表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/254

第186話「冒険者の野望」

「さあさあさあ!」


俺は、西の森の中で身を隠したまま、

クラン挑戦者(プローウォカートル)のリーダーに迫っていた。


今の、この状況が、不法侵入にあたる行為になりかねない事。

それゆえ、この地へ、来訪した理由一切を明かすようにと。


「うううう……」


しかし、リーダーの髭男は口ごもっていた。

躊躇(ちゅうちょ)し、喋るのを躊躇(ためら)っている。


中々、話す決心がつかないようだ。

見かねたサブリーダーが声を掛ける。


「バルナベさん……」


ほう……

バルナベっていうのか、この髭クランリーダーは。


面倒だから、名前なんて、どうでも良いと思っていたけれど。


このバルナベ……

スペックを見たら、『そこそこ』だけど、さほど強いってわけでもない。

油断さえしなければ良い。

 

それより吐け。

早く、ここへ来た理由を吐け! さっさと吐いてしまうんだ! 

 

かつて俺は、この森へ進撃して来た魔王軍幹部バルカンへ禁呪を使った。


その最終手段を使えば、心の中は勿論、魂の底まで読み取れる。


しかし、俺がレベル99魔人である事をひけらかす必要はない。


まあ、とりあえず普通に、ディベート的会話で自白させるのが得策。


それでも黙秘するのなら、ノーマルな自白の魔法を行使すればOKだろう。

 

黙ってしまったバルナベを、俺は容赦なく追い立てる。


「バルナベさんとやら、踏ん切りがつかないようなら、俺はもう行くぜ……エモシオンの町へ行く」


「な!? エモシオンの町だと? ま、まさか」


バルナベは息をのんだ。


俺が何をするか、想像したようだ。


「ああ、そのまさかだ。チクるんだよ、クラン挑戦者(プローウォカートル)とかいう、お前ら冒険者の事をな」


「な!? 何ぃ! チクるだとお!?」


「ふふふ、そうさ! 不法侵入者のお前らをチクれば、俺は結構な金を貰えると思う。領主のオベール様は、すぐに追っ手を差し向けるだろう」


「くうう、追っ手だとお!」


「ああ、そうさ! 俺は追手の衛兵達と同行して、お前らクラン全員を捕まえる。チクった褒美の金と合わせて、結構な報奨金が出るだろうぜ。お前達のお陰で、俺は左ウチワになる」


俺の口上を聞いて、とうとう頭に来たのだろう。


クランメンバーの戦士らしいひとりが、憎々しげに言う。


「なあ、バルナベさん、こんな辺鄙(へんぴ)な土地の田舎領主なんて関係ありませんぜ! こんな奴の言う事なんか、無視しましょう!」


ほう、領主を無視だと!?


このプリムヴェール王国は、王様以下貴族に絶対的な権力を持たせ、

逆らう者には、えらく厳しいと聞いている。


それを知らないのだろうか?

何という、愚かで馬鹿な奴だ、この戦士は。


俺がそう感じた通り、さすがにバルナベも呆れたようである。


「馬鹿野郎! そんな事をしたら、俺達クランは、この王国中のお尋ね者だ!」


きっぱり言い切るバルナベ。


対して、驚く戦士。


「え!? お、お尋ね者!?」


「ああ、そうだ! のこのこ王都へ行ったら捕まって、中央広場の大勢の見物人の前で斬首されるか、吊るされる! 反逆罪と逃亡罪の合わせ技で、死刑になりかねないぞ!」


死刑!?

とんでもない刑罰に、更に驚いた戦士が目を丸くする。


「う、うおっ!?」


叫んで言葉が止まった戦士。


俺は、ここぞと畳み掛ける。


「おお、さすがはリーダー。この王国の法律を、良く分かっているじゃないか……さあ、どうだ?」


「く、糞っ! わ、分かった、話す!」


「よし! そうこなくちゃ!」


おお、遂に話す気になったか。


しかしバルナベは唇を噛み締めている。

相当悔しそうだ。


まあ、俺のやり方は汚いから分かるけどさ。


「……ぐうう……俺達クラン挑戦者(プローウォカートル)は、北から王都経由でこの地へ来た……俺はバルナベ、ランクBの冒険者だ」


「ふうん、あんた、ランクBか……」


俺は、この異世界の冒険者ギルドの事は詳しくは知らない。


しかしランクBならば、多分、

上級冒険者の範疇(はんちゅう)と言われるランカーであろう。


そこそこ、名の通った冒険者だと思われる。


「分かった、それで目的は?」


「……俺達は怪物を倒し、お宝を頂戴する」


「む、怪物を倒して……お宝を?」


「そうだ! 俺達のターゲットは大物さ! (ドラゴン)やグリフォンなんだ」


竜やグリフォン?


そうか! ……成る程!

読めて来たぞ。


俺の中二病……竜やグリフォンは、大量の貴金属や宝石、

つまり『お宝』を溜め込む癖がある。


こいつらは怪物を殺し、部位と共にお宝を奪う専門の冒険者なんだ。


という事は、相当強いレベル。


ただ、バルナベのスペックを見たら、そうは思えないけどさ。


もしくは、竜やグリフォンの隙を見つけ、

お宝をかすめ取る『盗人冒険者』って事だ。


そして、こいつら、何も根拠が無かったら、

遥か辺境の、この地なんかへは来ない。


何か、確実な情報があって、来訪したに違いない。


と、思ったら案の定である。


「王都の売れっ子情報屋から、高額で買った確実な情報(ネタ)なんだ。この森の洞窟に、魔獣グリフォンが住みついたってな」


へえ、王都の売れっ子情報屋?


何で、そんな凄い情報を得られるんだ?

こんな辺境の地の森にグリフォンなんて……


ええっと……

俺は記憶を呼び覚ます。


グリフォンは、ファンタジー世界では有名な存在だ。

鷲の上半身と翼、獅子の下半身を持つ魔物であり、

知識と強さを示す象徴として貴族に人気がある。


余談だが、オベール家の紋章もグリフォンなのである。


でもグリフォンは、ドラゴンに勝るとも劣らない、結構な強者な筈。


対して、やはりというか、このクランは……

俺が見ても、リーダー以下そんなに強そうではない。


魔法使いや僧侶が居てバランスは良いだろうが、

倒すとか、一体、どんな手を使うんだろう。


「俺達はな、グリフォンを倒し、奴の部位とお宝の両方を手に入れる! その為に、情報屋へ高い金を払った! 絶対に成し遂げるんだ!」


バルナベは熱く語っていた。

話すうち、自分の言葉に酔ったらしい。


でもさ、あんた。

自分達の能力を鑑み、良く考えてみなさいって。


だから、俺は言ってやる。

 

「ほう、グリフォンを倒すか……ふ~ん、恰好良いね。でもさ。この領地でそんな事をしたら違法行為になるよ」


「ああ? 違法行為だと!? 何故だ!」


俺が悪戯っぽく言うと、陶酔が冷め、バルナベはムキになった。


何だよ、さっき言っただろう?


人の話を聞いていないのか?


「おいおい、俺が、さっきも言っただろう?」


「???」


「お前さ、人の話を良く聞けって!」


「な、なにぃ!」


「お前らが倒したゴブの話をしただろう? この領地に居るものは、例え魔物でも、オベール様の所有物だからさ」


「と、いうことは?」


「そうだ! もし、グリフォンを倒したとしても、違法行為に変わりはない。所詮、お前らはお尋ね者って事だ」


「く、くくく……くそ!」


「お、おい、バルナベさん……ちょっと話が……」


ここでクランのサブリーダーらしき男が手招きをした。


ふたりで何か内緒話をするらしい。


一方、俺は「にやり」と笑い、

隠れたままバルナベ達を見守っていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》


⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ