第187話「姑息な悪だくみ」
様子を見守っていると……
サブリーダーは何やら、リーダーのバルナベに入れ智恵をするようだ。
俺に聞こえないようと声を低く落とし、口元を隠していた。
ふふふ、甘い!
そんな小細工で、俺に話を聞かれないと思ったのか?
こんな時こそ、習得した能力スキル全開で行ってやろう。
まずは聴力を全開!
これで、遠くからでも奴等の内緒話は筒抜けとなる。
更に合わせ技で、心と心の会話、念話の聴取能力も発動。
結果、奴らの肉声と心の声が、ばっちり聞き取れる。
俺に、全てを聞かれているとは露知らず、
リーダーのバルナベとサブリーダーは、顔を付き合わせ、ひそひそと話し始めた。
まずは、サブリーダーが言う。
「おい、バルナベさん、こうなったら、奴を上手く丸め込んで……騙しちまいましょう」
「む、丸め込む? 騙す? 一体、どうやって?」
あはは! やっぱりこういう話か。
バルナベの言う通り、奴等の、俺を「丸め込む」「騙す」って、
一体どうするのだろう?
対して俺は、笑顔で、引き続き話を聞いていた。
サブリーダーは、実は誰も潜んではいない、俺が居ると思われる場所を、
「ちらっ」と見てから、バルナベに囁く。
「全員で、一旦武器を捨て、奴に安心させてから、儲け話に、ひと口噛ませるとか言うのですよ、今回も利益は、最低でも金貨1万枚は見込めるでしょう?」
「おお、そうだな、それくらいは楽勝だろう」
サブリーダーの提案に、バルナベは嬉しそうに頷いた。
俺に追いつめられていたバルナベにとっては、最高の良案なのだろう。
同意され、『えっへん顔』になったサブリーダーは、ぺろりと、
ずるがしこそうに舌を舐める。
「で、こうしませんか? 奴へ、リーダー並みの分け前、金貨2千枚くらいを渡すと言えば、ホイホイ飛びついて来ますよ、ぜひ自分も混ぜて下さいって」
「ほう! 成る程、そうだな」
いやいや、ホイホイってさ、
俺はあの黒いつやつやした虫じゃないんだから。
簡単には、飛びつかね~よ。
俺を居ると思うらしい方角をちらっと見て、
サブリーダーは仕上げの話に入る。
「当然、あんな奴に、大事な分け前なんか渡しやしません」
「ああ、だな!」
「グリフォンの洞窟で、例の仕掛けを、奴にやらせて捨て駒にしましょう」
む、グリフォンの洞くつで、例の仕掛け?
ふむ、奴等何か、策略を使い、グリフォンを倒すんだ。
その仕掛け役を俺にやらせ、見殺しにしようっていうんだな?
成る程。
話が、見えて来たよ。
「そうか、奴を捨て駒に……巧い作戦だ」
「でしょう? 万が一、奴が生き残ったら……隙を見て、一度に全員で襲い掛かって殺せばOKですね……領主に余計な事を告げ口されないよう、確実に口を封じておかないと」
「おう、さすがティボーだぜ……抜かりがねぇ。やっぱり俺の懐刀だけの事はある」
「へへへ、バルナベさん、俺は使える奴でしょう? ……上手く行ったら、俺の分け前の方……結構な色をつけてくださいよ」
「ひひひ、分かっているって」
そんなこんなで、ふたりの密談は終わったようだ……
といっても俺に対して、全然密談にはなっていないが。
ああ、そうかい。
君達の手の内はよ~く分かった。
だから、俺はその上を行かせて貰うね。
「おう、そこの兄さん!」
バルナベが俺を呼んだ。
さっきの、あたふたした慌てぶりとは違ってえらく余裕だ。
これで作戦はバッチリ、俺を罠にはめられる、そう信じているのだろう。
……本当に馬鹿な奴だ。
当然だが、俺は惚け、返事を戻す。
「うん、何だ?」
「良いか、よく聞け。俺達は、降伏する! 武器を今捨てる! ……それで俺達の誠意を示そうじゃないか」
ほう、誠意?
何が誠意だよ。
お前達の誠意=真っ赤な嘘だろう?
「ふ~ん、それで?」
「へへへ、すねるなよ……凄く良い話だぜ、あんたにも、俺達の儲け話にひと口噛んで貰うのさ」
「何だとぉ!」
「ふざけるな」
「馬鹿言え!」
片や、話が通っていないクランメンバーが、一斉に不満を爆発させた。
自分達の分け前が減るから、至極当然の反応だ。
しかし、こういう示し合わせは慣れっこらしい。
リーダーのバルナベが、僅かにウインクをし、サインを送る。
悪だくみの、意思疎通を行ったらしい。
すると、戸惑っていたメンバーが、すぐに頷いた。
顔を輝かせていやがる。
これで悪だくみの作戦は、奴等の中で完全に共有出来たようだ。
「くう! リーダーの命令にゃあ、逆らえねぇ」
「糞! 悔しいが、仕方がないか」
「畜生!」
あはは、完全に演技だ。
全員、不自然に笑っている。
セリフも、もろ棒読み。
こいつら、絶対にバレないとでも思っているのだろうか?
まるで三文芝居だよ。
俺が見やれば、バルナベは自分の演技に酔っているらしい。
もう完璧に、俺が騙されていると信じているのだろう。
「と、いう事で兄さん、今から俺達は武器を捨てる……出て来てくれないかね」
ここで、俺はツッコミをする。
「分かった……その代わり、お前らの武器は、遠くに投げ捨てろよ」
俺の意外な?提案に、バルナベは驚き、目をむいた。
「な、何!? 足元に落としゃ、良いじゃねぇか」
「いや、ダメダメ! 俺は用心深いんだ……思い切り遠くへ、派手に放り投げてくれ」
「く、糞っ!」
ギリギリと歯を鳴らすバルナベ。
お~お~、、これじゃあ話を聞かなくても、裏があるって丸分かり。
顔にはっきり出てるぞ~。
本当に馬鹿でぇ~。
しかしサブリーダーのティボーはまだ落ち着いているようだ。
短気な髭リーダーを、しっかりと諭す。
「バルナベさん!」
「ち! 分かった! 分かったよ!」
忌々し気に舌打ちをし、不承不承に頷いたバルナベは、
腰のロングソードを抜くと、思い切り遠くへ放り投げたのである。
いつもご愛読頂きありがとうございます。
※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。
宜しければ、下方にあるブックマーク及び、
☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。
東導号の各作品を宜しくお願い致します。
⛤『魔法女子学園の助っ人教師』
◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!
《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》
(ホビージャパン様HJノベルス)
※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。
◎コミカライズ版コミックス
(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)
既刊第1巻~5巻大好評発売中!
《紙版、電子版》
何卒宜しくお願い致します。
コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!
皆様のおかげです。ありがとうございます。
今後とも宜しくお願い致します。
また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。
コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。
WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。
マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。
お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。
最後に、
⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》
⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》
⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ
る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》
⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》
も何卒宜しくお願い致します。




