


今ならば分かる。


管理神様って……

超が付くくらい適当で軽いノリだけど、実は深謀遠慮な性格だから……


多分、今回の件も、何か意味があるのだろう。


情けは人の為ならずって言うし……


『ふふ、どうやら、やる気になったようだな。では、ケンよ、魔法陣へ飛び込め』


『了解っす』


俺は、軽く答えて手を挙げた。


そして「ずいっ」と足を踏み出すと、輝く光源の中へ入って行く。


瞬間、俺の身体が持ち上がるようになり、視界が「さっ」と遮られたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


先ほど、意識を手放したのと、近い感覚が俺を襲う。


しかし目はすぐ開き、視界が広がる。


気が付くと、俺はどこか、広い部屋の中心に立っていた……


む、ここは……どこだろう?


真っ白な床に書かれているのは?

人間の文字ではない、特異な文字。


(いにしえ)にバイキングが使ったと言う、あのルーン文字に似ている。


その文字と変わった形の絵を組み合わせ、

直径5mはありそうな、何か巨大な魔法陣が描かれていたのだ。

 

ここは、普通の部屋という感じではない。

窓が全くないから。


明かりは魔法を使っているらしい、淡いランプのような灯りだ。


改めて見渡すと、儀式を行う祭儀の間という感じ。


む、目の前に誰か、ひとり居る?


その小柄な人影は……「ぱっ」と片膝を突き跪いた。


「おお! 勇者様、ようこそ、この世界へ、いらっしゃいました。私が貴方様を召喚魔法でお呼びしたのです」


おお、跪いているのは女子。


年齢は人間で言えば15、6歳?

身長は150㎝半ばくらい。


金髪で長髪。

綺麗な緑色の革鎧をまとい、

腰には、ミスリル製らしき、ショートソードを提げている。


ああ、顔を上げた。


やっぱり、アールヴだ。

さらさら金髪から覗く、尖った可愛い耳で一目瞭然。


深みのある、菫色の瞳を持つ憂い顔……


おお、やっぱりアールヴってすっげぇ美人揃い。

マトレーナ様みたいなクールビューティー。


この子も、同じようなタイプの美少女だが、少しだけ温かみがある。


とりあえず会話をしよう。


そうしないと、話が進まない。


「あの、君は? 俺はケン」


「え? お名前は、ケン様と仰るのですね? ……珍しいお名前ですね? ケン様……」


「ああ、そうさ、ケンと呼んでくれ」


「かしこまりました。私は、貴方様を召喚したイエーラの長ソウェルの孫娘、魔法剣士のフレデリカ・ラハナストです」


「フレデリカ……そうか……分かった。マトレーナ様からは、召喚士(サマナー)である君の指示を、聞くように言われているよ」


「はい! 勇者ケン様が(つか)わされる事は、聖なる女神マトレーナ様のご神託で知りました。どうか、私の願いを聞き届けて頂けますか?」


え? 願いを聞き届ける?


ははぁ……その願いって奴が、今回のミッションって事だ。


もしもクリアすれば、マトレーナ様の、この世界における信仰心が上がる……

そういう事だろう。


この子、フレデリカの願いを叶える事が、この世界へ、俺が来た理由。


だけど、ここで「はい」と即答するほど、俺はバカじゃない。


「いや、内容次第だな」


「え? な、内容次第って?」


「そう、内容次第だ…………」


「はいって、ご返事を頂けない……ケン様は素直に、OKと仰っては頂けないのですね?」


「いやいや、俺が簡単にそんな事、言うわけないじゃないか。だって、何をやるか、分からないのに、はいはいと安請け合いは嫌だ」


「…………」


「君の出す指示が、理にかなって、まともならOK」


「え!? まともならですか?」


「ああ、そうさ。だけど、忠実な下僕になって跪き、私の靴に、優しくキスしろとかは、絶対にパスだから」


フレデリカは俺の言葉を聞いて、大きく目を見開いた。


俺が、そんな事を言うのが意外らしい。

びっくりしている。


そして……


「ぷっ!」


吹き出すと、フレデリカは、「もうこれ以上我慢出来ない!」というように……


クールビューティーが一転、小さな口を開け、ゲラゲラ笑っていたのである。

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