047
魔城トーリーは、地上三十階の酵素建築物。
魔城トーリーは、文字通りグランドファンタジアのラストダンジョンだ。
ラスダンなのでモンスターも、当然数が多い。
俺と子供服に、スカート姿のエフネ。
血まみれの汚れたジャンパーを脱いで、水色のブラウスを着た女勇者スピカと俺の三人だけ。
魔物が住み着く魔城の中に、突入していった。
魔城トーリーの中は、ひんやりとしていて冷たい。
薄暗い廊下に、影も真っ黒だ。
途中には城に突入した自衛隊が、傷ついて倒れていた。
彼らを、介抱している余裕はない。
俺たちは目を瞑りながら、一刻も早く最上階を目指していた。
三十階建ての魔城トーリーは、ラストダンジョンにふさわしい場所だ。
だが、そんな魔城トーリー攻略に対して、俺には強い味方が二つもあった。
一つはスマホ。ここには、五十土が送ってきた画像データがあった。
この魔城はスマホ圏外だけど、データは事前に取得しておいた。
ダンジョンデザインも担当している五十土は、正確な魔城トーリーの地図を持っていた。
地図を見ながら、俺は進んでいく。
一階から意地悪な迷路だけど、そこも迷わず進めた。
だが、それ以上に心強い味方もいた。
「少し待っておれ」
前に出ていたエフネが、俺とスピカを止めていた。
エフネが、右手を突き出し魔法の詠唱を行なう。
それと同時に、小さな闇の塊が発生し、目の前の壁を取り消していた。
「隠し通路か」
「うむ。私は、この家の主だからな」
「こんな所に、隠しルートがあったとは」
魔城トーリーを攻略していたスピカも、目を丸くして驚いていた。
エフネが先導して、俺たちは効率よく魔物を回避。
無駄な戦闘を最小限に抑えつつ、先を急いでいた。
「先には、転移魔方円がある。
これを使えば、最上階の三十一階までワープできる」
「それは便利だな」
「まあ、私たち魔王一族だけが使うことが出来る転移魔方円だけどな」
「それは便利だな」
「不服だ」なぜか、不満そうな顔を見せるスピカ。
「何で不服なんだ?」
「魔城トーリーといえば、難攻不落の魔城。
入り口でも見ただろう、人の屍を」
「ああ、お亡くなりになった自衛隊の人か」
国の自衛隊も、突入を試みたが多くが倒されていた。
やはり、魔城トーリーは難攻不落なのだろう。
「それが、こうもあっさりと……」
「時間が無い。早く魔王バロルを、止めないといけないし」
「ケイの事もある。それは理解しているが……」
それでも、あっさり攻略することに煮えきれないスピカ。
だけどエフネは慣れた様子で罠を解除し、先を進んでいく。
間もなくして、エフネの言うとおり魔方円が見えた。
「ここを乗れば、一気に魔王の間。お前は行かないのか?」
「無論行くに、決まっているだろ!
僕はケイに、文句を言わないといけない。
なぜ、魔王と手を組むマネをしたのかを」
「じゃあ、行こう」俺は、スピカに手を差し出した。
顔を赤くしたスピカは、俺の手を取った。
「スピカよ、私に掴まれ。
私の手を離したら、あらぬ方向に飛ばされてしまうからな。
壁の中とか挟まれたら、命は無いぞ」
「分かっている」
スピカもエフネと、一緒に手を繋いだ。
三人で、円で繋いだ俺たちはそのまま魔方円の中に入った。
エフネが魔法の詠唱をした瞬間、黒い柱が俺たちの足元に見えた。
「ゆくぞ」黒い柱の中で、エフネの声がかき消えた。
俺たち三人はそのまま、黒い柱に閉じ込められた。
同時に体が浮かび上がって、そのまま体が飛ばされる感覚になっていた。




