表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/233

第178話「変身自慢といつもの喧嘩」

結局、俺の変身魔法の発動は、中々、上手く行った。

何度かは、やり直したが、全員が満足行く風貌になれたからだ。 


まあ、変身魔法の練習になったと思えば、構わない。


という事で!

まず俺が、35歳くらい、長身瘦躯の茶短髪、

同色の短いひげをたくわえた、渋いイケオジな風貌の魔法使いに、


次にケルベロスは、狼犬のような風貌は変わらないが、

毛色が更に派手な白銀の猛犬に、


ジャンはといえば、ワイルドな山猫に、


そして最後のベイヤールは、翼のないペガサスのように派手な白馬に……


各自が、思い切り際立つようにした。


ここで皆さんは、疑問に思うだろう。


何故、わざわざ目立つようにしたのかと?


いや、これって実は逆手。


中途半端な雰囲気よりは、却って派手にやった方が、

相手の印象に残り易い。


変身後の姿は、ボヌール村在住のケン・ユウキと仲間達には、

到底結びつかないもの。


ちなみに、俺が着用した衣装は、渋いカーキ色の麻製法衣(ローブ)

携帯する武器も、らしい魔法杖に、

普段は使っていない、銀製のロングソードにしたのだ。


さてさて!

ここから従士達と念話で話す。


まずは変身後の姿を褒める。


そう、普段のコミュニケーションは重要。

「どうせ言わなくても分かるよね?」みたいなツーカー的な考えは厳禁だ。


『おお、ケルベロス、とても恰好良いじゃないか、渋くて野性味に溢れているぞ』


『ケン様、ありがとうございます!』


輝くような白銀の、灰色狼的な風貌になったケルベロスが「にやり」と笑う。


精悍な魔狼という感じが、凄く格好良い。

 

このケルベロスに、やたらとライバル心を燃やすのが、

妖精猫(ケット・シー)のジャンである。


『なあ、ケン様! 俺は? 俺っちはどうっ?』


『ああ、ジャン。お前もワイルドで、優雅な雰囲気が出ているぞ』


ジャンの風貌は、アメリカ産ボブキャット風。


こっちも、お世辞抜きで恰好良いと思う。

 

ちなみに、妖精猫(ケット・シー)のジャン自身にも変身能力がある。


なのに、自身で変身しないのは、理由がある。


公平に俺から魔法を掛けて貰い、

同条件で、ライバル?ケルベロスと張り合う為。


つまり、男の見栄と意地って奴だ。


こうなると、ジャンはケルベロスを挑発する。


『あ~はははは! どうだ、ケルベロスめ! 俺は野性味だけじゃなくて、すんばらしい優雅さもあるってよ! 勝ったな!』


しかし、ケルベロスも負けてはいない。


『相変わらず、愚か者だ。お前が、凄いのではなく、ケン様の、魔法が素晴らしいし、凄いのだよ』


『ななな、何だとぉ!』


ケルベロスとジャンは、数年前に、

ゴブとの戦いの際にお互いを分かり合った。


加えて、クーガー侵攻の際にも共に命を懸けて戦った。

 

だから、それ以降の喧嘩は、はっきり言って『馴れ合い』である、と思う。


俺には、こんな友人が居ないので、少し羨ましい。

 

嫁ズで、この関係に近いのはクッカとクーガーかも。


姉妹という、触れ込みのふたりは、ボケとツッコミの口喧嘩ばかり。


でも、凄く仲が良いのは、ウチの家族ならば、誰でも知っている。


そして、俺にとってクッカは、愛する嫁でありながら、

苦楽を共にした『戦友』という言葉がピッタリ。


一方のクーガーは、この異世界での付き合いは短いが、

幼馴染クミカの記憶を持った、昔からの親友って感じ。


話を戻せば……『犬と猫の喧嘩』はいつもなら止める所。


だが、今回の旅は時間もたっぷりあるし、敢えて放置しよう。


思いっ切り、ツッコミ合い、ボケ合ってもくれ。


そして、ベイヤールへは違う褒め方で行く。


『悪いな、ベイヤール。ペガサスの姿で、何とか我慢してくれないかな』


ぶひひひひ~ん!


ベイヤールは「仕方がないな」とばかりに(いなな)く。

 

とある悪魔の騎乗馬であったベイヤールは、特に誇り高い。


今の姿のベースである、天馬ペガサスよりも自分が数倍、

いや! 数万倍も上だと思っている。


なので、褒めるのは(かえ)って、逆効果なのである。


普段の、地味な鹿毛馬姿もそうだが、

本来の姿に劣るが、仕方無く、我慢してくれというのが礼儀だ。


こうして……

しばらく、口喧嘩を楽しんでいた? ケルベロスとジャンであったが、

ひとまず、収まったようなので、俺は声を掛ける。


『よっし、じゃあ街道沿いの雑木林へ転移するぞ』


リスク回避の為、俺達が、ボヌール村から来たと思われてはまずい。

なので、ここから転移魔法で本街道沿いの適当な雑木林へ移る。


休憩していた、どこかの旅人を装い、本街道へ出て北上するのである。


『転移!』


周囲の気配を、再度確認し、俺達は魔法で転移したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


俺と従士達が、馬車ごと転移したのは、

村道と本街道が交差する場所から、北へ数キロ行った先。


街道から、ちょっと奥へ入った、

目立たない雑木林に到着した俺達は、ちょっとだけ休憩。

 

ケルベロスとジャンは、馬車から飛び降り、地面に寝そべった。


俺は馬車から、ベイヤールを外して、(くつろ)がせる。


お湯を沸かした俺は、香りの良い紅茶を飲み、従士達には適温の水を飲ませた。


ジャンが紅茶を飲みたそうにしたが、

猫や犬にはお茶に含まれるカフェインが有害らしいから、絶対に駄目である。


そもそも、熱い飲みものも、猫舌でNGだろうし。


紅茶が、飲めないと知り、残念そうなジャン。


代わりに「早い昼飯にしろ」と、ひどく(うるさ)い。


『ケン様、俺、腹が減ったよ~ぉ!』


ここで叱るのもケルベロス。


もう、お約束だ。


『おい! この駄猫! 少しは我慢しろ!』


『あ~っ、また駄猫って言ったな!』


ジャンが悔しそうに言い返したその時。


俺の索敵に、人間の気配が引っかかる。


捕捉したのは、10名の人に8頭の馬。

多分、商隊か、何かだろう。

 

おお! 何と!


魔物らしい大量の気配もする。

距離はここから1kmほどだ。


「助けてくれぇ!」

「うわあっ!」


遥か彼方から、助けを求める男達の声も聞こえて来た。


この、中世西洋風異世界に来た時もそうだった。


俺は、懐かしく思い出す。


人間離れした、俺の聴覚でリゼットの悲鳴を聞き、彼女の危機察知。

襲われたゴブの群れから、助け出したのだ。

 

ああ、いかん。

今、まさに、襲われている人達が居るんだった。


助けを求めているのが、むさい男の声だという事もあるのだろう。


ジャンが顔をしかめ、「ちょっち面倒臭いぜ」みたいな表情になる。

 

だけど俺は、ふるさと勇者。


どこに居ても、助けを求められたら、行かなくてはならない。


という正義感は、正直言って建前。


申し訳ないが、俺は、『世界の全て』を救う勇者では、全くない。


ボヌール村とエモシオン、近辺のみをカバーするローカル勇者。


ここに、ゴブの群れが居るのなら、

回り回って、ボヌール村へ襲って来る可能性がある。


だから『討伐決定』という判断だ。


それに商隊は、ボヌール村へ、恩恵をもたらしてくれる人達かもしれない。


それゆえ、情けは人の為ならず——


レベル99の力をだいぶ抑えて、戦えば宜しい。


俺は、馬車を空間魔法でしまい、従士達と頷き合う。


「行くぞ、皆!」


そして、声のする方向へ、ダッシュで走り出したのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《紙版、電子版、ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

※第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

《紙版、電子版》

何卒宜しくお願い致します。

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が購読可能です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中》


⛤『冒険者クラン新人選択希望会議でドラフト1位指名された無名最底辺の俺が、最強への道を歩みだす話!』《完結済み》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのあ

る王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』《完結》

も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ